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この記事の要約
※ この要約はGoogle Geminiを利用して作成されました
※ 2025/08/18 22時時点の要約です。
2025年8月18日時点での、Windows 11 24H2向け更新KB5063878の不具合状況を追跡・解説します。当初のインストール失敗に加え、現在は「ストレージが消失する」という、データ破損に直結しかねない極めて深刻な問題が急増しています。この問題は、特定のハードウェア(Phison製コントローラー搭載のDRAMレスSSDなど)で発生率が高いと見られています。
この記事では、これらの問題の背景にある根本原因を考察し、「これはOSの根幹に関わるメジャーアップデート級の変更、あるいは次期Windowsのβテストではないか?」という独自の仮説を提示します。
ゼロデイ脆弱性を含むためセキュリティリスクは非常に高いものの、筆者は「万全のバックアップ」と「書き込みキャッシュ無効化」などの自衛策を前提に「適用すべき」と結論。刻一刻と変わる状況を追跡する、リアルタイムレポートです。
この記事について

昨夜公開した「予告編」記事の、いよいよ本編だよ!Microsoftが一部の不具合を認めたけど、話はそれで終わりじゃなかった。むしろ、もっと根深い問題が見えてきたかもしれないんだ。

インストールできないだけじゃなくて、もっと深刻な話なの?

その可能性が出てきたんだ。この記事は、現時点で判明している事実と、その裏で何が起きているのかという僕の考察をまとめた「リアルタイム追跡レポート」だ。状況は刻一刻と変わっているから、ぜひ最後まで読んでみてね。
この記事は、8/14に公開されたWin11(24H2)用のKB5063878にプレビュー版のKB5062660に続き障害の発生が顕在化したということで、障害状況や解決策などをリアルタイムで追跡する記事です。
大きな動きがあればもちろん即時情報を追加しますし、少なくとも2日に1度は時々の状況の変化を追記します。
ブックマークをしてくださいるか、記事公開お知らせメールに登録してくださって、KB5063878に関する不具合の追加情報を入手してくださいね。
項目 | 内容 |
---|---|
キーワード | KB5063878, 不具合, パフォーマンス低下, インストール失敗, 仮想メモリ, Windows 11, 24H2, 考察 |
OS/ソフト/機材 | Windows 11 Version 24H2 |
対象読者 | KB5063878の適用に不安を感じている、または適用後にPCの不調を感じているすべてのWindows 11ユーザー |
AIの利用 | ・記事中の記述事項の調査に、AIを利用しています ・画像の一部をAIで生成しています |
履歴 | 2025/08/15・・・初版公開 |
ダイジェスト版
音声解説スライドショー(約7分)
※ 暫定版です。リアルタイム形式の不具合追跡記事のため、随時作成し直し、その後最新版を公開します。(現在08/16 15:30版です)
テキスト版ダイジェスト
※ 2025/08/18 22時時点の要約テキスト版ダイジェストです。
2025年8月の月例更新プログラム、Windows 11 24H2向けのKB5063878が、データ消失に直結しかねない、極めて深刻な不具合を引き起こしており、最大級の警戒が必要です。当初報告されていた「インストール失敗」問題(現在は大部分が修正済)を遥かに超える、危険な事態へと発展しています。
現在急増しているのは、ゲームのインストールや動画編集など、大容量のファイルを書き込んでいる最中に、突然SSDやHDDがOSから「消失」し、アクセス不能になるという致命的な症状です。この問題は、コストパフォーマンスに優れ、多くのBTO・メーカー製PCで採用されている「Phison製コントローラー搭載のDRAMレスSSD」で発生率が著しく高いことが、国内外の専門家の検証で明らかになりつつあります。
さらに、これとは別に「ファイルコピーが異常に遅い」「エクスプローラーが重い」といった広範なパフォーマンス低下も継続しており、筆者が行った「人柱レポート」では、「仮想メモリ設定が初期化される」という不可解な現象も確認されました。Microsoftは8月18日現在、この最も深刻なストレージ消失問題について、まだ公式な見解を発表していません。
なぜ、これほど深刻な事態が起きたのか?この記事では、Microsoftが7月の失敗を取り繕うために施した修正が裏目に出たのではないかという「屋上屋」説に加え、より深刻な可能性として、これが次期OS「Windows 12」の根幹機能(特にストレージI/Oやメモリ管理)を、十分な告知なしにテストするための、大規模な「βテスト」だったのではないかという独自の仮説を提示し、深く考察しています。
結論として、PCを乗っ取られる「ゼロデイ脆弱性」のリスクも無視できないため、アップデート自体は適用すべきです。しかし、それには「万全のバックアップ」を絶対条件とし、さらに現時点で唯一の予防策と考えられる「OSの書き込みキャッシュを無効化」した上で、早期に適用するという、最大限の自己防衛が求められます。この記事は、その判断に至った背景と、具体的な自衛策を解説する、リアルタイム追跡レポートです。
本文:2025/08/15午前時点
番外1:KB5063878は即時導入すべきなのか?
