- この記事の結論:セキュリティ構築「やること」リスト
- この記事の要約
- この記事について
- ダイジェスト版
- この記事に掲載しているトラブル解決のステップと目安時間
- 序文
- 本文
- 企業で一括管理する場合の管理者向けTips
- Q&A:よくある疑問と不安
- 記事中の専門用語の解説
- おまけ1:ネットバンキングを利用する際の鉄則
- おまけ2:最大の敵は「自分自身」? クリック前の「心のブレーキ」
- おまけ3:最大の侵入口「メール」は“公式情報”で裏を取る
- おまけ4:デフォルトからの脱却。「Windows要塞化」3つの設定
- 最後に:防御とは「空振り」させること
- このブログのスタンス:速報性と予防効果を最優先する理由
この記事の結論:セキュリティ構築「やること」リスト
最初に、この記事で目指す「最終的なゴール(結論)」を提示します。
以下の3段階の対策を解説していきますが、いきなり全部やる必要はありません。
まずは「Lv.1」をクリアするだけでも、あなたのPCの安全性は劇的に向上します。
なお、この記事は基本的に「個人・個人事業主・20名程度までの小規模事業所」を念頭に置いています。
しかし、セキュリティの基本原則は規模を問いません。大規模な組織におかれましても、見落としの確認や、小規模なデポ(拠点)での適用などに応用が効く内容です。
大規模事業所のITプロの方にも、読み物として楽しんでいただければ幸いです。
【動画で解説】初心者向け:「多重防御」の図解と比喩
「文字だけだとイメージしにくい…」という方のために、今回のセキュリティ概念(多重防御)を、AIが「お城の守り」や「頑固な門番」に例えてわかりやすく解説した動画を作成しました。
記事解説動画-仕組み編:(5分34秒)
この記事の要約
※ この要約はGoogle Geminiを利用して作成されました
個人の手作業によるファイアウォールの「ホワイトリスト登録」は、現代のWeb構造上、事実上不可能です。この記事では、DNSフィルタリング(NextDNS)とパスワード管理ツールを組み合わせ、最小の手間で詐欺サイトを自動遮断する「現実的な最強設定」を解説します。
解説動画のリンク(作成中です)
この記事について

今回の記事は、「セキュリティを強化したいが、面倒な設定は続かない」という個人ユーザー、および「予算をかけずに社内のPCを守りたい」という中小企業の管理者の方に向けて書かれています。
「怪しい通信以外はすべて遮断する(ホワイトリスト方式)」が一番確実な手段であることは間違いありません。しかし、無数に生まれるWebサイトを手動で登録し、更新し続けるのは現実的に不可能です(無理ゲーです)。
では、どうすれば最小の手間で「強固な対策」を講じることができるのでしょうか?
この記事では、その「自動化の秘密」を解説します。
なお、個人利用はもちろん、企業の情シス担当者などが多数のPCに展開するうえでも汎用性の高い手法ですので、ぜひ参考にしてください。
ダイジェスト版
スライドショー動画(約◯分)
GoogleノートブックLMで作成したスライドショー動画です。(日本語字幕付き)
記事解説動画-仕組み編:(5分34秒)
記事解説動画総合版:(約◯分)
※ 作成中です
テキスト版ダイジェスト
「怪しいサイト以外は全てブロックしたい」。これはセキュリティの理想ですが、手動でのホワイトリスト管理は破綻します。 解決策は「自動化」です。
- NextDNSで「作られて30日以内のドメイン」を自動ブロックし、詐欺サイトへの入り口を封鎖する。
- Bitwardenなどのパスワード管理ツールを使い、偽サイトでは自動入力をさせない(情報を渡さない)。
- ブラウザにパスワードを記憶させないことで、万が一のウイルス感染時も被害を最小化する。
- 広告ブロックで「入れ子式の詐欺(マルバタイジング)」を防ぐ。
この4ステップで、アサヒビールやKADOKAWAのような被害の「踏み台」になるリスクを劇的に下げることができます。
わかりやすい解説:なぜ「気をつける」だけではダメなのか?
今回の記事は、専門的な設定が多く登場しますが、言いたいことはたった一つです。
「セキュリティを、あなたの『注意力』や『頑張り』に頼るのはもうやめましょう」
以下に、専門用語を使わずに今回の記事の核心部分を物語風に解説します。
1. 泥棒は「新品の住所」を使ってやってくる
インターネット上には、毎日何万という「詐欺サイト」が生まれては消えています。
これらは、Amazonや楽天、あるいは警察庁のフリをして、あなたからIDやパスワード、クレジットカード番号を盗もうと待ち構えています。
昔のセキュリティ対策は「ブラックリスト方式」でした。
「ここが泥棒の家だ」というリストを作り、そこへのアクセスを禁止する方法です。しかし、今の泥棒は賢くなりました。
彼らは、犯罪をするたびに「新しい住所(ドメイン)」を取得し、使い捨てにします。
今日作られたばかりの詐欺サイトは、まだブラックリストに載っていません。だから、従来のセキュリティソフトでは「安全」と判定されてしまい、すり抜けてしまうのです。
2. 「新参者はお断り」という最強のルール
そこで登場するのが、今回紹介した「NextDNS(ネクスト・ディーエヌエス)」という門番です。
この門番に、ある一つの命令を出します。
「生まれてから30日以内の『新参者』は、通すな」
実は、AmazonやGoogle、あなたの会社の公式サイトなど、まともなWebサイトは何年も前からそこに存在しています。
逆に、昨日今日作られたばかりの「Amazonそっくりのサイト」は、ほぼ間違いなく詐欺です。
「中身が良いか悪いか」を判断するのは難しいですが、「新人かどうか」は機械的に100%判断できます。
このシンプルなルールを導入するだけで、世界中の詐欺サイトの大部分を、中身を見るまでもなく門前払いできるのです。
3. 「偽物には反応しない」金庫を持つ
もし、門番をすり抜けて、詐欺サイトにたどり着いてしまったらどうなるでしょうか?
