【間に合わない】Win10サポート終了後もPCを延命したい【2025/05/15】

この記事の要約

この記事について

2025年10月14日に迫るWindows 10のサポート終了。多くのユーザーが、これまで慣れ親しんだPCを今後どう活用していくべきか、頭を悩ませているのではないでしょうか。「まだ使えるPCなのに買い替えるのはもったいない」「特定のソフトがWindows 11に対応していない」など、様々な理由でサポート終了後もWindows 10を使い続けたい、あるいは少しでも長く延命したいと考えるのは自然なことです。

この記事では、そのような「Windows 10サポート終了後もPCを延命したい」と願う方々に向けて、現時点で考えられるいくつかの選択肢と、それぞれのメリット・デメリット、そして注意すべき点について解説します。決して推奨するわけではありませんが、各選択肢のリスクを理解した上で、ご自身のPC環境やスキル、そして何よりもセキュリティ意識に合わせて、最適な判断を下すための一助となれば幸いです。

なお、この記事では、「ESU（拡張セキュリティ更新プログラム）の利用（有償）」「Win11インストール要件を無視したWin11インストール」「Win11のアップグレード要件を回避したWin10からWin11へのアップグレード」をメインに解説します。

Win10サポート終了に伴う手段の選択肢

選択肢	概要と主な考慮事項
ESU（拡張セキュリティ更新プログラム）の利用	Microsoftが提供する有償のセキュリティ更新プログラム。個人向けは1年間の期間限定。費用対効果と期間を考慮する必要あり。
Windows 11への非推奨アップグレード	互換性チェックを回避してインストールする方法。動作不安定性、将来のサポート、メーカー保証などのリスクが高い。自己責任での実施。
Linuxなどの代替OSへの移行	Windowsとは異なるOS。互換性、操作性、必要な知識などを考慮する必要あり。古いPCの再活用には有効な選択肢。
仮想環境の利用	Windows 365などのクラウドベースや、ローカル仮想化ソフトを利用。費用、パフォーマンス、ネットワーク環境などを考慮。
セキュリティ対策ソフトの導入・強化	OS自体の脆弱性はカバーできないが、マルウェア感染リスクを軽減。信頼できるソフトを選び、適切な設定を行うことが重要。
PCの買い替え	Windows 11の要件を満たす新しいPCを購入。費用はかかるが、最新の機能、セキュリティ、メーカーサポートを享受できる。

 

対象	内容
キーワード	Windows 10 サポート終了, PC 延命, Windows 11 インストール, 要件回避, アップグレード, ESU, Linux, ChromeOS Flex, 仮想環境, PC 買い替え
OS/ソフト/機材	Windows 10, Windows 11, Linux, ChromeOS Flex, Windows 365, VirtualBox, VMware Player, Rufus
対象読者	Windows 10のサポート終了後もPCを使い続けたいと考えているユーザー、PCの買い替えを検討しているが迷っているユーザー、代替OSや仮想環境に興味があるユーザー、Windows 11の要件を満たさないPCを持っているユーザー
AIの利用	記事中の記述事項の調査に、AIを利用しています
履歴	2025/05/15・・・初版公開

サポート終了後もWindows 10を使い続けることの危険性

セキュリティリスクの増大

Windows 10のサポートが終了するということは、Microsoftからセキュリティ更新プログラムが提供されなくなるということです。これは、新たな脆弱性が発見されても修正されないため、マルウェアやウイルス、サイバー攻撃に対して非常に脆弱になるということを意味します。例えるなら、鍵のかかっていない家に住むようなもので、悪意のある第三者に侵入され放題の状態になる可能性があります。

ソフトウェア・ハードウェアの互換性の問題

時間の経過とともに、新しいソフトウェアやハードウェアは、最新のOSでの動作を前提に開発されるようになります。サポートが終了したWindows 10では、これらの新しい技術との互換性が失われ、正常に動作しない、あるいは全く使えないといった問題が発生する可能性が高まります。

パフォーマンスの低下と機能制限

最新のOSでは、パフォーマンスの向上や新機能の追加が行われていますが、サポートが終了したWindows 10では、これらの恩恵を受けることはできません。時間の経過とともに、最新のOSを搭載したPCとの性能差が顕著になり、動作が遅く感じたり、利用できる機能が限られたりする可能性があります。

精神的な不安

セキュリティリスクを常に意識しながらPCを利用することは、大きな精神的な負担となります。「もしかしたらウイルスに感染しているかもしれない」「個人情報が漏洩するかもしれない」といった不安を抱えながらでは、安心してPCを使うことはできません。

