副題:OneDriveは、第二のIEとなり「OS不具合の震源地化」するのか?
- この記事の要約
- この記事について
- ダイジェスト版
- この記事に掲載しているトラブル解決のステップと目安時間
- 本文
- Q&A
- 記事中の専門用語の解説
- おまけ
- 最後に:OSの「仕様」を理解し、自らデータを守る時代へ
- 付録:この記事の作成プロセス(AI協働メモ)
- この記事中の広告リンクについて
この記事の要約
※ この要約はGoogle Geminiを利用して作成されました
最近多発するPC不具合(プロファイル破損など)は、OSとOneDriveの「深すぎる統合」が原因かもしれません。
この記事では、その危険な仕組み(IE時代の再来)を解説し、OSの根幹からOneDriveを安全に切り離して「ファイル履歴」でデータを守る、具体的な自己防衛策を紹介します。
解説動画(7分26秒)
この記事について

この記事は、最初に要点をおさえた「ダイジェスト版」とPC初心者用の「わかりやすい解説」を、その後に詳しい「本文」を掲載しているよ!
あくまで仮説ではありますが、奇妙な一致に気が付きました。
Win11(25H2)への下準備ファイルが通常KBに織り込んで密かに配信され始めた時期、24H2への移行が半強制的になった時期、そしてユーザープロファイルの破損が由来と考えられるWin OSの不具合が増加し始めた時期が重なっているのです。
※ ブログ内の関連記事へのアクセスも、2025年の6月頃から増加しはじめ、Win10の通常サポート終了によるWin11への移行、25H2の提供と23H2のサポートのサポート終了による25H2への移行と段階をおって増加しています。
最近のWindows Update(24H2/25H2)以降に増加傾向にあるPCの不具合と、OneDriveのOSシェルへの統合(深い関わりを持つようになってきていること)は、もしかしてかなり関わっているのではないかという疑問を持ちました。記事は、この点に関する筆者の「仮説」と「考察」に基づいています。
なお、本文中でも強調していますが、OneDriveアプリの「アンインストール(削除)」は、別の不具合を引き起こすため【絶対に】行わないでください。
ダイジェスト版
スライドショー動画(7分26秒)
GoogleノートブックLMで作成したスライドショー動画です。(日本語字幕付き)
テキスト版ダイジェスト
「最近、Windows Update(24H2/25H2)を適用してからPCの動作がおかしい」「ユーザープロファイルが破損したと表示される」「サインインループに陥る」…こうした深刻なトラブルが、特定のPCだけでなく広範囲で報告され始めています。
この記事は、これらの不具合の「震源地」が、OSの根幹(ユーザープロファイル管理)にまで深く統合され始めた「OneDrive」にあるのではないか、という【緊急考察】です。
かつてIE(ブラウザ)がOS全体を巻き込んでフリーズさせたように、今OneDriveの「KFM(既知のフォルダーの移動)」機能が、あなたのPCの最も重要な「住所(プロファイルパス)」を書き換え、システムを不安定化させている危険性を指摘します。
本文では、Microsoftがなぜこの危険な「OS統合」を強行するのか(ビジネス戦略)という背景から、私たちが今すぐ実行できる具体的な「自己防衛策」までを徹底解説。
「OneDrive同期(KFM)を安全に停止する具体的な手順」と、「なぜアンインストール(削除)しては絶対にダメなのか」という重要な理由、そしてOneDrive同期の代わりとなる「ファイル履歴」を使った最強のバックアップ体制の構築方法まで、詳しく紹介します。PCの不調に悩むすべての方、そして「よくわからないままOneDriveを使っている」すべての方に読んでいただきたい内容です。
この記事のわかりやすい解説
今回の記事は、専門用語も多く少し難しいかもしれません。そこで、PC初心者の方にも分かりやすいように「家」に例えて解説します。
あなたのPCは「家」、プロファイルは「あなたの部屋」
まず、あなたのPCを「家」だと想像してください。WindowsというOSは、その家を建てた「設計士」です。
家の中には、あなた専用の「部屋」があります。これが「ユーザープロファイル」です。
あなたの「机」 → デスクトップ
あなたの「書類棚」 → ドキュメント
あなたの「動画」 → TV
設計士(Windows)は、あなたの部屋の場所(C:\Users\あなたの名前…)を正確に知っています。
OneDriveは「おせっかいな業者」
そこへ、OneDriveという「クラウド保管サービスの業者」がやってきます。業者は言います。 「あなたの机や書類棚は、この部屋(PC本体)に置いておくと危険です。火事(PC故障)にあったら全部失いますよ。ウチの頑丈な『貸し倉庫(クラウド)』に預けませんか?」
これが、OneDriveの「バックアップ(KFM)」機能です。
問題点:「住所」そのものを書き換えてしまう
これだけなら良いのですが、問題はここからです。OneDrive業者は、あなたの「机」や「書類棚」を倉庫に移動させると同時に、家の設計士(Windows)のところへ行き、こう告げます。
「設計図を書き換えてください。今後、あの人の『部屋』の住所は、ウチの『貸し倉庫(OneDriveフォルダ)』です」
これが「OS統合」です。あなたの部屋の「住所(パス)」そのものが、外部のサービス(OneDrive)に書き換えられてしまうのです。
トラブル発生:設計士(Windows)の混乱
この状態で、設計士(Windows)が家の大規模リフォーム(Windows Update 24H2など)を始めたらどうなるでしょう?
設計士は、古い設計図(書き換え前)を見てしまい、「あれ?部屋がないぞ?」と混乱します。
または、貸し倉庫(OneDrive)との通信がうまくいかなかったり、業者の鍵(サインイン情報)が合わなかったりします。
その結果、設計士(Windows)はパニックになり、
「あなたの部屋が見つかりません!」 → (ユーザープロファイルが破損しました)
「あなたは誰ですか?入れません!」 → (サインインループ、PINが通らない) といった、家に入れない・部屋が使えないという致命的なトラブルが起きるのです。
昔も同じことが(IE時代の再来)
実は昔、IE(ブラウザ)という業者が、家の「内装(エクスプローラーの見た目)」と深すぎる統合を起こしていました。その結果、IE業者がコケる(フリーズする)と、家全体(Windows)まで道連れで動かなくなりました。今回はそれが、内装ではなく「部屋の住所(データ)」で起きている、というのが筆者の仮説です。
私たちがすべき「自己防衛」とは?