画面には本物そっくりの「ログイン画面」が表示されています。
ここで多くの人は、ブラウザ(ChromeやEdge)の自動入力機能を使って、IDとパスワードを入れてしまいます。
しかし、記事で紹介した「Bitwarden(ビットウォーデン)」という専用の金庫アプリを使っていれば、話は別です。
この金庫は、人間の目よりもはるかに正確です。
見た目がどれだけAmazonにそっくりでも、インターネット上の住所(URL)が1文字でも違えば、「ここはAmazonではありません。だから鍵は出しません」と、沈黙を守ります。
「金庫が開かない(自動入力されない)」=「そこは偽サイトである」
この図式が出来上がっていれば、あなたは「あれ?入力できないな」と気づき、詐欺被害を未然に防ぐことができるのです。
4. 「家の鍵」もしっかりかける
最後に、PCそのもの(Windows)の設定についても触れました。
これは、家の玄関にオートロック(NextDNS)をつけ、頑丈な金庫(Bitwarden)を置いたとしても、「裏口の窓(Windowsの設定)」が開けっ放しなら意味がないからです。
Windowsは、買ったばかりの状態だと「誰でも使いやすいように」設定されていますが、それは裏を返せば「泥棒にとっても入りやすい」状態です。
少しだけ設定を変えて(要塞化して)、泥棒が嫌がる家にしておくことが大切です。
この記事に掲載しているトラブル解決のステップと目安時間
序文
具体的な手法の解説に入る前に、どうしてもお伝えしておきたいことがあります。
AI-そして最後はやはり人間になること
1. AIは何が得意なのか?
AI(ChatGPTの悪用版など)がハッカーにもたらした武器は、主に以下の2点です。
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完璧な日本語と文脈: 「怪しい日本語」がなくなり、過去のメールのやり取りを学習して、本物の取引先そっくりの文章を作れます。
-
大量の亜種生成: セキュリティソフトに検知されないよう、プログラムコードを毎回少しずつ書き換えて攻撃してきます。
つまり、AIは「人間の目(判断力)」と「従来のウイルス対策ソフト」を騙すのが非常にうまいのです。
2. なぜ今回の装備が「AI対策」になるのか?
今回の記事で提案した構成は、AIが頑張って作った「偽装」を、機械的に無効化します。
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Bitwarden vs AIフィッシングメール:
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AI: 「井上さん、先日の件ですが…」と、完璧な文面で偽サイトへ誘導します。人間の目は騙されます。
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Bitwarden: 「文章がどれだけ完璧でも、URLが
amazon.co.jpではなくamazon-support.comなら、私はパスワードを出しません」。 -
→ AIは「URL(ドメイン)」という物理的な事実は誤魔化せません。 だからツールが勝つのです。
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NextDNS vs AIマルウェア:
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AI: 検知を逃れるためにコードを変形させた「未知のウイルス」を送り込みます。
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NextDNS: 「中身がウイルスかどうかは知らんけど、そいつが通信しようとしている『通信先(C2サーバー)』は、昨日できたばかりのドメインだな? じゃあ遮断するわ」。
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→ AIが作ったウイルスも、指令サーバーと通信できなければただのゴミです。
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つまり、「AIは『中身(コンテンツ)』を偽装するのは得意だが、『通信経路(インフラ)』までは隠しきれない」のです。だからこそ、NextDNSのようなインフラ防御が最強の盾になります。
※ NextDNS対策をしたサイトもすでにあります。例えば実在の企業のセキュリティーの甘いドメインを乗っ取ったようなサイトです。ここでも過信は禁物という例があるということです。
AIの脅威と、最後に試される「人間力」
「ツールで85%防げるなら、残りの15%は何なのか?」
それは、AIを悪用した高度な攻撃と、人間の心理を突く泥臭い罠です。
1. AIは「日本語」と「変装」が得意
ChatGPTなどのAIが悪用されることで、ハッカーの手口は劇的に進化しました。
- 完璧な日本語: かつてのような「怪しい日本語」は消えました。過去のメールを学習し、取引先そっくりの自然な文体で攻撃してきます。
- 大量の変装(亜種生成): セキュリティソフトに検知されないよう、プログラムコードを毎回少しずつ書き換えて「新種」に見せかけてきます。
つまり、AIは「人間の目(判断力)」と「従来のウイルス対策ソフト」を騙すのが非常にうまいのです。
2. それでも今回のツールが「AIに勝てる」理由
しかし、今回紹介する防御策は、AIが必死に作った「偽装」を機械的に無効化します。
AIは「中身(コンテンツ)」を偽装するのは得意ですが、「通信経路(インフラ)」の履歴までは隠しきれません。だからこそ、ここを塞ぐのが最強の盾になるのです。
3. 最大の弱点は「信頼」を利用した攻撃
残りのリスク、そして最も厄介なのが、PCの「外側」や「時間差」を使った攻撃です。
- ディープフェイク(声や顔の偽造):
上司の声で電話がかかってきたり、Web会議で取引先の顔をした偽物が現れたりした場合、PCの中の防御ツールは無力です。 - 「信用」の積み上げ(Time-based Attacks):
最初は本物の無害なサイトやファイルを送り、「この人は安全だ」と信用させます。
数週間やり取りをして完全に油断したタイミングで、悪意あるリンクやファイルを送ってくる手口です。
これらを防げるのは、最終的には「アナログな確認(電話をかけ直すなど)」や「違和感に気づく人間力」だけです。
ツールで「デジタルの攻撃」を自動防御し、人間は「アナログな攻撃」の警戒に集中する。
この役割分担こそが、AI時代の正しいセキュリティです。