これは、「即時導入すべき」と申し上げておきます。
このような背景から、今回は不具合のリスクを天秤にかけつつも、早期適用が望ましいと判断しました。
ただし、KB5063878の導入前に「手動で明示的に復元ポイントを作成する」、そして「システムドライブのイメージバックアップを取得しておく」、この2点は忘れないでください。
番外2:検証-仮想メモリとシステムエラー時の自動再起動設定
【人柱er】Win11(24H2)にKB5063878を適用してみる【2025/08/14】で触れた、KB5063878インストール後に「仮想メモリとシステムエラー時の自動再起動設定」がデフォルト状態に書き換えられてしまうのではないかという疑いについて、ハイパーV上にWin11(24H2)の仮想PCを新規に作成後にKB5063878を導入してみるという形の検証を行いました。
その結果では、KB導入前の設定が書き換えられることは発生しませんでした。
ただし、過去のVer.アップや、大きめの定例更新時などにも設定がデフォルトに戻るという例は無視できない程度の数の発生を見ていますから、PC環境により再現(発生)する可能性は否めませんが、すべてのPC環境で発生するものではないということだけは確認ができたという結果なります。
1. はじめに:昨日の予告から一夜、状況はさらに深刻化
昨日(8月14日)、「【先行仮記事というか予告編】KB5063878由来の不都合」と題した記事で、8月の月例更新プログラムKB5063878に不穏な動きがあることをお伝えしました。そして、その懸念は残念ながら的中し、状況はさらに深刻化していると言わざるを得ません。
Microsoftは早々に一部の不具合を公式に認めましたが、それは問題の氷山の一角に過ぎなかったようです。本記事では、昨日の予告通り、この問題をさらに深掘りし、現時点で何が起きていて、その根本原因は何なのかを、リアルタイムで追跡・考察していきます。
2. 公式に認められた「インストール失敗問題」の現状
まず、確定情報から整理しましょう。昨日夕方以降の最大の動きは、MicrosoftがKB5063878のインストールに失敗する問題(エラーコード: 0x80240069)を、公式の「既知の問題」として認定したことです。
- 状況: Microsoftは問題を認め、現在調査中であると発表。
- 原因: 主に企業向けのWSUS/SCCM環境での問題とされていますが、個人ユーザーにも影響が出ています。
- 対策: 「Known Issue Rollback (KIR)」という仕組みで、問題を引き起こす変更をリモートで無効にする修正を展開し始めています。これにより、多くのPCでこの「インストールできない」問題は、今後数日のうちに自然と解消される可能性があります。
しかし、問題はこれだけではありませんでした。インストールに成功したユーザーから、新たな悲鳴が上がり始めたのです。
3. 新たなる疑惑:広範囲に広がる「パフォーマンス低下」問題
現在、国内外のフォーラムで最もホットな話題となっているのが、インストール成功後の深刻なパフォーマンス低下です。報告されている主な症状は以下の通りです。
- ファイルコピー(特に大きなファイル)の速度が、以前の数分の一にまで極端に低下する。
- エクスプローラーの動作が非常に重くなり、フォルダを開くだけで数秒待たされる。
- 特定のゲームでフレームレートが大幅に低下する。
これらの現象は、単なる表面的なバグではなく、OSの根幹であるI/O(ディスクの読み書き)処理に、何らかの重大な問題が発生していることを強く示唆しています。そして、この問題は、私が昨日の人柱レポートで指摘した、ある不可解な現象と繋がっているのではないかと考えています。
3.1. 「仮想メモリ設定の初期化」との関連性
私の環境では、KB5063878適用後、手動で固定していた「仮想メモリ」の設定が、勝手に「システム管理サイズ」に初期化されていました。当初は私の環境だけの特殊な例かとも思いましたが、仮に無視できない数の同様事例が発生しているとすると、このパフォーマンス低下の報告が広がるにつれ、両者の関連性が強く疑われます。