では、どうすればいいのでしょうか?
1. 業者(OneDrive)に「お断り」を入れる まず、OneDriveの設定を開き、「ウチの部屋(デスクトップ、ドキュメント、ピクチャ)を、あなたの倉庫(クラウド)に移動させるのは止めてください」とハッキリ伝えます。これが本文で解説する「KFM(同期)の停止」です。 これで、あなたの「部屋」は、再び家の中(PC本体)の正しい場所に戻ってきます。
2. 自分で「金庫」を用意する ただし、これでは火事(PC故障)の際に全焼してしまいます。そこで、OneDrive業者の「貸し倉庫」の代わりに、自分で「外付けHDD/SSD」という「耐火金庫」を用意します。
3. 「ファイル履歴」で金庫にバックアップする そして、設計士(Windows)に「毎日、私の部屋にある大事なものをコピーして、あの金庫(外付けHDD)に入れておいてね」とお願いします。これが「ファイル履歴」機能です。 この方法なら、もし強盗(ランサムウェア)が家に入ってきても、物理的に離れている金庫の中身は盗まれません。
【重要】業者(OneDrive)を「クビ(削除)」にしてはダメ 「トラブルの元なら、この業者(OneDrive)をクビ(アンインストール)にすればいいのでは?」と思うかもしれませんが、それは絶対にダメです。 業者はすでに設計図の一部に組み込まれているため、無理に追い出すと、設計士(Windows)が余計に混乱し、家全体が不安定になります。
一番賢い方法は、「業者(OneDrive)には居てもらう(アプリは残す)けど、私の部屋(プロファイル)には一切触らせない(KFMは停止する)」という状態にすることです。
この記事の本文では、この「自己防衛」を実行するための具体的な手順と、注意点を詳しく解説しています。
この記事に掲載しているトラブル解決のステップと目安時間
1. OSの根幹とOneDriveを切り離す(自己防衛策)
本文
時間がない方へ:この記事での「クイック解決」
この記事では、最近多発するPC不具合(ユーザープロファイル破損、サインイン障害など)の根本原因が、OS(特に24H2/25H2)とOneDriveの「深すぎる統合」にあるのではないか、という仮説を解説しています。
この記事が提唱する最も安全で確実な「自己防衛策(ベストプラクティス)」は、以下の3ステップです。
- 【対策1】OSの根幹から切り離す: OneDriveの設定を開き、「バックアップを管理」から「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」の同期(KFM)を「停止」します。これがOSのプロファイル管理をOneDriveから切り離す、最も重要な対策です。
- 【対策2】安全なバックアップを構築する: 同期の代わりに、「常時接続ではない」外付けHDD/SSDを用意し、Windows標準の「ファイル履歴」機能を有効にします。これはランサムウェア対策としても非常に有効な手段です。
- 【重要】アンインストールはしない: トラブルの原因に見えても、OneDriveアプリは絶対に「削除(アンインストール)」しないでください。OSと不可分なため、削除するとかえってシステム全体が不安定になる危険があります。
この記事では、なぜこの「IE時代の再来」とも言える問題が起きているのか、そして上記の手順を実行する上での具体的な注意点(同期停止時のファイル移動、最小限の利用の是非など)を詳しく解説していきます。
序章: もう一つの危うさ – 常に「容量不足」という名の時限爆弾
OneDriveというPC-クラウド連携システムは「特別な悪条件」を現状のユーザー大半に押し付けています。
課金して1TBなどの容量を持ち、適正に利用しているならばまだよいでしょう。
ところが大半のWin OS利用者(一般コンシューマー)は、無料の5GBの容量しか持っていないのです。その結果、常に「容量不足によるエラー」問題を抱えることになります。
本来はOSの基本動作とは「無関係」であるはずのものなのですが、この常時エラー状態というのは本当に無問題なのでしょうか?
いえ、これはOneDriveが現状抱える不都合な動作や不具合の大きな要因ではないかと、私は強く懸念しています。
無問題とは言い切れない理由
なぜ、単なるクラウドストレージの「容量不足」が、OS全体の不具合にまで発展すると、筆者が強く懸念するのでしょうか?
それは、この記事の最大の仮説である「KFM(既知のフォルダーの移動)」によって、OSの根幹(デスクトップ・ドキュメント)の「住所(パス)」そのものが、容量制限のあるOneDriveフォルダに書き換えられてしまっているからです。
そして、この「5GBの容量制限」という視点こそが、その潜在的な危険性を「100%発火させるトリガー」そのものなのです。
論理的な不整合の流れは、以下の通りです。
【危険】「容量不足」がOSの動作をブロックする流れ
- OSの「住所書き換え」
OSの統合(KFM)が有効になると、OSは「今後、デスクトップへの保存は、必ずC:\Users\...\OneDrive\Desktopという『住所』に行ってください」と命令されます。 - 常に「満室」の保存先
しかし、大半の無料ユーザーにとって、その「住所」は常に「容量不足(5GBで満杯)」です。 - OSの書き込みと、OneDriveの「拒否」
ユーザー(あるいはOS自身)がデスクトップにファイルを保存しようとすると、OSは律儀にその「住所」に書き込みに行きます。 - 書き込み処理の「ブロック」
しかし、書き込み先であるOneDriveアプリが「容量不足です!書き込めません!」と、OSの書き込み処理をブロック(あるいは保留)してしまいます。 - データの毀損
そしてそれに、OSが予期しないような電源断が加わります。ほとんどの方のPCでは、ディスクの書き込みキャッシュがデフォルトで有効になっていますから、ユーザーファイル(特にその中でも常時使用し、非常に重要なデスクトップフォルダ)の情報が知らず知らずのうちに毀損していきます。
どうでしょう、これを見るとOSの動作が不安定にならないほうがむしろおかしくはないですか?