🤖 AI攻撃への備え:「アナログ」な確認を大切に最近はAIを悪用し、完璧な日本語のメールを送ったり、上司の「声」を真似て電話をかけたりする攻撃(ディープフェイク)が増えています。
今回紹介したツール(Bitwarden等)は、AIが作った偽サイトも見破ってくれますが、「電話」や「Web会議」での詐欺までは防げません。
もし「急にお金を振り込め」などの指示があった場合は、ツールに頼るのではなく、「一度電話を切って、知っている番号にかけ直す」という、昔ながらの超アナログな確認こそが最強の防御になります。
「屋上屋(おくじょうおく)」を重ねないために
セキュリティ対策でやりがちなのが、仕組みを理解せずにツールを次々と導入し、対策の上にさらに対策を重ねてしまうことです。
これはPCの動作を重くするだけでなく、ツール同士が競合して不具合を起こしたり、逆に管理が行き届かなくなって穴が空く原因にもなります(屋上屋を架す)。
大切なのは、ツールを積み上げることではなく、「正確な知識」を持って、必要な対策をシンプルに配置することです。
【推奨】金融取引環境の「隔離」について
記事の後半でも触れますが、ネットバンキング等を行うPCについては、以下の環境作りを強く推奨します。
逆張りの思考:99.9%の「検知」より「隔離(アイソレーション)」で守る
「セキュリティを固めよう」という記事とは相容れないと捉える方もいるでしょうが、実は「あえて安全ではない(使い捨ての)PC環境」を作り、分離してしまうという考え方も存在します。
場合によっては、こちらのほうが遥かに楽で確実というケースもあります。
危険な作業は、危険な(汚れてもいい)PCで行うほうが理に適っています。
例えば、調査のために怪しいサイトを横断的に訪問する場合などです。
あるいは、そのようなリスクのある作業は「Google GeminiなどのAIに任せてしまう(代わりにアクセスして要約させる)」というのも、現代的な隔離手法の一つでしょう。
セキュリティには、「ゼロトラスト(何も信頼しない)」という考え方があります。
これは、「ウイルス対策ソフトで99.9%検知して防ごう」という従来の努力を、ある意味で放棄する(裏返す)逆張りの発想です。
もし、爆弾処理班のような「頑丈な隔離部屋(サンドボックス)」の中でファイルを開けば、中身がウイルスであっても、部屋が焦げるだけであなたのメインPCや資産は無傷です。
「入ってくるものをすべて検査する」のが無理なら、「怪しいものは隔離環境(アイソレーション)に閉じ込めて扱う」。
この「分離」の思考こそが、未知の脅威に対抗できる唯一の手段です。
記事の後半で紹介する「Chrome OS Flex」や「Windows Sandbox」は、まさにこの思考を具現化したツールです。
本文
時間がない方へ:この記事での「クイック解決」
「怪しいサイト以外は全部ブロックする(ホワイトリスト)」方式は、セキュリティ最強ですが、管理が面倒すぎて正直無理ゲーです。
そこで、「手間をかけずに、実質的に同等の防御力を手に入れる」ための最短ルート(3ステップ)を紹介します。
- NextDNSを導入する:
「新規取得ドメイン(30日以内)」をブロック設定にするだけで、詐欺サイトの大半を遮断できます。 - DNS設定を変更する:
個人なら専用アプリを入れるだけ、企業ならルーターの設定を変えるだけで完了です。 - Bitwardenを使う:
ブラウザのパスワード保存をやめ、ツール経由でのみ入力する癖をつければ、偽サイトで「入力できない」状態を作れます。
これにより、「怪しいサイトには繋がらない」「万が一繋がってもパスワードが入らない」という鉄壁の環境が完成します。
※ 大前提として、Windows OS自体の警戒レベルの引き上げも重要です。
記事後半の「おまけ4:デフォルトからの脱却。『Windows要塞化』3つの設定」も必ず確認してみてくださいね。
「設定してネットが繋がらなくなるのが不安…」という方でも大丈夫!
いつでも元に戻せる安全な手順を解説します。
【緊急提言】なぜ「手動ホワイトリスト」は破綻するのか?
「正規に利用する真正のサイト以外は遮断したい」。 これがセキュリティの理想であり、理論上は一番確実な手段であることは、セキュリティ担当者や詳しい方なら誰もが知っています。
しかし、実際にWindowsのファイアウォールやルーターで、個人の手作業でホワイトリストを更新し続けるのは、事実上「困難すぎる(不可能)」と言わざるをえません。
「セキュリティを高くしたいけれど、設定を間違えてネットが繋がらなくなったらどうしよう……」 「イチイチ許可設定をするなんて、面倒で続くわけがない」
そう感じて二の足を踏んでいる方、その感覚は正しいです。無理に手動で行えば、日常のネット利用に支障が出ます。
現代のWebは「砂浜の砂」のように複雑
なぜ手動登録がこれほど難しいのでしょうか。それは、現代のWebサイトの構造が複雑化しているからです。
あなたが普段見ている「Yahoo! JAPAN」や「YouTube」などの1つのページを表示するためには、裏側で画像配信サーバー(CDN)、広告配信、解析ツール、認証システムなど、数十個の異なるドメイン(住所)と通信を行っています。 しかも、それらの住所は日々動的に変化します。
これらを全て手動で許可登録するのは、砂浜の砂を数えるような作業です。専任のネットワークエンジニアがいない限り、必ずどこかで破綻します。
狙われているのは「あなた」です
「だからといって、ウイルス対策ソフトだけで大丈夫だろう」と油断してはいけません。
先日のアサヒビールやKADOKAWAのランサムウェア被害を思い出してください。あの規模のシステムダウンも、きっかけは「たった1台の個人のPC」や「VPN機器」の感染から始まることがほとんどです。
今、ハッカーはセキュリティの堅い大企業を直接攻めるのではなく、「セキュリティの甘い中小企業や個人事業主(サプライチェーン)」を踏み台にして侵入してきます。つまり、あなたのPCが狙われているのです。
では、どうすればいいのでしょうか? 手動の苦労をせず、ネットが繋がらなくなるトラブルも避けつつ、鉄壁の守りを作る方法はないのでしょうか?
答えは「自動化」にあります。 この記事では、「最小の手間で、ホワイトリスト運用に匹敵する強固なセキュリティ基盤を構築する手法」を解説します。
Step 1:入り口を自動封鎖する「NextDNS」
手動でリストを作るのが無理なら、「世界中のセキュリティ企業が24時間更新し続けているリスト」を自動で使わせてもらえばいいのです。それが「NextDNS」です。
これはファイアウォール(通信)を止める手前、「DNS(電話帳)」の段階で止めるアプローチです。
なぜNextDNSが「詐欺サイト」に効くのか?