このように、Windows 10をサポート終了後も使い続けることは、多くの危険と不利益を伴います。この記事では、それでもPCを延命したいと考える方に向けて、いくつかの選択肢を紹介しますが、これらのリスクを十分に理解した上で、慎重に判断していただく必要があります。

それでもPCの買い替えなどが間に合わなくて延命したい場合

上記のようなリスクがあることは理解できた。しかし、様々な事情により、サポート終了日までにPCの買い替えやOSの移行が難しいという方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、そのような状況下で、Windows 10 PCを少しでも長く、そして比較的安全に使い続けるための現実的な選択肢をいくつかご紹介します。ただし、繰り返しますが、これらの方法は根本的なセキュリティリスクを完全に解消するものではありません。あくまで一時的な延命措置であることをご理解ください。

1. ESU（拡張セキュリティ更新プログラム）の利用（有償）

Microsoftは、Windows 10のサポート終了後も、最長3年間（エディションによって異なります）、有償でセキュリティ更新プログラムを提供する「Extended Security Updates (ESU)」プログラムを用意しています。これは、サポートが切れた後もセキュリティリスクを軽減するための、公式な延命措置と言えるでしょう。

個人向けESUの概要

個人ユーザー向けのESUは、サポート終了日から最長1年間、セキュリティ更新プログラムを受け取ることができるオプションです。購入費用は年間30ドル（2024年4月時点の情報に基づきます。最新の情報はMicrosoftの公式サイトをご確認ください）。

法人・教育機関向けESUの概要

ビジネスおよび教育機関向けのESUは、最長3年間利用可能です。費用は年々増加するサブスクリプション形式で、初年度は1デバイスあたり61ドル（ビジネス向け）、1ドル（教育機関向け）からとなっています（2024年4月時点の情報に基づきます。最新の情報はMicrosoftの公式サイトをご確認ください）。

ESU利用の注意点

• ESUはセキュリティ更新プログラムのみを提供し、機能アップデートや無償サポートは含まれません。
• 個人向けの提供期間は1年間と限定的です。
• 法人向けの費用は年々高額になります。
• ESUの提供もいずれ終了するため、恒久的な解決策ではありません。

1. ESU（拡張セキュリティ更新プログラム）の利用（有償）

Microsoftは、Windows 10のサポート終了後も、最長3年間（エディションによって異なります）、有償でセキュリティ更新プログラムを提供する「Extended Security Updates (ESU)」プログラムを用意しています。これは、サポートが切れた後もセキュリティリスクを軽減するための、公式な延命措置と言えるでしょう。

個人向けESUの概要と利用方法

個人ユーザー向けのESUは、サポート終了日から最長1年間、セキュリティ更新プログラムを受け取ることができるオプションです。購入費用は年間30ドル（2024年4月時点の情報に基づきます。最新の情報はMicrosoftの公式サイトをご確認ください）。

利用方法:

1. サポート終了日が近づくと、Microsoft Storeを通じてESUの購入が可能になる予定です。Microsoftの公式サイトや関連情報をご確認ください。
2. 購入後、案内に従ってライセンスをアクティベートします。
3. アクティベートが完了すると、通常のWindows Updateを通じてセキュリティ更新プログラムが配信されるようになります。

法人・教育機関向けESUの概要と利用方法

ビジネスおよび教育機関向けのESUは、最長3年間利用可能です。費用は年々増加するサブスクリプション形式で、初年度は1デバイスあたり61ドル（ビジネス向け）、1ドル（教育機関向け）からとなっています（2024年4月時点の情報に基づきます。最新の情報はMicrosoftの公式サイトをご確認ください）。

利用方法:

1. ボリュームライセンスをお持ちの組織は、Microsoftボリュームライセンスサービスセンターを通じてESUを購入し、展開・管理を行います。
2. ボリュームライセンスをお持ちでない中小企業などの場合は、Microsoftのパートナー企業を通じてESUを購入するなどの方法が提供される予定です。詳細はMicrosoftの公式サイトやパートナー企業にお問い合わせください。
3. 購入後、組織内のデバイスに対してESUライセンスを適用します。具体的な適用方法は、組織の環境や管理方法によって異なります。
4. ライセンスが適用されたデバイスは、通常のWindows UpdateやWSUS（Windows Server Update Services）などを通じてセキュリティ更新プログラムを受信できるようになります。