結論:「常にエラーであり続ける」という異常事態
その結果、何が起きるでしょうか。
OSの最も信頼すべき場所であり、常に正常に読み書きできて当たり前の「ユーザープロファイル(デスクトップやドキュメント)」が、常に「I/O(入出力)エラー」や「書き込み失敗」、「同期保留」といったエラーを吐き出し続ける、というシステム設計上あり得ない異常事態に陥るのです。
常にエラーを吐き続けるシステムという「世にも珍しいもの」が、あなたの手元に出来上がるわけです…。
WindowsのOSやエクスプローラー(シェル)は、自分の根幹フォルダが「常に書き込みや同期などの動作に失敗し続ける」ようには、当然ながら設計されていません。
(※ 実際のところMSは対策を盛り込んでいると思います。しかしながらそれは、正常な事態ではないOSの状態を正常に保つという「悪魔の証明」に近いもののように思えます)
この「OS側の期待(正常に書き込めるはず)」と、「OneDriveが引き起こす現実(容量不足による拒否)」との間の致命的な不整合こそが、
- エクスプローラーのフリーズ(応答なし)
- ファイルの保存失敗や、設定の反映遅延
- プロファイルの読み込みに失敗することによる、サインイン障害や一時プロファイルでの起動
といった、深刻なOSレベルの不具合の「直接的な発生源」になっていると、筆者は断言しちゃいます。
そしてMSは、こんなもの(失礼!)を過去のIEの如くOS本体に深く組み込もうとしているように見えます。
『副題:OneDriveは、第二のIEとなり「OS不具合の震源地化」するのか?』、この記事の副題です。
私の心配は杞憂に終わるでしょうか?
1. 憶えていますか?IE時代の巻き込み不具合と、OneDriveが足を突っ込んだ現状
Windows PCを長く利用されている方、特にXP時代やWindows 7時代に苦労された方は、Internet Explorer(IE)というブラウザが、単なるブラウザではなく、OSの動作そのものを不安定にさせる「トラブルの震源地」であったことをご記憶かもしれません。
そして、あくまで筆者の仮説ではありますが、最近多発している「ユーザープロファイルの破損」や「資格情報(サインイン)の問題」、「OneDrive起因のファイル消失」といったトラブルを見ていると、かつてのIEが引き起こした問題と、現在のOneDriveが引き起こしつつある問題の構造が、非常に似通っているように思えてなりません。
1.1. かつての「IE」:OSと不可分だったブラウザ
かつてのWindows(特にXP以前)では、IEはOSと「深すぎる統合」を果たしていました。デスクトップの表示(エクスプローラー)からシステムのヘルプ機能、果てはWindows Updateに至るまで、OSの根幹機能がIEのコンポーネント(部品)を利用して動作していました。
その結果、何が起きたか。
- IEのセキュリティホール(脆弱性)が、OS全体のセキュリティホールに直結した。
- IEの動作が不安定になると、OS全体(エクスプローラーなど)を巻き込んでフリーズ(クラッシュ)した。
- IEをアンインストールしたり、修復したりすることが極めて困難だった。
このように、OSと深く統合されすぎたコンポーネントは、便利になる反面、一度問題を起こすとシステム全体を巻き込む「アキレス腱」となり得ます。Windowsの機能リストからIEが消えた今でも、その残滓(ざんし)はOSの互換性維持のために残り続けています。
1.2. 現在の「OneDrive」:OSに組み込まれたクラウド
そして今、私たちはこの「深すぎるOS統合」の悪夢が、OneDriveという形で再来する可能性に直面しています。
現在のWindows 11(特に24H2/25H2)において、OneDriveはもはや単なる「クラウドストレージアプリ」ではありません。
- OSの初期設定(OOBE)で、半ば強制的に同期が開始される。
- Windowsバックアップ機能が、OneDriveを主要なバックアップ先として組み込んでいる。
- エクスプローラーと完全に統合され、ローカルファイルとクラウドファイルの境界が曖昧になっている。
最も深刻なのは、IEがエクスプローラーの「表示」に影響したのに対し、OneDriveは「ユーザープロファイル(デスクトップ・ドキュメント・ピクチャ)」という、ユーザーデータの「置き場所(パス)」そのものをOSの深いレベルで書き換えてしまう(=既知のフォルダーの移動:KFM)点です。
OSの根幹である「ユーザープロファイルの管理」に、外部のネットワークサービスであるOneDriveが深く足を突っ込んだ現状。これが、Windows Update(24H2/25H2)といったシステム変更のタイミングで、様々な不整合を引き起こしているのではないか──それが、最近のトラブル多発の背景にある、筆者の仮説です。
※ OneDrive自体もWindowsバックアップの登場やWin10の無償延長サポートの提供条件の一つになっていることなどから内容の変更が行われていると考えられます。(手元では、無償延長サポートの提供を求める際に、OneDriveのバージョンが古い場合は条件を満たせないという挙動を確認しています)
2. どのような不具合/不都合が予想されるのか
OSとOneDriveの「深すぎるOS統合」は、まだ「安定期」には程遠いと筆者は考えています。Windows Update(特に24H2/25H2のような大型アップデート)によるシステム変更のたびに、(OneDriveアプリ自体にも変更が加えられていることもあり)OSの根幹部分とネットワーク(OneDrive)が衝突し、以下のような不具合や不都合が発生する、あるいはすでに発生し始めている可能性があります。
これらは、一見すると「OneDriveとは無関係」に見えるかもしれませんが、その根本原因(震源地)は同じ場所にあるのではないか、というのが筆者の仮説です。
2.1. 【最重要】ユーザープロファイルの破損、サインイン障害
これが、この問題の最も深刻な症状だと考えています。
「はじめに」で述べた通り、OneDriveは「既知のフォルダーの移動(KFM)」機能により、デスクトップやドキュメントといったユーザープロファイルの「パス(住所)」を、OSの深いレベルで書き換えます。
Windows Update(特に25H2プラットフォームの先行組み込みなど)が、この「書き換えられたパス情報」や「OneDriveの認証情報」を正しく処理できず、不整合を起こした場合、OSはユーザーの正しい住所を見失います。
その結果、
- 「ユーザープロファイルが破損しました」と表示され、一時プロファイルで起動する。
- サインイン画面で正しいパスワードやPINを入力しても拒否される(ループする)。
- (本ブログの別記事で解説している)BitLockerの誤作動(回復キー要求ループ)を引き起こす。