NextDNSには「新規取得されて30日以内のドメインを全てブロック」という強力な機能があります。 詐欺サイトやフィッシングメールのリンクの9割は、作られて数日以内の「使い捨てドメイン」です。この機能をONにするだけで、「老舗の(安全な)サイトは通すが、昨日できたばかりの(怪しい)詐欺サイトは通さない」という、実質的なホワイトリスト運用に近い環境が全自動で作れます。
【導入ガイド】詳しい設定方法と注意点
NextDNSの導入と具体的な設定手順については、以下のサイト様が非常に分かりやすく解説されていますので、こちらを参考に設定を進めてください。
あなたの立場に合わせた導入パターン
パターンA:個人・フリーランス・副業の方
- 方法: PCやスマホに「NextDNS公式アプリ」を入れるだけ。
- メリット: 自宅の有線LANでも、外出先のカフェのWi-Fiでも、回線の種類を問わず端末自体が常に守られます。
- コスト: 基本的に無料プラン(月30万クエリ)で十分です。
パターンB:小規模オフィス・店舗・零細企業の管理者
- 方法: 「会社のルーター」のDNS設定をNextDNSのアドレスに書き換える(IPv4/IPv6 Linked IP)。
- メリット: 社員のPC一台一台にソフトを入れる必要がありません。有線LANで繋いだデスクトップPCも、Wi-Fiで繋いだスマホも、社内ネットワーク配下の全機器が一括で保護されます。
- コスト: 有料プラン(年額2,500円程度)が必要になる場合がありますが、激安のUTM代わりと考えれば破格です。
Step 2:情報を渡さない「Bitwarden」と「都度入力」
DNSフィルタリングで「入り口」を塞いでも、正規のドメイン(Googleフォームなど)を悪用した詐欺サイトはすり抜けてくることがあります。 そこで第2の防御策、「偽サイトには情報を渡さない」仕組みを作ります。
最強の盾は「パスワード管理ツールの沈黙」
人間は「偽Amazon」の精巧な画面(ロゴやデザイン)を見て騙されますが、パスワード管理ツール(Bitwardenなど)は「URL(住所)」しか見ません。 本物の amazon.co.jp でなければ、ツールは「ここは知らない場所です」と判断し、自動入力を拒否(沈黙)します。
「あれ? 自動入力されないな?」と思った瞬間が、運命の分かれ道です。そこで「ツールが壊れた」と思って手動入力してはいけません。 「ツールが動かない=そこは詐欺サイトだ」と判断してください。
【朗報】毎回の入力は「指紋」や「PIN」で一瞬です
「ツールを使うと、毎回長いマスターパスワードを入れるのが面倒くさそう……」と思った方、ご安心ください。 Bitwardenは、Windows Hello(顔認証・指紋認証)や、簡単なPINコード(4桁の数字など)でのロック解除に対応しています。
【導入ガイド】詳しい設定方法と注意点
Bitwardenの導入と具体的な設定手順については、以下のサイト様が非常に分かりやすく解説されていますので、こちらを参考に設定を進めてください。
Step 3:財布を守る「クレジットカード情報の非保存」
最後に、IDやパスワード以上に盗まれてはいけない「お金(クレジットカード)」を守るルールを決めましょう。
ネット通販を利用する際、「次回の買い物のためにカード情報を保存する」というチェックボックスがよくありますが、このチェックは必ず外してください。
「行きつけの店」に財布を預けない
通販サイトにカード情報を登録するのは、「行きつけの店に、財布ごと預けて帰る」のと同じリスクがあります。 もし、その通販サイトがハッキングされ、顧客情報がお漏らし(流出)してしまったら? あなたは何も悪くないのに、預けていたカード情報が漏れ、不正利用の巻き添えを食らいます。
解決策:ここでもBitwardenが役立ちます
「でも、毎回カード番号を入力するのは面倒くさい……」 そう思うかもしれませんが、実はここでもBitwardenが活躍します。 Bitwardenには「カード情報」を安全に保存する機能があります。
通販サイトではカードを保存しない。
決済画面で、Bitwardenから指紋認証1つでカード番号を呼び出し、自動入力(コピペ)する。
この運用に変えるだけで、「万が一サイト側がハッキングされても、自分のカード情報は流出しない(そこにはデータがないから)」という鉄壁の状態を作ることができます。手間はほぼゼロで、リスクだけを極限まで減らせるテクニックです。
Step 4:鉄壁のブラウザ環境を作る(uBlock Origin)
さらに防御力を高めたい場合、ブラウザ拡張機能「uBlock Origin」の導入を推奨します。これは単なる広告ブロックではなく、悪意あるプログラム(スクリプト)を遮断する強力なファイアウォールです。
【補足】Chromeユーザーと、乗り換えを検討する方へ
「じゃあChromeを使っている私はどうすればいいの?」という方のために、現状の選択肢を整理しました。
1. Chromeを使い続けたい場合
従来の「uBlock Origin」は使えなくなりますが、開発者がChromeの新仕様(Manifest V3)に対応させた「uBlock Origin Lite」という後継アドオンを公開しています。
- uBlock Origin Lite: Chromeウェブストアで見る※従来版より少し機能は制限されますが、広告ブロックや詐欺サイト対策としては十分実用的です。まずはこれを入れてみてください。
2. 「最強の盾」を使い続けたい場合(ブラウザ乗り換え)
従来のuBlock Origin(フル機能版)を今後も制限なく使い続けたい場合は、Googleの影響を受けない「Firefox」派生のブラウザへの乗り換えが推奨されます。
| ブラウザ名 | 特徴 |
|---|---|
| Firefox | Googleとは異なるエンジンを採用しており、uBlock Originを今後も完全にサポートすることを表明しています。 |
| Floorp | 日本の学生コミュニティが開発しているFirefoxベースの国産ブラウザ。非常に高機能で、PC好きの間で人気急上昇中です。もちろんuBlock Originが使えます。 |
| Brave | Chromeと同じエンジンですが、ブラウザ自体に強力な広告ブロック機能(Brave Shields)が標準搭載されており、アドオンなしで同等の防御が可能です。 |
セキュリティを最優先にするなら、この機会に「Firefox」や国産の「Floorp」をサブブラウザとして試してみるのも良い選択です。
「入れ子式」の詐欺(マルバタイジング)を無効化する
最近の手口で多いのが、Yahoo!ニュースや大手ブログなどの「安全な正規サイト」に、「ウイルス仕込みの広告」が出稿されるケースです(マルバタイジング)。 ユーザーが正規サイトを見ているだけで、その広告が表示され、勝手に詐欺サイトへ飛ばされます。
【広告ブロックの効果】 uBlock Originを入れると、この「毒入りの広告枠」自体が読み込まれません。 詐欺サイトへの「トンネル(入り口)」が物理的に塞がれるため、誤クリックによる事故を未然に防げます。
【導入ガイド】ダウンロードと使い方
【コラム】会社PCに「広告ブロック」はアリかナシか?