ESU利用の注意点

• ESUはセキュリティ更新プログラムのみを提供し、機能アップデートや無償サポートは含まれません。
• 個人向けの提供期間は1年間と限定的です。
• 法人向けの費用は年々高額になります。
• ESUの提供もいずれ終了するため、恒久的な解決策ではありません。
• ESUの購入および適用方法の詳細は、Microsoftの公式サイトで最新情報を必ずご確認ください。

2. 信頼できるセキュリティ対策ソフトの導入・強化

サポートが終了したOSにとって、サードパーティ製のセキュリティ対策ソフトは最後の砦となる可能性があります。信頼できるベンダーのセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つことで、既知のマルウェアやウイルスの侵入を防ぐ効果が期待できます。

※　MSのWin10サポート終了後も対応していると明確に表示している製品を利用してください。なお、通常はMSサポート終了後数ヶ月でセキュリティソフトのWin10対応も終了します。

セキュリティ対策ソフト選定のポイント

• 実績があり、第三者機関の評価が高い製品を選ぶ。
• リアルタイム保護、ファイアウォール、不正侵入検知などの機能が充実しているか確認する。
• 定期的なアップデートが提供されているか確認する。
• PCの動作を極端に遅くしない軽量な製品を選ぶ。

利用時の注意点

• セキュリティ対策ソフトは万能ではありません。OS自体の脆弱性を完全に防ぐことはできません。
• 不審なウェブサイトへのアクセスや、出所の不明なファイルの実行は避けることが重要です。
• OSやソフトウェアのアップデート通知は無視せず、可能な範囲で最新の状態に保つように心がける（セキュリティ以外の改善も含まれている場合があります）。

危険を伴うが何らかの手段でWindows 11をインストールする（非推奨）

以下の方法は、Microsoftが推奨する正規のアップグレードパスではなく、お使いのPCの動作保証や将来のサポートを損なう可能性が非常に高いです。実行する場合は、これらのリスクを十分に理解し、すべて自己責任で行ってください。データのバックアップは必ず行ってください。

1. レジストリを編集してTPMとSecure Bootのチェックを回避する

Windows 11のインストール時に行われるTPM（Trusted Platform Module）とセキュアブートのチェックを、レジストリを編集することで回避する方法が存在します。この方法は比較的簡便ですが、Windowsの動作に予期せぬ影響を与える可能性があります。

手順の概要（詳細な手順は信頼できる情報源を参照してください）

1. Windows 10のインストールメディアまたは起動可能なUSBドライブからPCを起動します。
2. Windowsセットアップ画面が表示されたら、Shift + F10キーを押してコマンドプロンプトを開きます。
3. レジストリエディタを起動するために `regedit` と入力し、Enterキーを押します。
4. 以下のキーに移動します: `HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\Setup`
5. `Setup` キーの下に新しいキー `LabConfig` を作成します。
6. `LabConfig` キーの中に、以下のDWORD (32 ビット) 値を作成します。
   • `BypassTPMCheck` の値を `00000001` に設定
   • `BypassSecureBootCheck` の値を `00000001` に設定
7. レジストリエディタを閉じ、Windowsセットアップに戻ってインストールを続行します。

この方法の注意点

• レジストリの編集を誤ると、システムが起動しなくなるなどの深刻な問題が発生する可能性があります。慎重に操作してください。
• この方法でインストールできたとしても、Windows 11のすべての機能が正常に動作するとは限りません。
• 将来のWindows 11のアップデートが適用できなくなる可能性があります。

2. Rufusなどのサードパーティ製ツールを使用する

RufusのようなブータブルUSBドライブ作成ツールを使用すると、Windows 11のインストールメディアを作成する際に、互換性チェックをバイパスするオプションを選択できる場合があります。この方法も比較的容易ですが、ツールの利用には一定のリスクが伴います。

手順の概要（ツールの使用方法は各ツールのドキュメントを参照してください）

1. Rufusなどのツールをダウンロードし、起動します。
2. Windows 11のISOイメージファイルを選択します。
3. ターゲットデバイスとしてUSBドライブを選択します。
4. 「パーティション構成」などの設定項目で、互換性チェックをバイパスするオプション（例: 「Extended Install (no TPM, no Secure Boot)」）を選択します。
5. 「スタート」ボタンをクリックして、起動可能なUSBドライブを作成します。
6. 作成したUSBドライブからPCを起動し、Windows 11のインストールを開始します。