といった、PCにログインできなくなる致命的な障害に繋がる可能性があります。最近これらのトラブル報告が増加しているのは、この「OS統合」の過渡期であることと無関係ではないでしょう。
2.2. OneDriveの「仕様」が引き起こす、予期せぬデータ消失
これはOSの不具合というより、OneDriveの「仕様」をユーザーが理解していないことで発生する、非常に多いトラブルです。
ケースA:「クイックアクセス」からの削除
エクスプローラーの「クイックアクセス」に表示されるファイルは、単なるショートカットのように見えます。しかし、そのファイルがOneDriveフォルダ内(デスクトップやドキュメントなど)にある場合、クイックアクセスから「削除」を選ぶと、ローカルPC上だけでなく、クラウド上の元ファイルも削除されてしまいます。(※これは仕様です)
この「ショートカット削除のつもりが、元データ削除だった」という誤操作によるデータ消失は、後を絶ちません。
ケースB:同期解除・アンインストール時のデータ消失
「PCの容量が足りないから」と、OneDriveの同期を解除したり、アンインストールしたりする際も危険です。OSと深く統合されているため、操作手順を誤ると、PC側(ローカル)に残しておくべきだったファイルまで、OneDrive側(クラウド)のファイルと見なされて削除されてしまうケースが報告されています。
2.3. システムパフォーマンスの低下と不安定化
OneDriveは、バックグラウンドで常にファイルの同期(監視・通信)を行おうとします。これがOSの他の動作と競合することがあります。
- PCが重くなる: 同期プロセスがCPUやディスクI/Oを占有し、PC全体の動作が「もっさり」する。
- エクスプローラーのフリーズ: ファイルの状態(同期中、ローカルのみ、クラウドのみ)を表示するアイコンが、エクスプローラーの動作を不安定にさせ、フリーズやクラッシュを引き起こす。(かつてIEがエクスプローラーをクラッシュさせた構図と似ています)
- サードパーティ製ソフトとの競合: 特に、PC全体をスキャンするウイルス対策ソフトや、ディスクイメージを作成するバックアップソフト(MiniToolなど)と同期プロセスが競合し、バックアップが失敗したり、システムが不安定になったりする可能性があります。
3. 私たちにできる対策(自己防衛)
ここまで、Windows(24H2/25H2)とOneDriveの「深すぎるOS統合」が、かつてのIE時代と同様の、予期せぬ不具合(ユーザープロファイル破損、データ消失など)を引き起こす可能性について考察してきました。
サービス提供側(Microsoft)が、OSの利便性のためにこの統合を進める以上、私たちユーザーが「とんでもなく面倒な状況」に巻き込まれないためには、OSのデフォルト(初期設定)を鵜呑みにせず、自ら設定を見直す「自己防衛」が不可欠です。
では、今私たちにできる最善の対策(ベストプラクティス)と、次善の策とは何でしょうか。
3.1. ベストプラクティス:OSの根幹とOneDriveを「切り離す」
トラブルの根本原因は、OSの根幹である「ユーザープロファイル(デスクトップ・ドキュメント・ピクチャ)」の管理(パスの書き換え)を、ネットワークサービスであるOneDriveに許可している点にあります。
したがって、最も安全で確実な対策は、この「深すぎる統合」をユーザー自身の手で断ち切ることです。
- タスクバーにあるOneDriveの雲のアイコンをクリックし、「設定」(歯車アイコン)を開きます。
- 「設定」ウィンドウで、「バックアップ」タブ(または「同期とバックアップ」タブ)を選択します。
- 「バックアップを管理」ボタンをクリックします。
- 「フォルダーのバックアップを管理」という画面が表示されたら、「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」のすべての同期(バックアップ)を「停止」します。
この操作により、ユーザープロファイルの場所がOneDriveフォルダ内から、PC本体のローカルパス(C:\Users\あなたのユーザー名\Desktopなど)へと戻されます。これにより、Windows Updateなどがプロファイルのパスを見失うリスクや、OneDriveアプリの不調がOSのサインイン障害に直結するリスクを、根本的に回避することができます。
考慮の余地あり・・・最小に利用する
実は上記で書いたことが絶対に正しいとは言い切れない部分があります。
場合によっては「同期を全く行わない/機能を利用しない」ということが悪さをするという可能性も「ゼロ」ではないということです。
より一層慎重にという方は以下も考えてみてください。
そこで、例えばミュージックフォルダを利用しないかないしはどうでも良い1曲を保存し同期を有効にする(実際の音楽の保存は一般フォルダに行う)というような方法も考えられます。
これですと利用はしているが、設定で同期するファイルを絞っているだけというケースになりますので、まず心配が必要なくなります。
3.2. 次善の策:安全なバックアップ体制の再構築(ファイル履歴の活用)
上記「3.1」のベストプラクティスを実行すると、デスクトップやドキュメントのデータは、クラウド(OneDrive)とは切り離され、あなたのローカルPC(Cドライブ)にしか存在しない状態に戻ります。これでは、PCが故障した際にデータを失ってしまいます。
そこで、OneDriveの「常時同期」の代わりに、Windows標準の「ファイル履歴」機能を使って、「常時接続ではない」外付けHDD/SSDにバックアップを取る体制を構築します。これこそが、強く推奨すされる(外付けドライブを用意する費用はかかるかもしれませんが)誰でも簡単に行える中ではベストの「最も理にかなったバックアップ手法」であり、さらにウイルスなどの悪意からも身を守る手法です。
なぜ「ファイル履歴+外付けドライブ」が優れているのか?
- ランサムウェア対策として最強: OneDriveのような「常時同期」ストレージは、PCがランサムウェア(身代金ウイルス)に感染すると、暗号化されたファイルが即座にクラウド上にも同期(上書き)されてしまいます。しかし、バックアップ時以外は物理的にPCから切り離されている外付けドライブ上のデータは、感染の影響を一切受けません。
- 「世代管理」による誤操作対策: OneDriveは「同期」のため、ローカルでファイルを誤って削除・上書きすると、クラウド側も即座に変更されます。「ファイル履歴」は「バックアップ」であり、ファイルの過去のバージョン(世代)を保持しています。これにより、「昨日上書きしてしまったファイルを3日前の状態に戻す」といった復元が可能です。
- OSの不具合からの隔離: データがOSとは別のドライブに保存されているため、今回懸念しているOSのプロファイル破損やシステム障害から、大切なデータを物理的に隔離できます。