企業で導入する場合、部署によって以下の使い分けが現実的です。
- 一般社員(事務・営業など): 「導入推奨」Webサイトの裏側の仕組みを見る必要がないため、広告ブロックを入れて「きれいなWeb」を見せた方が、誤クリックによるウイルス感染事故を圧倒的に減らせます。また、YouTube広告なども消えるため業務効率も上がります。
- Web担当・マーケティング担当: 「例外(OFFにする)」業務上、トラッキングタグや広告の表示確認をする必要があるため、ツールが動かなくなるトラブルを避けるために例外とします。
Step 5:そもそも「道具」を変える(セーフブラウザの利用)
これまでのStepでは「設定」で守る方法をお伝えしましたが、最後は「使う道具(ブラウザ)」そのものを、より安全なものに変えるという選択肢です。
Windows標準の「Edge」や、シェアNo.1の「Chrome」は便利ですが、セキュリティやプライバシー(追跡防止)の観点では、実は「ガードが甘い(情報を収集される)」側面があります。
そこで、最初から防具を装備している「セーフブラウザ」への乗り換えを検討してみましょう。
【推奨1】インストールするだけで最強「Brave」
「拡張機能を入れたり、設定をいじるのは面倒くさい!」という方に最適なのが、Brave(ブレイブ)というブラウザです。
特徴: ブラウザ自体に強力な「Brave Shields(広告・トラッカーブロック機能)」が標準搭載されています。
メリット:
設定不要: インストールした瞬間から、YouTube広告も、追跡トラッカーも、詐欺サイトのポップアップも自動で弾きます。
Chromeと同じ操作感: 中身はChromeと同じエンジン(Chromium)なので、操作方法も拡張機能もそのまま使えます。
PC屋の視点: 「裸のChromeに防弾チョッキ(uBlock)を着せる」のがStep 4なら、Braveは「最初から装甲車に乗る」ようなものです。初心者ほどおすすめです。
【推奨2】カスタマイズ派の最後の砦「Firefox」
「自分好みにガチガチにセキュリティを固めたい」という中級者以上の方には、Firefox(ファイアーフォックス)や、その派生版であるFloorp(フロープ)が推奨されます。
特徴: Googleの影響を受けない独立したエンジンで作られています。
メリット: Chromeでは制限されてしまう「uBlock Origin」などの強力なセキュリティ・アドオンが、制限なくフル機能で使えます。 また、コンテナ機能(Facebookと銀行の通信を混ぜない機能など)を使えば、Webサイトによる追跡を物理的に分断できます。
Step 6:鉄壁の「隔離」と、銀行系ツールの扱い方
ここまでのステップで防御はほぼ完璧ですが、最後に「絶対に感染したくない時の隔離」と、「銀行が推奨するツールとの付き合い方(競合問題)」について解説します。 PCトラブルを未然に防ぐための、少しマニアックですが重要な知識です。
1. 「Windows Sandbox」で使い捨ての実験室を作る
Windows 10/11 Pro版をお使いの方には、最強の隔離環境「Windows Sandbox(サンドボックス)」が標準搭載されています。
どんな機能? PCの中に、もう一台「使い捨てのWindows」を仮想的に立ち上げます。
使い道: 「このメールの添付ファイル、怪しいけど仕事で確認しなきゃいけない……」という時。
安全性: Sandboxの中でファイルを開き、もしそれがウイルスで爆発しても、ウィンドウを「×」で閉じれば全て消滅します。 メインのPCには傷一つ付きません。 怪しいファイルは、実機ではなく「実験室」で開く癖をつけましょう。
2. 「プライベートブラウズ」の大きな誤解
よく「ウイルス対策のためにシークレットモード(プライベートブラウズ)を使っています」という方がいますが、これは間違いです。
できること: 「あなたのPC内」に履歴を残さないだけ。家族に閲覧履歴を見られないための機能です。
できないこと: ウイルスや詐欺サイトを防ぐ力は「ゼロ」です。 通信先からは、あなたが誰か丸見えです。
正しい使い道: 共用のPCでログインする時や、検索履歴を汚したくない時に使いましょう。セキュリティ対策としてはカウントしないでください。
3. セキュリティソフトの「決済保護ブラウザ」
ノートンやカスペルスキー、ESETなどを入れている場合、「ネットバンキング保護」や「決済ブラウザ」という機能が付いていることがあります。
活用推奨: これは通常のブラウザと違い、メモリ領域を保護して「キーロガー(入力内容を盗むウイルス)」を防ぐ機能などが強化されています。 Step 5で紹介したBraveなどを使わない場合は、銀行にアクセスする時だけこの機能を立ち上げるのが有効です。
企業で一括管理する場合の管理者向けTips
NextDNSは、「企業や組織での一括管理」に非常に向いている
NextDNSは、個人利用だけでなく、実は「企業や組織での一括管理」に非常に向いています。
特に、予算や人員が限られている中小企業の「ひとり情シス(兼任管理者)」の方にとっては、「数百万円する専用機器(UTM)を買わずに、同等のフィルタリング環境を手に入れる」救世主のようなツールとなり得ます。
部署ごとにルールを変える「プロファイル」機能
企業で導入する場合、よくある悩みが「セキュリティを厳しくしたいけど、厳しくしすぎると業務に支障が出る」というジレンマです。
例えば、「経理部」のPCはウイルス感染が許されないのでガチガチに固めたいですが、同じ設定を「広報・営業部」に適用すると、調査やSNS運用ができなくなってしまいます。
そこで役立つのがNextDNSの「プロファイル」機能です。
運用イメージ(ポリシーの使い分け)
- 🅰️ 営業・広報部 プロファイル
- 情報収集やSNS発信が必要なため、YouTube、Twitter、Instagramへのアクセスは「許可」。
その代わり、フィッシング詐欺サイトや、業務に関係のないアダルト・ギャンブルサイトのみを強力にブロックします。
- 🅱️ 経理・総務部 プロファイル
- ネットバンキングやクラウド会計ソフトなど、「業務に必要な特定のサイト以外はすべてブロック」に近い、厳しい制限をかけます。
これにより、誤って変なメールのリンクを踏んでもサイトが開かないため、ウイルス感染リスクを極限まで下げられます。
- 🆓 ゲストWi-Fi(来客用) プロファイル
- 社内ネットワークとは切り離し、ウイルス拡散の温床にならないよう、マルウェアとボットネット通信のみを遮断する最低限のフィルタリングを適用します。
通常、これほど細かな制御を行おうとすると、業者を入れて高価な「UTM(統合脅威管理)」機器をリース導入し、月額数万円の保守費用を払うのが一般的でした。
しかしNextDNSであれば、月額数百円(有料プラン)のコストと、ルーターのDNS設定値を書き換える手間だけで、クラウド上からこれらを一元管理できます。
「予算はないけれど、社員と会社の資産を守らなければならない」。そんな管理者の方にとって、これほどコストパフォーマンスの高い解決策は他にありません。
【警告】「金は出さないがセキュリティは守れ」は通用しません
中小企業でよくあるのが、従業員の個人スマホを業務利用(BYOD)させているのに、通信費や端末手当を一切出していないケースです。
はっきり言いますが、「対価を払っていない私物」に対して、会社が強力なセキュリティ設定(DNS変更や監視アプリ導入)を強制することは、法的にも心情的にも不可能です。
- リスク1: 社員が「自分のスマホだから」と、勝手にセキュリティを解除する。
- リスク2: 退職時、「個人の持ち物だ」と主張され、顧客データの削除に応じてもらえない(情報の持ち逃げ)。
セキュリティを徹底させたいなら、月額数千円でも「通信費補助」や「端末借り上げ料」を支給してください。
その「金銭的対価」があって初めて、会社は従業員に対し「顧客情報の管理義務」や「退職時のデータ削除」を業務命令として正当に要求できる権利を得ます。
「セキュリティコスト(手当)をケチった結果、顧客名簿ごと持ち逃げされて会社が傾く」。
これは笑い話ではなく、実際に起きている話です。
Q&A:よくある疑問と不安
Q1. NextDNSを入れておけば、ハッカーの侵入も防げますか?