今回の更新には、ブルースクリーンからブラックスクリーンへの変更のような起動シークエンスの変更が含まれています。
それに加えて、もし、多くのPCで同様の設定初期化が起きている、あるいはOSのメモリ管理の仕組みそのものに大きな変更が加えられたとしたら?それが原因でディスクへの過剰なアクセス(スワップ)が発生し、システム全体のパフォーマンスを著しく低下させている。その可能性は十分に考えられます。
3.2. 過去の類似事例
過去の事例1:ネットワークドライブ(SMB)へのコピーが極端に遅くなる
これは、Windows 10/11の機能アップデートや月例更新で、繰り返し発生している伝統的な不具合の一つです。ネットワーク上のNASやファイルサーバーとの間で、数KB/sまで速度が低下する現象です。
- 原因の例:
- SMBv3の新しい機能(SMB Multichannel, SMB Compressionなど)と、特定のネットワーク機器(ルーターやNAS)のファームウェアとの相性問題。
- ネットワークアダプターのドライバーに搭載された、特定のオフロード機能(Large Send Offloadなど)の不具合。
- 当時有効だった解決策:
- PowerShellでSMB Multichannelを無効化する。
- ネットワークアダプターのプロパティから、「Large Send Offload (LSO)」などのオフロード機能を無効にする。
- SMBv1を(非推奨ながら)一時的に有効化してみる。
- ネットワークアダプターのドライバーを更新、または古い安定バージョンにロールバックする。
過去の事例2:エクスプローラーの動作が重くなる、表示に時間がかかる
特定の更新プログラムを適用後、エクスプローラーが頻繁に固まったり、フォルダ内のファイル一覧の表示に時間がかかったりする問題です。
- 原因の例:
- Windows Search(検索インデクサー)の不具合。インデックスデータベースが破損し、常に再構築を試みてディスクI/Oを占有してしまう。
- 特定のクラウドストレージ(OneDriveなど)との同期に問題が発生し、ファイルのステータス確認に時間がかかってしまう。
- 特定の種類のファイル(動画や画像)のサムネイル生成やプレビュー表示に問題が発生する。
- 当時有効だった解決策:
- Windows Searchサービスを一時的に無効化、またはインデックスの再構築を手動で実行する。
- エクスプローラーのオプションで、「別のプロセスでフォルダー ウィンドウを開く」にチェックを入れる。
- 問題の切り分けのため、OneDriveなどの同期を一時的に停止する。
- 特定のサードパーティ製シェルの拡張機能(コンテキストメニューに追加される項目など)を無効化する。
過去の事例3:ゲーム性能の低下(FPSの低下、スタッタリング)
特にゲーマーから悲鳴が上がる問題で、アップデート後にフレームレートが不安定になったり、カクつき(スタッタリング)が頻発したりします。
- 原因の例:
- OSのメモリ管理機能の変更が、特定のゲームエンジンやグラフィックドライバーと競合する。
- 新しいセキュリティ機能(VBSやHVCIなど)が、デフォルトで有効化され、CPUのオーバーヘッドが増加する。
- グラフィックドライバーのバージョンとOSの間に非互換性が生じる。
- 当時有効だった解決策:
- グラフィックドライバーを、最新版または逆に安定していた旧バージョンへクリーンインストールする。
- Windowsの「ゲームモード」のオン・オフを切り替えてみる。
- 「グラフィック設定」で、特定のゲームアプリを高パフォーマンスに手動で割り当てる。
- 「コア分離(メモリ整合性)」などの仮想化ベースのセキュリティ機能を一時的に無効化してみる。
4. なぜ、こんなことが起きるのか?根本原因への考察(再掲・深化)
では、なぜMicrosoftはこれほどまでにシステムの根幹に影響を与えるような変更を、月例のアップデートに含めてしまったのでしょうか。昨日の記事で提示した仮説を、最新の状況を踏まえて、さらに深掘りしてみましょう。