- OneDriveでは同期させることができるフォルダが限定されますが、ファイル履歴機能では任意のフォルダを追加することが可能です。
参考記事
ファイル履歴の設定方法や、より確実な運用(「今すぐ実行」の活用、「耐火金庫」の注意点)については、こちらの関連記事で詳しく解説しています。
→【コラム】データ保護-アマゾンAWSの障害に思う、私たちの「備え」
3.3. OneDriveを「アンインストール(削除)」すべきか?
「トラブルの元なら、いっそ削除してしまいたい」と考えるかもしれませんが、それは絶対に避けるべきです。
かつてのIEと同様、OneDriveはWindowsバックアップ機能やOSの初期設定(OOBE)と不可分なコンポーネントとして深く統合され始めています。これを無理にアンインストール(削除)すると、OSが本来あるべき部品を見失い、かえってシステム全体を深刻な不安定状態に陥らせる危険性が非常に高いです。
(実際に、一度削除するとOSのバージョンによっては再インストールすら困難になる、という報告もあります)
最も賢明で安全な「自己防衛」は、「削除」という危険な賭けに出ることではなく、
「OneDriveアプリ自体はOSの一部として残したまま、【3.1】で解説したKFM(デスクトップ等のフォルダ同期)だけを確実に停止し、OneDriveをOSの根幹(プロファイル管理)から切り離す」
という、「上手な利用設定(無力化)」を行うことです。これにより、OneDriveをDropboxやGoogle Driveのような“単なる一つのアプリ(フォルダ)”として扱うことができます。
Q&A
この記事の内容について、読者の皆様が抱きそうな疑問点をQ&A形式でまとめました。
一般向け
Q1: 記事を読みましたが、難しくてよく分かりません。結局、何をすればいいですか?
A1: ご心配をおかけしました。この記事でお伝えしたい最も重要な「対策」は、とてもシンプルです。
もしご自宅のPCで、特に理由なくOneDriveを使っている(初期設定でそうなっていた)場合、PCの動作を不安定にする「可能性」があります。
一番のおすすめは、記事の「3.1. ベストプラクティス」で解説している、OneDriveの「バックアップを管理」設定から、「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」の同期(バックアップ)を「停止」することです。
ただし、それをするとデータはPC本体にしか保存されなくなるため、必ず「3.2. 次善の策」で解説しているように、外付けHDD/SSDを用意して「ファイル履歴」機能を有効にすることをセットで行ってください。
Q2: OneDriveをアンインストール(削除)してはいけないのですか?
A2: はい、記事の「3.3.」でも解説した通り、アンインストールは推奨しません。
現在のWindows 11は、OneDriveが「OSの一部」として組み込まれ始めているため、無理に削除すると、かえってエクスプローラーの動作が不安定になったり、将来のWindows Updateで問題が起きたりする可能性があります。(実際に、一度削除すると再インストールが困難になるケースも報告されています)
「削除」するのではなく、「同期(KFM)を停止」して、OSの根幹(ユーザープロファイル)から切り離して使うのが、最も安全で賢明な方法です。
Q3: 記事の通り「同期を停止」したら、PC内のデスクトップやドキュメントのファイルが消えたりしませんか?
A3: 「バックアップを停止」する操作の最後に、Windowsが「ファイルの場所」について確認を求めてくるはずです。その際、「このデバイス(ローカルPC)にファイルを残す」といった選択肢を正しく選べば、ファイルはPC本体のユーザーフォルダ(C:\Users\あなたの名前\…)に安全に戻されます。
ただし、万が一の操作ミスや不具合に備え、この記事で解説しているような重要な設定変更を行う前には、必ず外付けHDDなどに大切なデータのバックアップを取ってから実行してください。
やや上級者向け
Q4: エクスプローラーの不調などの根本原因は、OS本体、OneDriveアプリ、連携部分のどこにあるか厳密には判別できないのでは? それでもこの記事の「OS統合」という仮説は妥当ですか?
A4: 非常に鋭いご指摘です。おっしゃる通り、Microsoftの内部アーキテクチャを解析しない限り、私たち外部の人間が「根本原因は100%ここだ」と断定(切り分け)することは不可能です。
しかし、この記事の仮説(OS統合が震源地)が妥当だと筆者が考える理由は、現在観測されている「複数の症状」を、最も合理的に説明できる唯一の仮説だからです。
- もしOS単体(エクスプローラー)のバグなら: なぜWeb上で多数報告されているように「OneDriveのKFM(同期)を停止する」という対策で、エクスプローラーの遅延が改善するケースがあるのか、説明が困難です。
- もしOneDriveアプリ単体のバグなら: なぜ単なる「アプリ」の不調が、OSの根幹である「エクスプローラー(OSシェル)」や「ユーザープロファイルの読み込み(サインイン障害)」といった、OSの中核機能まで巻き込んでクラッシュさせるのか、説明が困難です。(それこそが「IE時代」と同じ構図なのですが)
「エクスプローラーの遅延」「サインイン障害」「容量不足エラーによるプロファイル毀損」といった、OSの根幹を巻き込む深刻な症状は、「OSの根幹(プロファイルパス)」と「外部サービス(OneDrive)」が「深すぎるOS統合」を起こしている、という仮説によってのみ、すべて合理的に説明がつきます。
したがって、「厳密な判別は不可能」という前提の上で、この記事の仮説は「最も確からしい震源地」として妥当であると、筆者は考えています。
Q5: IEとOneDriveの「OS統合」は、具体的に何がそんなに似ているのですか?
A5: 本質的な類似点は、「本来OSとは別であるべきアプリケーションが、OSの根幹機能と不可分に結びついてしまう」点です。
- IE(過去): MSHTML.dll というIEの描画エンジンが、エクスプローラーやヘルプ機能など、OSのGUI(見た目)の多くを担っていました。IEがクラッシュすると、OS全体が巻き込まれました。
- OneDrive(現在): OneDriveの「既知のフォルダーの移動(KFM)」機能が、OSの根幹である「ユーザープロファイルのパス(データの住所)」をレジストリレベルで書き換えます。OneDriveの同期や認証に不整合が起きると、OSはユーザーの住所を見失い、プロファイル破損やサインイン障害といった致命的な問題を引き起こす可能性があります。
どちらも「便利さ」のために統合されましたが、その結果、システムの「単一障害点(そこが壊れると全てが止まる場所)」になってしまうリスクを抱えている点が酷似しています。
Q6: 「最小限の利用(例:ミュージックフォルダだけ同期)」を推奨するのはなぜですか? 完全に同期をオフではダメですか?