A. 「侵入」そのものは防げませんが、「被害」は食い止められます。
少し専門的な話になりますが、NextDNSは「泥棒が入ってくるのを防ぐ」のではなく、「入ってきた泥棒が、外に盗み出すのを防ぐ」役割を果たします。
Q2. NextDNSを入れたら、普段見ているサイトが見られなくなりませんか?
A. 基本的には大丈夫ですが、稀に「誤検知」されることがあります。
セキュリティソフトと同じで、「安全なサイトなのに、間違えてブロックしてしまう(誤検知)」ことはゼロではありません。
もし、いつも見ているサイトが急に開かなくなった場合は、NextDNSの管理画面(ログ)を確認してください。「Blocked」と表示されているドメインがあれば、それを「許可リスト(Allowlist)」に登録することで、すぐに閲覧できるようになります。
「何百個も登録する手間」に比べれば、「たまに1個登録する手間」は些細なものですので、そこは安心という対価として許容しましょう。
Q3. Bitwardenは「無料」で大丈夫ですか? 裏で情報を売られたりしませんか?
A. はい、大丈夫です。その理由は「オープンソース」だからです。
「タダより高いものはない」と警戒するのは素晴らしい感覚ですが、Bitwardenの場合は少し事情が異なります。
このソフトは、プログラムの中身(ソースコード)が世界中に完全公開(オープンソース)されています。
もし開発者が「裏でこっそりデータを盗むプログラム」を仕込めば、世界中のセキュリティ専門家がすぐに気づき、大騒ぎになります。
「隠し事ができない透明な状態」で作られているからこそ、GoogleやMicrosoftのような巨大企業が作るブラックボックスなソフトよりも、逆に信頼できるのです。
Q4. スマホでネットを見ていると「セキュリティ証明書の期限が切れています」という警告がよく出ます。ニュースサイト(スポニチなど)でも出るのですが、ウイルスでしょうか?
A. ほとんどの場合、ウイルスではありません。スマホの「日付設定」のズレか、サイトに表示されている「広告」が原因の可能性が高いです。
大手ニュースサイトを見ていてこの警告が出る場合、サイト本体ではなく、そこに貼り付けられている「広告バナー」の配信元でエラーが起きているケースが非常によくあります。
あわてて「戻る」ボタンを押す前に、まずは以下の3点をチェックしてみてください。
- スマホの日付は合っていますか?(最重要)
これが一番多い原因です。スマホの日付が「過去」や「未来」にズレていると、正しい証明書でも「期限外」と判定されて警告が出ます。
対策: スマホの「設定」から「日付と時刻」を開き、「自動設定」がオンになっているか確認してください。 - 公衆Wi-Fi(フリーWi-Fi)を使っていませんか?
カフェや駅のフリーWi-Fiにつなぐ際、ログイン画面が出る前にニュースサイトなどを開くと、Wi-Fiの認証システムが邪魔をしてこの警告が出ることがあります。
対策: 一度Wi-Fiをオフにして、4G/5G回線だけでアクセスできるか試してみてください。それで直れば、Wi-Fi側の問題です。 - ニュースサイトの「広告」が原因かも
大手サイトそのものの証明書が切れることは稀ですが、記事の中に表示される「広告画像」の証明書が切れていると、巻き添えでページ全体に警告が出ることがあります。
対策: 日付も回線も問題なければ、そのサイト側の(広告などの)一時的な不備です。ウイルス感染などの心配はないので、そのページはそっと閉じて、別の記事を見るようにしましょう。
記事中の専門用語の解説
- SSLサーバー証明書
- Webサイトの「身分証明書」のようなデータです。このサイトは安全か、運営元はどこかなどを証明します。これの有効期限が切れると、ブラウザは「危険かもしれない」と判断して警告画面を出します。
- DNS(ドメイン・ネーム・システム)
- インターネット上の「電話帳」にあたる仕組みです。「google.com」のようなURLを、コンピュータが理解できる住所(IPアドレス)に変換して、サイトに接続できるように案内する役割を持っています。
- キャッシュ (Cache)
- ブラウザが一度表示したWebページの画像やデータを、スマホ内に一時的に保存しておく仕組みです。2回目以降の表示を速くする便利な機能ですが、古いデータが残っていると不具合の原因になることもあります。
おまけ1:ネットバンキングを利用する際の鉄則
今回の記事では「ニュースサイトなどの証明書エラーは、広告が原因ならあまり気にしなくて良い」とお伝えしましたが、銀行やクレジットカード、証券会社のサイトは「完全に別」です。
あなたの大切な資産を守るために、金融取引を行う際は以下の「隔離(かくり)」の考え方を導入することを強くおすすめします。
重要:もし、これらの「保護された環境」で証明書エラーが出た場合は、絶対に無視してはいけません。それは通信回線そのものが攻撃されている緊急事態の可能性があります。
Lv.1 セキュリティソフトの「決済保護ブラウザ」を使う
ESETやカスペルスキー、ウイルスバスターなどの有料セキュリティソフトには、「ネットバンキング保護」や「決済ブラウザ」という機能が搭載されていることが多いです。
これは、ブラウザを強力なカプセル(サンドボックス)の中で起動させ、他のウイルスやスパイウェアが情報を覗き見できないようにする機能です。
- メリット: キーロガー(キーボード入力の盗聴)などを防げます。
- 推奨: 面倒くさがらずに、金融機関にアクセスする時は必ずこの機能経由でブラウザを開きましょう。
Lv.2 【推奨】金融取引「専用のPC」を用意する
もし可能であれば、これが最強のセキュリティ対策です。
普段YouTubeを見たり、フリーソフトを試したりする「遊び用のPC」と、お金を動かす「金融用のPC」を物理的に分けてしまいます。
おまけ2:最大の敵は「自分自身」? クリック前の「心のブレーキ」
「セキュリティ警告が出たけど、どうしても続きが気になる…」
「設定を変えれば見られるはずだ(NextDNSを一時停止しよう)」
実は、ウイルス感染や詐欺被害の多くは、こうした「ユーザーの勝手な判断(暴走)」によって引き起こされます。
どんなに頑丈な鍵をかけても、内側から自分で開けてしまっては意味がありません。
魔が差した時に踏みとどまるための、3つの「行動テクニック」をご紹介します。
1. 警告が出たら「マウスから手を離す」
警告画面(赤い画面や証明書エラー)が出た瞬間、人は無意識に「閉じる」や「続行」を押そうとしてしまいます。
これを防ぐための物理的なルールです。