4.1. 仮説1:7月の失敗を取り繕う「屋上屋」の構造
先月7月の更新(KB5062660)でのインストール失敗の多発を受け、MicrosoftがOSのインストーラーや起動シーケンスに慌てて修正を加えた結果、システムの整合性が取れなくなり、予期せぬパフォーマンス問題を引き起こした、という説です。
KB5062660の適用の失敗原因を根本的に修正するのではなく、対応療法で修正する手法を取った場合などには、新旧両方のファイルを残し、その両方のファイルを参照後に適宣一方を選択するなどの余計な動作を実行することになったり、タイムアウトまでその動作をループしてしまうなどの現象が発生してしまうケースがあり、これがパフォーマンス低下の一因となっている可能性が考えられます。
4.2. 仮説2:「マイナーアップデートの皮を被ったメジャーアップデート」説
こちらが、より深刻で、かつ私が本命だと考えている説です。KB5063878は、実は累積更新プログラムという名目でありながら、次期OS「Windows 12(仮称)」に向けた、OSの根幹(メモリ管理やI/Oスケジューリング)に関わる新機能を先行して組み込むための、大規模な「βテスト」だったのではないか、というものです。
この仮説の背景には、Microsoftが近年、毎年10月頃にOSのメジャーバージョンアップを行う傾向が非常に高いという事実があります。もし次期OSのリリースが2ヶ月後に迫っているとすれば、その根幹に関わる機能を、8月の月例更新に紛れ込ませて大規模な実地テストを行う、というのは、十分に考えられるシナリオです。
なぜなら、現在報告が急増している「ファイルコピーの極端な低速化」や「エクスプローラーの動作の重さ」といった不具合は、単なる表面的なプログラムのミスというよりも、OSの根幹であるI/O処理やメモリ管理に何らかの大きな変更が加えられない限り、発生しにくい現象だからです。
Microsoftは、ユーザーに十分な情報を開示しないまま、システムの根幹に関わる重大な変更を行い、その結果として広範囲なパフォーマンス問題を引き起こしてしまった。もしこの仮説が正しければ、これは単なる不具合ではなく、企業の姿勢そのものが問われる大問題と言えるでしょう。
本文:2025/08/15 16:00時点追加情報
追加情報
- ダウンロードやインストールが極端に遅い・進まない現象
- 一部環境で「ダウンロードが数%のまま終わらない」「普段の倍以上かかる」「再起動に1時間程度かかる」などが報告されています。
- こちらは「待っていれば最終的に終わる」ケースが大半で、致命的な障害を伴う広範な事例は出ていません。
- KBアンインストール時のトラブル
- 「アンインストール自体がエラーで削除できない」「セーフモードでもPINエラーが出る」などの事例がSNS等で報告されています。
- 万が一該当した場合は「システムの復元」が有効だったという報告もあります。
- イベントビューアーに「Microsoft Pluton Cryptographic Provider」のエラーが出る
- 表示されるものの、Microsoftは「動作上の問題は発生しない」とアナウンスしており、今後の更新で対応予定とのことです。
- その他の個別動作不安定例(発生頻度は低い)
- 一部で「再起動ループ」「Secure BootやPIN設定の異常」などが個別報告として散見されます。
まとめ・今後の対応
- 企業利用者でWSUS等を用いる場合は“再同期”を推奨(8/15以降なら正常適用可とされています)。
- 一般ユーザーでインストールが「著しく遅い」「止まる」場合も、放置して待てば進むケースが多いようです。※1
- 深刻なシステム障害や使用不能に至るトラブルは、8月15日16:00現在、公式には「未発表」です。
※1 特に企業では、「お盆明けの業務に直接的に差し障る」ケースも考えられます。業務開始時にPCが長時間アップデートで使えないといった事態を避けるため、お盆休み前に適用・確認しておくなどの対応をおすすめします。
【深掘り考察】Plutonエラーは、本当に「影響ない」のか?