この方法の注意点

• サードパーティ製ツールの利用は、セキュリティ上のリスクを伴う可能性があります。信頼できるソースからダウンロードしてください。
• この方法で作成したインストールメディアでインストールした場合も、Windows 11の動作が保証されるわけではありません。
• 将来のWindows 11のアップデートが適用できなくなる可能性があります。

重要な警告

これらの方法でWindows 11をインストールした場合、お使いのPCはWindows 11の最低システム要件を満たしていないため、Microsoftからのサポートやアップデート（セキュリティアップデートを含む）を受けられない可能性があります。これにより、セキュリティリスクが増大したり、PCが正常に動作しなくなる可能性があります。また、メーカーの保証も対象外となる場合があります。これらのリスクを十分に理解した上で、自己責任において実行してください。

重要な注意点：CPUの命令セットについて

前述のレジストリ編集やサードパーティ製ツールを使用する方法を含め、いかなる手段を用いても、お使いのPCのCPUが「POPCNT」と「SSE 4.2」という2つの命令セットをサポートしていない場合、Windows 11を正常に動作させることは非常に困難です。これらの命令セットは、Windows 11の基本的な機能に必要なものであり、ソフトウェア的な回避策は存在しません。

お使いのCPUがこれらの命令セットをサポートしているかどうかは、CPUの型番をインターネット検索するか、CPUの製造元の公式サイトで仕様を確認することで調べることができます。もしこれらの命令セットをサポートしていない場合は、Windows 11へのアップグレードを強行しても、不安定な動作や機能制限、最悪の場合は起動不能といった問題が発生する可能性が高いことをご理解ください。

Windows 11の要件を回避してアップグレードする具体的な操作方法（非推奨）

ここでは、Windows 11のシステム要件（特にTPM 2.0とセキュアブート）を満たさないPCに、何らかの手段を用いてWindows 10からWindows 11へアップグレードする具体的な手順の概要を説明します。繰り返しますが、この方法はMicrosoftが推奨する正規のアップグレードパスではなく、お使いのPCの動作保証や将来のサポートを損なう可能性が非常に高いです。実行する場合は、これらのリスクを十分に理解し、すべて自己責任で行ってください。アップグレード前に必ず重要なデータのバックアップを行ってください。

1. 事前準備：Windows 11 インストールメディアの作成（要件回避版）

Windows 11のインストールメディアを作成する際に、互換性チェックをバイパスする工夫が必要です。主に以下のいずれかの方法を用います。

a) Rufusを使用する方法

1. RufusなどのブータブルUSBドライブ作成ツールをダウンロードし、起動します。
2. Windows 11のISOイメージファイルを選択します。
3. ターゲットデバイスとしてUSBドライブを選択します。
4. 「イメージオプション」の設定で、「拡張インストール（TPMなし、セキュアブートなし）」のような、互換性チェックをバイパスするオプションを選択します（ツールのバージョンによって表記が異なる場合があります）。
5. 「パーティション構成」は、お使いのPCのBIOSモード（UEFIまたはLegacy）に合わせて選択します。
6. 「スタート」ボタンをクリックして、起動可能なUSBドライブを作成します。

b) レジストリファイルを適用する方法（インストールメディア作成後）

1. 通常のWindows 11インストールメディア（USBまたはISO）を準備します。
2. USBドライブの場合は、内容をPCのローカルフォルダにコピーします。ISOファイルの場合は、仮想ドライブとしてマウントします。
3. テキストエディタを開き、以下の内容を記述して「bypass.reg」などの名前で保存します。

   Windows Registry Editor Version 5.00
   
   [HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\Setup\LabConfig]
   "BypassTPMCheck"=dword:00000001
   "BypassSecureBootCheck"=dword:00000001
   "BypassRAMCheck"=dword:00000001
   "BypassStorageCheck"=dword:00000001
   "BypassCPUCheck"=dword:00000001
   

4. 手順2でコピーしたインストールファイルが含まれるフォルダに、作成した「bypass.reg」ファイルを移動します。
5. セットアップファイル（setup.exe）を実行する前に、「bypass.reg」ファイルをダブルクリックしてレジストリに適用します（管理者権限が必要な場合があります）。

2. アップグレードの実行

作成した要件回避済みのWindows 11インストールメディアを使用してアップグレードを実行します。

1. Windows 10が起動している状態で、作成したインストールメディア（USBドライブまたはマウントしたISOファイル）を開きます。
2. セットアップファイル（setup.exe）を実行します。
3. 「重要な更新プログラムを入手しています」という画面が表示されたら、推奨されるオプションを選択して「次へ」をクリックします。
4. ライセンス条項への同意画面が表示されたら、「同意する」をクリックします。
5. 互換性に関する警告が表示される場合がありますが、無視して「インストール」をクリックします（自己責任となります）。
6. インストールが完了すると、PCが自動的に再起動し、Windows 11が起動します。