この「物理的な動作の中断」が、脳を「反射モード」から「思考モード」に切り替えるスイッチになります。
2. 鉄道員の技「指差喚呼(ゆびさしかんこ)」を使う
電車の運転士さんが「出発進行!」と指を差して声に出しているのを見たことがありますか?あれはミスを減らすための最強のライフハックです。
怪しいメールやリンクを開く前に、心の中で(できれば小さな声で)こう呟いてください。
- 「送信元のアドレスは公式か? よし!」
- 「URLはおかしくないか? よし!」
「目で見る」だけでなく「指を動かす」「声を出す」ことで、脳のチェック機能がフル稼働し、「なんとなくクリック」を確実に防げます。
3. 「手間」と「リスク」を天秤にかける
NextDNSなどのフィルターがブロックしたサイトを、設定を解除してまで見ようとしていませんか?
その時、冷静にこう自問自答してみてください。
「このゴシップ記事(や動画)を見ることは、PCを初期化する手間や、銀行口座を凍結させるリスクを背負ってまで、本当に必要なことか?」
99%の場合、答えは「NO」のはずです。
ブロックされたサイトは「運命が『見るな』と言っている」と思って、潔く諦めるのがプロの判断です。
おまけ3:最大の侵入口「メール」は“公式情報”で裏を取る
Webサイト閲覧と同じくらい、あるいはそれ以上に危険なのが「メール」です。
「Amazon」や「国税庁」、「カード会社」を騙るメールが届いた時、自分の判断だけで「本物か偽物か」を見分けるのは限界があります。
迷った時は、信頼できる「公式のデータベース」と照らし合わせるのが正解です。
【一般ユーザー向け】フィッシング対策協議会
「このメール、詐欺かな?」と思ったら、まずここを見てください。
日本のフィッシング詐欺対策の中心となる団体で、「今、流行っている詐欺メール」の件名や本文、画像を緊急情報としてリアルタイムで公開しています。
【管理者・ITプロ向け】JPCERT/CC & VirusTotalなど
組織のセキュリティ担当者や、より技術的な裏付けを取りたい方は、以下のサイトが必須のブックマークとなります。
1. JPCERT/CC(JPCERTコーディネーションセンター)
日本のセキュリティインシデント対応の調整を行う専門機関です。「Emotet(エモテット)」などのマルウェア攻撃キャンペーンが行われた際、その手口や通信先などの詳細な技術情報を公開します。
- 用途: 「社内で不審なメールが出回っているが、どのような攻撃キャンペーンなのか?」を特定・分析するのに役立ちます。
- 公式サイト(注意喚起ページ)へ
2. VirusTotal(ウイルストータル)
Google系列のセキュリティ企業が運営する、無料のオンラインスキャンサービスです。世界中の70以上のウイルス対策エンジンのデータベースを一括で照会できます。
- 用途: メールに添付されていたファイルや、記載されているURLリンクを(開かずに)ここにアップロードし、危険かどうかを判定させます。
- VirusTotal 公式サイトへ
3. 【深層解説】人間の目とシステムを欺く「偽装テクニック」
添付ファイルを安易に開かないことや、メール内のリンク、あるいは「返信・転送機能」を妄信的に利用しないことは基本ですが、これらをすり抜ける技術的な手口も存在します。
管理者は、攻撃者が使う「検知回避」や「誤認誘発」の具体的な手口を知り、情報の収集に常に努める必要があります。特に以下の2点は、見た目だけで判断するのが困難な古典的かつ現役の手口です。
🅰️ RLO (Right-to-Left Override) 攻撃
Unicode制御文字「U+202E(RLO)」を悪用し、ファイル名の拡張子を逆さに表示させる手口です。
アラビア語などの「右から左に書く言語」のための機能を悪用します。
- 実体:
harmless_cod.exe(実行ファイル) - 表示:
harmless_exe.doc(Word文書に見える)
※ファイル名の途中にRLO文字を仕込むことで、それ以降の文字列の表示順序を反転させ、ユーザーに安全な文書ファイルだと思い込ませます。
🅱️ MOTW(Mark of the Web)を回避するコンテナファイル
Windowsの標準機能では、ネットから落としたファイルに「ZoneId」を付与し、マクロ実行などをブロックしますが、攻撃者はこれを回避するために以下の形式を多用します。
- ISO / IMG ファイル: ディスクイメージとしてマウントされるため、中のファイルにはZoneIdが継承されず、セキュリティ警告なしで実行されてしまうケースがあります。
- パスワード付きZIP: 暗号化することでゲートウェイのウイルススキャンをすり抜けさせ、受信者に解凍(感染)させます。
管理者は、ゲートウェイ設定でこれらの拡張子(.iso, .img, .vbs, .lnkなど)を監視対象にするか、ポリシーで実行を制限する対策が求められます。
おまけ4:デフォルトからの脱却。「Windows要塞化」3つの設定
Windowsの初期設定は、「セキュリティ」よりも「利便性(何でも動くこと)」が優先されています。
この優先順位を逆転させ、「利便性を少し犠牲にしますが、利用に著しい不便が生じないレベルの極限まで防御力を高める」ための設定を紹介します。
3点あげますが、特に3つ目の「ファイアウォールのプロファイル選択」は意識から外れてしまいやすい事項ですので、徹底してくださいね。
※【注意】以下の設定はセキュリティ強度が高まる反面、古いソフトが動かなくなったり、共有フォルダが見えなくなる可能性があります。設定後は必ず動作確認を行ってください。
1. DEP(データ実行防止)を「全プログラム」に適用する
ウイルスがメモリ上の「データ領域」で不正なコードを実行しようとするのを防ぐ機能です。
デフォルトでは「重要なWindowsプログラムのみ」が対象ですが、これを「すべてのプログラム」に広げることで、フリーソフトなどの脆弱性を突いた攻撃を防げる確率が上がります。
※もし古いゲームやアプリが起動しなくなった場合は、同じ画面の「追加」ボタンからそのアプリを除外設定してください。
参考記事:【トラブル】Winセキュリティーのメモリ整合性保護がOFF【2025/03/03】
この記事は、Windows 10/11で「メモリ整合性」をONにしようとしてもできなくなる問題の解決策を解説しています。この問題は、互換性のないドライバーが適用されていることが原因で発生し、特にロジクール製の古いドライバーが原因となることが多いと指摘しています。
【トラブル】設定変更が反映されない・おかしい時は?
