【コラム】データ保護-アマゾンAWSの障害に思う、私たちの「備え」【2025/10/24】

トラブルシューティングと予防

2025.10.24

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この記事の要約
ダイジェスト版
1. スライドショー動画（約7分）
私たちの「備え」
ポイント
最後に
1. 記事へのご質問やフィードバックについて
付録：なぜバックアップは軽視されがちなのか？
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この記事の要約

※　この要約はGoogle Geminiを利用して作成されました

Amazon AWSのようなクラウド障害は他人事ではありません。この記事では、PC故障やランサムウェアから大切なデータを守るため、クラウド同期だけでは不十分な理由と、Windows標準機能「ファイル履歴」と外付けドライブを使った、個人や小規模事業者でも始めやすい現実的なバックアップ方法を解説します。完璧を目指す前に、まず確実な第一歩を踏み出すためのヒントがここにあります。

ダイジェスト版

スライドショー動画（約7分）

GoogleノートブックLMで作成したスライドショー動画です。（日本語字幕付き）

私たちの「備え」

先日、多くの方が利用するAmazonのクラウドサービスAWS（Amazon Web Services）で大規模な障害が発生し、様々なウェブサイトやサービスが一時的に利用できなくなるという出来事がありました。幸い、今回は比較的短時間で復旧しましたが、この出来事は私たちに重要な教訓を突きつけています。それは、「クラウドにデータを預けているから安心」とは限らない、ということです。

私たちの生活や仕事は、写真、書類、顧客情報、会計データなど、失ったら二度と取り戻せない、あるいは事業継続に関わるほど重要なデジタルデータで溢れています。これらのデータは、PCの故障、操作ミス、ウイルス感染、そして今回のようなクラウドサービスの障害や、地震・火災といった災害など、常に様々なリスクに晒されています。

「バックアップを取っておくべき」ということは誰もが頭では理解しています。しかし、具体的にどうすれば良いのか、面倒でつい後回しにしてしまう、という方も多いのではないでしょうか。特に、個人事業主や小規模な企業では、専任のIT担当者がいるわけでもなく、日々の業務に追われる中で、バックアップ体制を構築・維持するのは簡単ではありません。

クラウド同期だけでは不十分？

最近では、OneDriveやGoogle Drive、Dropboxといったクラウドストレージサービスを利用し、PC内のデータを自動で同期している方も多いでしょう。これは非常に便利で、PCが故障しても他のデバイスからデータにアクセスできるというメリットがあります。

しかし、「同期」は「バックアップ」とは少し異なります。 もし、PCがランサムウェア（データを人質に身代金を要求するウイルス）に感染し、ファイルが暗号化されてしまったら？同期設定が有効な場合、クラウド上のファイルもあっという間に暗号化されたものに上書きされてしまい、復元できなくなる可能性があります。また、誤ってファイルを削除してしまった場合も、同期によってクラウド上からも消えてしまうことがあります（一定期間ゴミ箱には残りますが）。

現実的で効果的な「ひと手間」とは？

では、個人や小規模な環境で、コストや手間をかけずに、より安全なバックアップ体制を築くにはどうすれば良いのでしょうか？

ここで、「外付けハードディスク（HDD）やSSDに、Windowsの『ファイル履歴』機能を設定し、一日の終わりに同期（バックアップ）して、ドライブを取り外して保管する」という方法が、非常に理にかなった現実的な選択肢として浮かび上がってきます。

ファイル履歴は、Windowsに標準で搭載されているバックアップ機能で、指定したフォルダ（ドキュメント、ピクチャなど）の変更点を定期的に記録し、過去のバージョンに遡ってファイルを復元できる優れものです。これを外付けドライブに設定します。

そして、最も重要なのが「一日の終わりに同期（バックアップを実行）し、終わったらドライブを取り外す」という運用です。

外付けドライブを接続すると、自動的に同期が開始する場合も多いのですが、確実を期するためにファイル履歴の項目にある「今すぐ実行」をクリックするようにしてくださいね。

- メリット:
  - ランサムウェア対策: バックアップ時以外はPCから物理的に切り離されているため、万が一PCがランサムウェアに感染しても、外付けドライブ内のバックアップデータは保護されます。
  - 操作の容易さ: 一度設定すれば、あとはドライブを接続してバックアップが実行されるのを待つだけです（自動実行も設定可能）。
  - 世代管理: ファイル履歴機能により、「昨日のバージョン」「1週間前のバージョン」といった具合に、ファイルの過去の状態を復元できます。誤って上書き保存してしまった場合などに非常に役立ちます。
  - コスト: 必要なのは外付けドライブの購入費用くらいで、比較的安価に始められます。
- デメリット:
  - 同期忘れのリスク: 手動で接続・取り外しを行う場合、つい忘れてしまう可能性があります。
  - ドライブ故障のリスク: 外付けドライブ自体が故障する可能性はゼロではありません。
  - 災害対策には不十分: PCと同じ場所に保管している場合、火災や水害などでPCと共に失われる可能性があります（オフサイトバックアップではない）。