A6: これは筆者の仮説・経験則も含まれますが、OSと深く統合されたコンポーネントは、「完全に無効化(全く使わない)」状態にすると、OS側が「本来あるべき機能が応答しない」と判断し、かえって予期せぬエラーログを吐いたり、動作が不安定になったりする可能性がゼロではないからです。(例:現状のWin11にさえもIEのコンポーネントの一部がそのまま有効になっているほどです)
そこで、「ミュージックフォルダにダミーファイルを1つだけ置く」といった「最小限の利用」をすることで、OSに対しては「OneDriveは正常に動作・同期していますよ」と見せかけつつ、実質的にはOSの根幹(デスクトップ等)には一切触らせない、という状態を作るのが、最も安全な「共存策」ではないか、という考え方です。
Q7: OneDriveの同期失敗や「容量不足」エラーが、本当にユーザープロファイルの破損(サインイン障害など)に繋がる確率は、具体的にどの程度あるのでしょうか?
A7: これは、この記事の仮説の核心であり、最も重要なご質問です。
まず、「障害がX%の確率で発生する」といった具体的な数字(確率)を提示することは不可能です。それは、お使いのPCの環境、電源の安定性(瞬断や停電の頻度)、他のソフトウェアとの競合など、無数の要因に左右されるためです。
しかし、確率ではなく「リスクレベル」という観点であれば、筆者は以下のように考えています。
1. 「個別のファイル破損」のリスク
これは「かなり高い」と推測されます。「序章」で解説した通り、「ディスクの書き込みキャッシュ(有効)」+「予期せぬ電源断(フリーズ含む)」+「書き込み先が容量不足でI/Oエラーを返す」という条件が揃えば、その瞬間に保存しようとしたファイルが毀損する(壊れる)のは、論理的な必然です。
※ これはファイルに何らかの瑕疵があり、ファイルが同期されないなどのケースとは全く異なる問題です。
2. 「ユーザープロファイル本体」破損のリスク
これは「個別の破損」よりは低いものの、KFM(同期)を有効にし、かつ容量不足に陥っている無料ユーザーにおいては、「KFMを無効にしているユーザーと比べ、比較にならないほど高い、いわば常時最大レベルに達している」と断言できます。(表現が強すぎると感じるのでしたら、「言っても良い」程度に捉えていただいても結構です。しかしながら、それほど重大な危険性をはらんでいる事実は忘れないでください)
プロファイル破損とは、多くの場合「NTUSER.DAT」といった「プロファイルの『核』となるファイル」の毀損を意味します。OSは通常非表示の、この「目に見えない核」が壊れないよう堅牢に守っています。
しかし、その防衛機能は、あくまで「書き込み先のストレージ(Cドライブ)が、OSの期待通り正常に応答する」という大前提の上で成り立っています。
KFM(同期)が有効で、かつ容量不足の環境下では、この大前提が崩れます。例えるなら、
-
- KFM無効: 頑丈な金庫(NTUSER.DAT)を、堅牢なビルの床(ローカルCドライブ)に置いている状態。大地震(電源断)が来ても、金庫は守られやすい。
- KFM有効(容量不足): 頑丈な金庫(NTUSER.DAT)を、常に「満員です!」とエラーを吐き、いつ揺れるか分からない「壊れかけのエレベーター(OneDrive)」の上に乗せている状態。
- 「小さな基幹ファイル」消失の構造:
目に見える大きなファイル(文書本体)ではなく、OSの動作を支える無数の「小さな付随情報」(.iniや隠しファイル)こそが危険です。これらは非常に小さいため、一瞬のI/Oエラー(書き込みブロック)で簡単に消失(毀損)してしまいます。- ※ 「たまたまエラーが起きた瞬間に、たまたまOSの重要ファイル(プロファイルの核)を書き換えていた」…この二つが重なる確率自体は、低いかもしれません。
- しかし、OSは私たちが想像する何百倍もの回数、バックグラウンドで常にファイルの読み書きを繰り返しています。
- 「容量不足エラー」が出続けるPCを使い続けることは、その「常にエラーが出続ける(=時限爆弾が作動し続けている)」状態で、膨大な回数の「読み書き(=くじ引き)」を繰り返すのと同じです。
- 試行回数が天文学的なため、その「たまたま」が重なり、致命的なファイル(プロファイルの核)に当たってしまうリスクは、私たちが思うよりずっと現実的な脅威なのです。
Microsoftも必死にこの「壊れかけのエレベーター」を制御しようとはしていますが、そのエレベーターがいつ致命的な揺れ(エラーの連鎖)を起こし、金庫が床に叩きつけられる(=核が破損する)かは誰にも分かりません。
言い方を変えると金庫の錠前シリンダーの内部ピンが「たった一本破損」してしまえば鍵は開かなくなり、金庫はただの箱どころか「中身を取り出すのに破壊しなければならない厄介者に化けてしまう」ということです。
結論として、「黒いススが出ているエンジンのまま高速道路を走り続ける」ようなもので、いつ発火(プロファイル破損)してもおかしくない、極めて高いリスクを常に抱え込んでいる状態だと、筆者は考えています。
記事中の専門用語の解説
この記事中に登場する、少し分かりにくいかもしれない専門用語を簡潔に解説します。
- OS(オペレーティングシステム)
- Windows 11やmacOS、Androidといった、パソコンやスマートフォンの基本動作を管理する最も重要なソフトウェアです。「基本ソフト」とも呼ばれます。
- OS統合(深すぎるOS統合)
- 本来は別々のソフトウェア(例:ブラウザ、クラウドストレージ)が、OSの根幹部分と密接に結びつき、簡単には分離・削除できなくなってしまう状態を指す、この記事での造語です。便利になる反面、片方の不具合がもう一方に連鎖するリスク(巻き込み不具合)を抱えます。
- IE(Internet Explorer)
- かつてWindowsに標準搭載されていたWebブラウザです。OSと深く統合されすぎていたため、IEの不具合がOS全体の不安定化(エクスプローラーのクラッシュなど)を引き起こす原因となっていました。
- OneDrive(ワンドライブ)
- Microsoftが提供するクラウドストレージサービスです。Windows 11ではOSと深く統合され、デスクトップやドキュメントフォルダの自動同期(バックアップ)機能などを担っています。なお、最近はOSシェルに更に深く関わるような様相を見せています。
- ユーザープロファイル(プロファイル)
- Windowsがユーザーごとに保存している「個人設定」のまとまりです。デスクトップの壁紙、アイコンの配置、ドキュメントフォルダの場所、アプリの設定などが含まれます。これが破損すると、PCにサインインできなくなったり、デスクトップが初期状態に戻ったりします。
- KFM (Known Folder Move / 既知のフォルダーの移動)
- OneDriveの機能の一つで、「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」といった主要なユーザーフォルダの保存場所を、PC本体(ローカル)からOneDriveフォルダ内に自動的に移動(変更)する仕組みです。これがプロファイルパスの不整合を引き起こす原因の一つと目されています。
- 24H2 / 25H2
- Windows 11のバージョン名(大型アップデート)のことです。2024年秋に「24H2」がリリースされ、その後、2025年後半に「25H2」が提供されました。大型アップデートの時期は、OSの根幹部分に変更が加わることも少なくないため、不具合が発生しやすいタイミングでもあります。
- OSシェル (シェル)
- OSの「殻」にあたる部分で、ユーザーがPCを操作するための見た目や操作画面(GUI)のことです。Windowsでは、スタートメニュー、タスクバー、エクスプローラー(フォルダを開く画面)などがこれにあたります。
- コンポーネント
- 「部品」や「構成要素」という意味です。OSを形作る様々な機能やプログラムのことを指します。
おまけ
【考察】なぜMicrosoftは、そこまで執拗にOneDriveをOSに統合するのか?