「設定を変更したはずなのに反映されない」「エラーが出て設定変更できない」という場合、Windows内部の設定ファイルが整合性を失っている(ゾンビ状態になっている)可能性があります。
症状に合わせて、以下のリセット手順を試してみてください。
1. ネットが繋がらない・不安定な場合
あれこれいじるより「ネットワークのリセット」が一番確実です。
- 手順: 「設定」>「ネットワークとインターネット」>「ネットワークの詳細設定」>「ネットワークのリセット」
2. セキュリティ設定が開かない・反映されない場合
まずは「Windowsセキュリティ」アプリ自体の修復を試します。
- 手順: 「設定」>「アプリ」>「インストールされているアプリ」>「Windowsセキュリティ」の「…」>「詳細オプション」>「リセット」
3. 【最終手段】セキュリティポリシーの強制初期化
上記でも直らない場合、コマンドを使ってWindowsのセキュリティ設定を「インストール直後の状態」に強制的に書き戻します。
secedit /configure /cfg %windir%\inf\defltbase.inf /db defltbase.sdb /verbose※コマンドプロンプトを「管理者として実行」して入力してください。
注意:これを実行すると、これまでに行った個別のセキュリティ設定(要塞化設定など)もすべてリセットされます。実行後は必ず再設定を行ってください。
2. インターネットオプションの「セキュリティレベル」を見直す
ブラウザ(EdgeやChrome)の裏側で動いている旧来のセキュリティ設定です。ここの設定が甘いと、Office文書内の不正スクリプトなどが動作してしまうリスクがあります。
ここを「有効(警告なし)」にしていると、クリック一発でマルウェアが走る危険な状態になります。
3. ファイアウォールの「プロファイル」を正しく選ぶ
高度な通信制御も大切ですが、最も多くの人がミスをしているのが「パブリック」と「プライベート」の選択です。
- プライベート(社内・自宅): 信頼できる環境。プリンタ共有などがONになる。
- パブリック(カフェ・ホテル): 危険な環境。外部からの接続をすべて遮断する。
【要確認】 カフェやホテルのWi-Fiにつないだ際、「このネットワーク上の他のPCから検出可能にしますか?」という質問に不用意に「はい」と答えていませんか?
これをしてしまうと、不特定多数がいる公衆Wi-Fiの中で、あなたのPCが丸見え(無防備)になります。
外出先では必ず「いいえ(パブリックネットワーク)」が選択されているか、設定画面(ネットワークとインターネット)から確認する癖をつけましょう。
最後に:防御とは「空振り」させること
記事を最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。
今回の記事では、手動でのホワイトリスト登録という「無理ゲー」を卒業し、テクノロジーを使って「自動的に守られる環境」を作る方法を解説しました。
NextDNSで入り口を塞ぎ、Bitwardenで情報を隠し、uBlock Originで罠を消す。
これにより、攻撃者がどんなに頑張っても「アクセスできない」「入力できない(空振りする)」という状態を作れます。これが現代における最強のコスパ防衛術です。
この3ステップを完了した時、あなたのPCは企業のセキュリティに匹敵する堅牢さを手に入れています。
おまけで紹介した「Windows設定」や「Chrome OS」の活用も合わせれば、まさに鉄壁です。
ぜひ、週末の時間を使って設定してみてください。
このブログのスタンス:速報性と予防効果を最優先する理由
当サイトのトップページにも記載していますが、改めて、私たちの情報発信における最も重要なスタンスについてお話しさせてください。
このサイトではWindows Update情報や、Winの不具合情報などを発信する上で完全な正確性より、速報性や予防効果に重きを置いているなどいくつかの注意点があります。
これは、単なる免責事項ではありません。読者の皆様のPCを深刻なトラブルから守るために、私たちが最も大切にしている編集方針です。
付録:この記事の作成プロセス(AI協働メモ)
1. この記事の目的と役割
この記事は、個人や中小企業における「ホワイトリスト運用」の限界を指摘し、NextDNSやパスワード管理ツールを用いた「自動化された多層防御」の導入を促すことで、ランサムウェアやフィッシング詐欺の被害を未然に防ぐことを目的としています。
2. 筆者の関連経験・専門性
この記事の執筆にあたり、筆者の以下の経験が活かされています。
- PCトラブル解決歴15年以上の経験から、現場で「運用できないセキュリティ対策」が形骸化する事例を多数見てきた知見。
- 企業のネットワーク管理者としての視点(ルーター一括管理の重要性)と、個人ユーザーの視点(手軽さの重要性)の両立。
- 導入に係る手間と費用の削減と適正化。
3. AIとの協働内容(調査・議論のポイント)
記事作成の過程で、AI(Google Gemini)とは主に以下の点について調査、議論、内容の精査を行いました。
- 現代のWebサイト構造(CDN等)において、手動ホワイトリスト登録がいかに困難であるかの技術的検証。
- NextDNSの「新規ドメインブロック機能」が、詐欺サイト特有のライフサイクル(使い捨てドメイン)に対し有効であることの確認。
- パスワード管理ツールの自動入力機能が、人間が見抜けない「類似ドメイン」を判別する「デジタルな検知器」として機能するロジックの整理。
4. 主な参照情報・検証方法
NextDNSおよびBitwardenの仕様、アサヒビール等のランサムウェア被害に関する公開情報、および筆者の実環境での動作検証に基づいています。
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