より安全性を高めるために

この「ファイル履歴＋外付けドライブ」運用を基本としつつ、さらに安全性を高めるなら、以下のようなステップが考えられます。

外付けドライブを2台用意し、交互に使う: 1週間ごとに使うドライブを交代し、使わない方のドライブは別の場所（例えば自宅とは別の場所、なお、耐火金庫は火災時に内部温度が180度程度まで上がってしまいますので、その点では不向きと考えてください。）に保管すれば、災害対策（オフサイトバックアップ）になります。
システムイメージバックアップも併用する: 「ファイル履歴」は個々のファイルを保護しますが、Windows OSやアプリケーション全体の設定を含めて丸ごと復元するには、「システムイメージバックアップ」（これもWindows標準機能）を別の外付けドライブに定期的に作成しておくと、PCが起動しなくなった場合でも迅速に復旧できます。

完璧を目指すより、まず始めること

バックアップの世界には「3-2-1ルール」（データは3つコピーし、2つの異なる媒体に保存し、1つはオフサイトに保管する）という理想形があります。しかし、最初から完璧を目指そうとすると、結局何も始められずに終わってしまうことも少なくありません。

今回ご紹介した「ファイル履歴＋外付けドライブ（終業時取り外し）」は、完璧ではないかもしれませんが、何もしない状態と比較すれば、データの安全性は飛躍的に向上します。 操作も比較的簡単で、コストも抑えられます。

クラウドサービスの障害は、私たちにデータ保護の重要性を再認識させてくれました。この機会に、「面倒だ」という気持ちを少しだけ乗り越えて、あなたの大切なデータを守るための「最初の一歩」を踏み出してみてはいかがでしょうか。それは、未来の自分を助ける、最も確実な投資になるはずです。

ポイント

Amazon AWSのような大規模クラウドサービスでも障害は起こり得ます。私たち個人や小規模企業が、大切なデジタルデータを守るために意識すべきポイントは以下の通りです。

クラウド同期は「バックアップ」ではない: 便利ですが、ランサムウェア感染時や誤操作時にクラウド上のデータも失われるリスクがあります。「同期」だけに頼るのは危険です。
「ファイル履歴＋外付けドライブ」が現実的な第一歩: Windows標準の「ファイル履歴」を外付けHDD/SSDに設定し、バックアップ時以外はPCから取り外しておく運用が、コストと手間を抑えつつランサムウェア対策として非常に有効です。
確実な運用が鍵: バックアップを有効にするには、「今すぐ実行」で確実に開始し、完了を確認してから安全に取り外す習慣が重要です。定期的な接続を忘れないようにしましょう。
災害対策も忘れずに: 可能であれば外付けドライブを2台用意し、交互に使用。使わない方は自宅とは物理的に離れた場所に保管する（オフサイトバックアップ）ことで、火災や水害のリスクに備えられます。（※熱に弱い電子媒体は耐火金庫保管に不向きです）
完璧より「まず始める」: 理想的なバックアップ体制（3-2-1ルールなど）はありますが、まずは「何もしない」状態から脱却することが最も重要です。外付けドライブへのファイル履歴設定は、そのための確実な第一歩となります。

最後に

記事を最後までお読みくださりありがとうございました。

今回の記事は以上となります。

記事へのご質問やフィードバックについて

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付録：なぜバックアップは軽視されがちなのか？

「バックアップは重要だ」ということは、おそらくPCを使うほぼ全ての人が頭では理解しているはずなのに、なぜか実践が伴わない…。これはITサポートの現場でも永遠の課題とも言える、根深い問題です。

口を酸っぱくして周知しても軽視されてしまう理由としては、人間の心理的な側面と、環境的な側面が複雑に絡み合っていると考えられます。

「自分だけは大丈夫」という正常性バイアス:
- 最も大きな理由かもしれません。「PCが壊れる」「データが消える」といった事態は、ニュースで見聞きしても「自分に起こるはずがない」「起こったとしても、まだ先のことだ」と無意識に考えてしまう心理的な働き（正常性バイアス、楽観主義バイアス）があります。危機感が薄いため、行動につながりにくいのです。
損失の「痛み」が経験されないと実感できない:
- データの価値は、失って初めて本当の意味で理解されることが多いです。バックアップを取らないことによる直接的な不利益は、実際にデータ消失という「痛み」を経験するまで実感として湧きにくい。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではありませんが、一度痛い目を見ないと、その重要性を自分事として捉えられないケースは少なくありません。
緊急性が低い（と感じられる）:
- バックアップは、「今すぐやらなければならない」という緊急性を感じにくい作業です。日々の業務や生活の中で優先順位が低くなりがちで、「時間があるときにやろう」「後でやろう」と先延ばしにされやすい典型的なタスクです。これは、ある意味「安全はお金にならない」と同じ構図です。
「面倒くさい」「よく分からない」という心理的・技術的ハードル:
- 外付けドライブを用意する、ソフトを設定する、定期的に実行する…といった一連の作業が、「面倒くさい」「難しそう」「時間がかかりそう」と感じられ、行動への心理的なハードルが高くなってしまいます。特にPCに詳しくない層にとっては、何から手をつければ良いのか分からず、最初の一歩が踏み出せないことも多いです。
コストがかかるという認識:
- 外付けドライブの購入費用や、クラウドストレージの月額料金などが「余計な出費」と感じられ、躊躇してしまうケースもあります。データの価値と比較すれば微々たるコストなのですが、目先の出費が優先されてしまうことがあります。
クラウド同期への過信:
- OneDriveなどの「同期」機能を「バックアップ」だと誤解し、「クラウドにあるから大丈夫」と過信してしまい、別途バックアップの必要性を感じていない人も増えています。