読者の中には、「そこまでトラブルの原因になるなら、なぜMicrosoftはOneDriveをこんなにも強く勧めてくるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。その理由は、Microsoftの現在のビジネス戦略(エコシステム戦略)そのものにあります。
- データを「人質」に、ユーザーを囲い込むため: これが最大の理由です。一度ユーザーの「デスクトップ」や「ドキュメント」といった最も重要なデータをOneDrive(クラウド)に預けてしまえば、ユーザーはMicrosoftのエコシステム(Windows, Office 365)から簡単には抜け出せなくなります。「PCをMacに変えよう」と思っても、「デスクトップのデータが全部OneDriveにあるから面倒だ」となれば、Windowsを使い続けることになります。
- 「Windowsバックアップ」の核として: 24H2/25H2で強化された「Windowsバックアップ」機能は、OneDriveを前提としています。PCの設定、アプリのピン留め、資格情報などをクラウドに保存し、新しいPCに買い替えた際に、OneDrive経由でシームレスに環境を復元する。この「Appleのような快適な移行体験」を実現するために、OneDriveは不可欠なのです。(そのためにWin10の無償延長サポートの条件にもしたのでしょう)
- Microsoft 365(サブスクリプション)への誘導: OneDriveの無料容量は5GBしかありません。「デスクトップ」や「ドキュメント」を同期すれば、多くのユーザーはすぐに容量不足に陥ります。その結果、容量を追加するために有料の「Microsoft 365」サブスクリプションに加入させる。これが、Microsoftの主要な収益モデルの一つです。
つまり、MicrosoftにとってOneDriveは、もはや単なる「ストレージアプリ」ではなく、「ユーザーを自社サービスに縛り付け、継続的に収益を上げる」ための、最も重要な戦略的ツール(エコシステムの土台)なのです。
だからこそ、OSの根幹(プロファイル)に深く統合させてでも、私たちに半ば強制的に利用させようとしている、というのが筆者の考察です。
もう少し穿った見方
実はWin8.1投入時より、MSは施策として「Windows as a Service」を打ち出しました。旧OS所有者二程してWin8.0/8.1は3,000円で、Win10/11は無償で新OSへのアップグレードを提供しました。
これ、思ったようにはうまくいかず、あまり儲からなかったのかもしれません。結果だけを見ると「Win10の無償アップグレードをやめた」というのもそれを表しているのでしょう。
それでも、「Windows as Service」を諦めてはいないのです。AppleやGoogleにOSシェアを奪われるのは許せないということで、Win OSを無料で提供してユーザーを繋ぎ止める施策は破綻したように見えますが、ところがどっこいMSは諦めていません。OSでお金を取る代わりに「OneDriveで必要なクラウド容量にお金を払わせる作戦」にでました。
同時にスタートした、MS365の旧オフィススイートに当たるものに1TBのOneDriveを付属したことも同じです。(officeスイートの従来の販売価格を含んでいることを考えると1TBのクラウドストレージ付きで18,000円/年は極端なぐらいのバーゲンプライスです)
客にはお得に見せつつお金はいただく、真綿で首を絞めるように「便利そうな物で身動きが取れない状況」を作る、すべて一貫しています。
そう考えてしまうととてもいやらしいですね…。
参考記事(外部:ITmediaさん、ZDNET Japanさん)
Windows 10の導入、それはWindows as a Serviceの始まり
Windows 11の登場で「Windows as a Service」はどうなるか?
OSでの囲い込み施策としての評価は?