アップグレード後の確認事項

• デバイスマネージャーの確認: すべてのデバイスが正常に認識され、動作しているか確認します。不明なデバイスやエラーが表示されている場合は、対応するドライバを別途インストールする必要がある場合があります。
• アプリケーションの動作確認: Windows 10で使用していたアプリケーションが正常に動作するかどうかを確認します。
• システムの安定性確認: しばらくの間、通常通りPCを使用し、不安定な動作やエラーが発生しないか確認します。

重要な警告

Windows 11のシステム要件を回避してのアップグレードは、安定した動作や将来のアップデートを保証するものではありません。予期せぬ問題が発生する可能性を十分に理解した上で、慎重に実行してください。

Windows 11の要件を回避してWindows 10からWindows 11へアップグレードする場合（非推奨）の注意点

前述の回避策を用いてWindows 11をインストールする場合、既存のWindows 10環境をそのまま引き継ぐ「アップグレード」という方法も選択肢として存在します。しかし、非推奨の環境でのアップグレードは、クリーンインストール以上に予期せぬ問題が発生する可能性が高いため、慎重な判断が必要です。アップグレードを行う前に、必ず重要なデータのバックアップを行ってください。

アップグレード時の主なリスク

• 既存のドライバとの非互換性: Windows 10で使用していたドライバがWindows 11と完全に互換性がない場合、デバイスが正常に動作しない、または不安定になる可能性があります。特に、メーカーがWindows 11用のドライバを提供していない古いハードウェアで発生しやすいです。
• ソフトウェアの互換性の問題: Windows 10で動作していたアプリケーションが、Windows 11の非推奨環境では正常に動作しない場合があります。特に、システムに深く統合されたソフトウェアや、古いバージョンのアプリケーションで問題が発生する可能性があります。
• システムの不安定化: 非推奨の環境でのアップグレードは、システムの安定性を大きく損なう可能性があります。予期せぬエラー、フリーズ、ブルースクリーンなどが頻発するようになるかもしれません。
• パフォーマンスの低下: Windows 11のシステム要件を満たしていないPCにアップグレードした場合、パフォーマンスが大幅に低下し、操作感が悪くなる可能性があります。
• アップグレード後のロールバックの困難性: 非推奨環境でのアップグレード後、元のWindows 10環境に正常にロールバック（戻す）ことができない場合があります。
• 将来のアップデートの問題: アップグレードができたとしても、その後のWindows 11の機能アップデートやセキュリティアップデートが正常に適用されない可能性があります。

アップグレード前に推奨されること

• 完全なシステムバックアップ: 万が一問題が発生した場合に備え、システム全体のバックアップを作成しておくことを強く推奨します。
• 互換性の確認（可能な範囲で）: 各ハードウェアメーカーやソフトウェアベンダーのウェブサイトで、Windows 11での動作状況に関する情報を確認します（ただし、非推奨環境での情報は限られている可能性があります）。
• 不要なソフトウェアのアンインストール: アップグレード前に不要なアプリケーションをアンインストールしておくことで、互換性問題のリスクを軽減できる可能性があります。
• BIOS/UEFIのアップデート: 可能であれば、最新のBIOS/UEFIにアップデートしておくことで、互換性が向上する可能性があります。

重要な警告

非推奨のハードウェアへのWindows 11のアップグレードは、多くのリスクを伴います。安定した動作や将来のサポートは保証されません。実行する場合は、これらのリスクを十分に理解し、すべて自己責任で行ってください。

その他の手段（概要）

1. Linuxなどの代替OSへの移行

Windows 10にこだわりがない場合、Linuxなどの代替OSへの移行は、古いPCを再活用するための有効な選択肢の一つです。Linuxには多くのディストリビューション（種類）があり、比較的軽量で古いPCでも動作するものや、Windowsに似た操作感を持つものもあります。