MicrosoftによるWindows OSの囲い込み政策(=エコシステムへのロックイン)は、長期的に「業界標準の維持」と「競争優位の確保」には成功してきたものの、時代変化や利用者層の多様化により、運用面・柔軟性には批判も生まれています。
※ MS 365(office)、企業へのMS365など全てが「囲い込み」として連動しています。口がさなくいうと、今はさらに「一般(個人)コンシューマー」もこの輪の中に取り込んでしまえという段階です)
囲い込み政策の評価と影響
- Windowsは、膨大な数のアプリケーションや開発者を自社プラットフォームに誘導することで、自然な市場囲い込みと“ほぼ独占的標準”を実現しました。業務用途や一般PC利用では「Windows以外を選ぶことが現実的でなくなる」ほどの圧倒的優位性です。
- この囲い込みにより、利用者や企業は「アプリ・デバイス互換性」「運用コスト低減」「一貫したサポート」などの恩恵を受けてきました。
- 一方で、ベンダーロックイン構造(競合OSへの移行障壁の高さ)はコスト増、柔軟性低下、戦略制約を生み、特にライセンスやサポート期限問題では社会的な不満も根強いです。
- Windows as a Serviceにより「継続的な囲い込み」を狙ったものの、クラウドやスマートデバイス時代の到来で完全な独占モデルは揺らぎ、「真のオープン化」を求める声も成長しています。
- 業界標準からクラウド連携・Teams等のサービスまで囲い込み幅を広げていますが、近年は“外部連携”やクロスプラットフォーム対応にも柔軟化する傾向があります。
総合評価・失敗/成功の観点
- OS囲い込み政策は「Windows標準=成功」ですが、利用者選択肢減や独自仕様への依存度増加による不満も拡大し、過度なロックイン戦略は今後の競争力低下リスクを孕みます。
- 海外のクラウド事業や業務IT分野では“完全囲い込みが規制対象となる流れ”も進んでいるため、従来型モデルのままでは長期競争力維持が難しいと評価されています。
- 一般(個人)コンシューマーの取り込みは、今まさにとば口に差し掛かっています。
要約すると、Windowsの囲い込み政策は「業界支配と標準化には大きく成功したが、環境変化・利用者多様化で柔軟性や次世代展開には課題も残る」といえる状況です。個人に対してはそこまでの効果がない部分もあったのですが、今後本格化していくと考えられます。
最後に:OSの「仕様」を理解し、自らデータを守る時代へ
記事を最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。
この記事では、「あくまで仮説」と前置きしつつも、最近多発しているPCトラブル(特にユーザープロファイル破損やサインイン障害)の背景に、OneDriveのOSへの「深すぎるOS統合」があるのではないか、そしてそれが「かつてのIE問題の再来」である可能性を考察しました。この記事を読むことで、ご自身のPCで起きている不可解な不具合の「根本原因」について、一つの見解を得られたのではないかと思います。
「切り離す」勇気と、「守る」準備
本文で解説した「OneDriveのフォルダ同期(KFM)を停止する」という対策は、OSの根幹機能からデータを切り離す「第一歩」に過ぎません。本当のゴールは、OSの仕様変更(24H2/25H2など)や、Microsoftのビジネス戦略(囲い込み)に振り回されない、堅牢なデータ管理体制をご自身で確立することです。
具体的な「次のステップ」
この「自己防衛」を実行に移すため、以下の3つのステップを強く推奨します。
- ステップ1:OneDriveの「KFM」を停止する まずは、ご自身のOneDrive設定を開き、「バックアップを管理」から「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」の同期(KFM)を停止してください。これが、OSの根幹(プロファイル管理)とOneDriveを切り離す、最も重要な操作です。
- ステップ2:安全なバックアップ体制(ファイル履歴)を構築する 上記で切り離したローカルデータを守るため、「常時接続ではない」外付けHDD/SSDを用意し、Windows標準の「ファイル履歴」機能(または信頼できるサードパーティ製バックアップ)を有効にしましょう。これがランサムウェア対策としても最強の手段です。
- ステップ3:OSの「自動設定」を監視する 今後、Windows Updateや新しい「Windowsバックアップ」機能が、停止したはずのOneDrive同期を勝手に再有効化しないか、設定を注意深く監視する習慣をつけてください。
MicrosoftがOSの利便性(と囲い込み戦略)のために統合を進める以上、私たちユーザーがその「裏側」を理解し、「自己防衛」する意識を持つことが、AI時代を生き抜く上で非常に重要になります。
この記事の「仮説」が、皆様のPC環境を根本的に見直し、予期せぬデータ消失やプロファイル破損といった最悪の事態を回避するための一助となれば幸いです。もしこの記事が役に立ったと感じていただけましたら、SNSなどでシェアしていただけると嬉しいです。同じように不可解なPCの不調に悩む、コミュニティ全体の助けになるかもしれません。
今回の記事は以上となります。
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このブログのスタンス:速報性と予防効果を最優先する理由
当サイトのトップページにも記載していますが、改めて、私たちの情報発信における最も重要なスタンスについてお話しさせてください。
このサイトではWindows Update情報や、Winの不具合情報などを発信する上で完全な正確性より、速報性や予防効果に重きを置いているなどいくつかの注意点があります。
これは、単なる免責事項ではありません。読者の皆様のPCを深刻なトラブルから守るために、私たちが最も大切にしている編集方針です。
付録:この記事の作成プロセス(AI協働メモ)
1. この記事の目的と「仮説」
この記事の目的は、「最近多発しているユーザープロファイル破損やサインイン障害」と、「OneDriveのOSへの深すぎる統合(特にKFM)」および「24H2/25H2へのアップデート時期」との間に、強い関連性(因果関係)があるのではないかという仮説を提示し、読者に具体的な自己防衛策(KFM停止+ファイル履歴への移行)を促すことです。
2. 筆者の関連経験・専門性
この記事の仮説は、以下の筆者の経験に基づいています。
- Windows XP/7時代に多発した「IEとOSの統合」による、エクスプローラーのクラッシュやシステム全体の不安定化トラブルへの多数の対応経験。
- 最近のサポート業務やブログアクセス解析において、「ユーザープロファイル破損」「資格情報エラー」「OneDriveファイル消失」に関する相談・アクセスが(特に大型アップデート時期と一致して)増加しているという観測事実。
- OneDriveの「既知のフォルダーの移動(KFM)」機能が、OSの根幹であるレジストリ(Shell Folders)のパスを書き換えるという技術的な仕様への理解。
- Windows 10の無償延長サポート条件にOneDriveが関連しているなど、MicrosoftがOS機能とOneDriveを強く結びつけようとしている戦略的な動向の分析。
3. AIとの協働内容(調査・議論のポイント)
記事作成の過程で、AI(Google Gemini)とは主に以下の点について調査、議論、内容の精査を行いました。
- 「IEのOS統合」と「OneDriveのOS統合」における、技術的な類似点(シェルの巻き込み、プロファイルパスへの干渉)と危険性の比較分析。
- OneDriveのKFM機能がユーザープロファイル破損の直接的な原因となり得るか、その技術的なメカニズム(Update時の競合、同期エラー時の不整合など)についての議論。
- 「25H2プラットフォームの先行組み込み時期(2025年6月頃)」と「プロファイル破損の増加時期」の関連性についての妥当性の検証。
- 「OneDriveのアンインストール」が非推奨である理由(IEの残滓と同様のシステム不安定化リスク)についての裏付け。
- 代替策としての「ファイル履歴」が、OneDrive同期(常時接続)と比較した場合に持つ優位性(ランサムウェア耐性、世代管理、任意のフォルダ指定)の再確認。
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