概要と主な考慮事項

• Windowsとの違い: LinuxはWindowsとは異なるOSであり、操作方法や利用できるソフトウェアが異なります。
• 互換性: Windows専用のソフトウェアは、通常Linuxではそのまま動作しません。Wineなどの互換レイヤーを利用できる場合もありますが、完全な動作は保証されません。
• 必要な知識: インストールや基本的な操作には、ある程度のPCに関する知識が求められます。
• メリット: 無償で利用できるディストリビューションが多く、セキュリティアップデートも比較的頻繁に提供されます。軽量なディストリビューションを選べば、古いPCでも快適に動作する可能性があります。
• デメリット: Windowsに慣れたユーザーにとっては操作を覚える必要がある、利用できるソフトウェアが限られるなどの点があります。

Linux派生：ChromeOS Flex

Googleが提供するChromeOS Flexは、WindowsやMacのPCをChromebookのように生まれ変わらせることを目的としたOSです。軽量で高速な動作、シンプルな操作性、そして自動アップデートによるセキュリティの維持が特徴です。特に、ウェブブラウジングやクラウドベースの作業が中心のユーザーに適しています。当サイトでは、ChromeOS Flexのインストールから利用までを解説するシリーズ記事を公開していますので、ぜひそちらも参考にしてください。

• 特徴: 軽量、高速起動、シンプルなUI、自動アップデート、セキュリティ機能内蔵。
• メリット: 古いPCでも快適に動作する可能性が高い、セキュリティアップデートが自動で行われるため安心、インストールが比較的容易。
• デメリット: Windows専用のソフトウェアは基本的に利用できない（代替のウェブアプリやAndroidアプリ（非公式な方法による場合あり）が中心）、周辺機器との互換性に注意が必要。

→ ChromeOS Flexのインストールと利用に関する記事はこちら

順序	記事リンク
1	【PC再利用】ChromeOS FlexでWin10PCを再利用-01【2025/03/04】
2	【PC再利用】ChromeOS FlexでWin10PCを再利用-インストール編【2025/03/04】
3	【PC再利用】ChromeOS FlexでWin10PCを再利用-周辺機器の利用【2025/03/04】
4	【PC再利用】ChromeOS FlexでWin10PCを再利用-Win PCをリモート操作する【2025/03/04】
5	【PC再利用】ChromeOS FlexでWin10PCを再利用-ソフトウエアの利用【2025/03/04】
6	【PC再利用】ChromeOS FlexでWin10PCを再利用-憶えておきたい操作方法【2025/03/04】（この記事）
番外 （参考記事）	【考え方次第】6TBのクラウドストレージをめちゃ安値で使い倒す【2024/6/19】 ※　旧サイト自作PC道楽の記事となります。 ChromeOS Flexの利用では、クラウドストレージの容量がある程度はあったほうが良いでしょう。具体的には、Onedvive、Googleドライブ、アマゾンドライブのいずれかを選ぶ方が多くなるのでしょうが、200GBで2,500円/月～数万円/年まで様々です。 クラウド利用とその料金に関しては、この記事を参考にしてくださいね。

2. 仮想環境の利用

現在のPC環境はそのままに、新しいOS環境を利用したい場合は、仮想環境の利用が考えられます。クラウドベースのWindows 365や、VirtualBoxやVMware Playerなどのローカル仮想化ソフトウェアを利用することで、Windows 11などの新しいOSを既存のWindows 10上で動作させることができます。

3. PCの買い替え

最も推奨される、そして長期的に最も安心できる選択肢は、Windows 11のシステム要件を満たす新しいPCに買い替えることです。これにより、最新の機能、セキュリティアップデート、メーカーサポートを安心して利用することができます。

概要と主な考慮事項

• 費用: 新しいPCの購入には費用がかかります。予算に合わせて様々なスペックのPCが選択可能です。
• メリット: 最新のハードウェアによる高いパフォーマンス、最新のOSによるセキュリティと機能、メーカーのサポート、将来的な互換性の心配が少ないなど、多くのメリットがあります。また、最新の省電力技術により、電気代の節約にも繋がる可能性があります。
• デメリット: 初期投資が必要となります。データの移行やソフトウェアの再インストールなどの手間がかかります。古いPCの処分も検討する必要があります。

Q&A

最後に

最後まで記事をお読みいただき、誠にありがとうございました。

この記事が、Windows 10サポート終了後のPCの取り扱いについて考える上で、少しでもお役に立てたなら幸いです。ご紹介した各選択肢については、ご自身のPCの利用状況や技術的なスキル、そしてセキュリティに対する考え方を総合的に考慮し、最適な判断をされることをお勧めします。

もし、この記事の内容について疑問点やさらに知りたいことがございましたら、コメント欄などでお気軽にご質問ください。

今後のPCライフがより安全で快適なものとなるよう、心より願っております。

今回の記事は以上となります。

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