追加情報の中でも特に気になるのが、「Microsoft Pluton Cryptographic Provider」のエラーです。Microsoftは「動作上の問題はない」とアナウンスしていますが、パフォーマンス低下が広がる中で、本当に無関係なのでしょうか?
Plutonとは何か? なぜエラーが一部でのみ報告されるのか?
Microsoft Plutonは、2022年以降の新しいCPU(AMD Ryzen 6000シリーズ、Intel Core Ultraシリーズなど)から搭載が始まった、CPU統合型の新しいセキュリティプロセッサです。しかし、CPUが対応していても、PCメーカーが設定で有効にしていなければ動作しません。このエラーが一部のPCでのみ報告されているのは、この「メーカーによる有効・無効の設定の違い」が関係していると考えられます。
「影響ない」の裏側を読む:パフォーマンス低下との関係性
車のエンジンを修理(OSをアップデート)に出したら加速が悪くなり(パフォーマンス低下)、同時に「走行には関係ない」はずの警告灯が点灯した(Plutonのエラー)。…これは本当に無関係でしょうか?
Microsoftの言う「影響ない」とは、「PCが起動不能になる等の致命的な障害はない」という意味だと思われます。しかし、PlutonのようなOSの心臓部でエラーが頻発すれば、そのリトライ処理などがCPUに負荷をかけ、システム全体のパフォーマンスをじわじわと低下させる「直接的な原因」になっている可能性はあります。
あるいは、もっと深刻な可能性として、Plutonのエラーは「根本原因の症状」、つまり「炭鉱のカナリア」であるという見方です。OSの根幹に大きな変更を加えた結果、副作用としてPlutonとの通信にも、そしてI/O処理にも、両方に問題が生じている。このエラーは、OSの最も深い部分で問題が起きていることを示す、目に見える警告なのかもしれません。
本文:2025/08/16 16:00時点追加情報
2025年8月15日00:00以降〜8月16日13:50時点での、Win11(24H2)のKB5063878不具合について出てきた新事実・未確定だが信頼性が比較的高い情報をまとめます。
最新情報・新事実
【公式・信頼度高い情報】
WSUS/SCCM環境のインストール失敗(0x80240069)
8月15日夕方までに「マイクロソフト公式にて修正された」との案内があり、多くの企業環境で障害が解消された模様です。
ただし、一部の現場で「回避策を使っても症状が残る」ケースが引き続きごく少数報告されており、設定や同期環境に依存したトラブルが完全解決していない可能性もあります。
インストール遅延・停止症例が引き続き報告
「ダウンロードが終わらない」「インストール後に再起動でフリーズや遅延」などは、先週比でやや落ち着きつつあるものの、依然として“いくつかの環境”で継続中です。
SNS・掲示板でも「何度か待てば進む」「エラーが出ても再試行で解消」などのアドバイスがあります。
【未確定だが信頼度は高い情報(コミュニティ・技術系ブログより)】
アップデート直後に再起動しなければ不安定化する率が上がる傾向
公式未発表ですが、「KB5063878適用後に即時再起動せず、複数の作業を進めた場合、ごくまれにアプリ・設定の不安定化(フリーズや操作遅延)が起き、再起動で収まる」事例が複数の有志ブログ・体験談で見られています。
一部古いPC・仮想環境でQuick Machine Recoveryや再起動ループ発動
特定の旧型PC、仮想マシン上で「Windows Recoveryが起動、再起動ループになる」症例がにわかに増加傾向との分析報告が出ています。
これは既存のWinRE仕様変更や新BSOD画面が関係している可能性も指摘あり。
その他
新たに「ゼロデイ攻撃対応」「サインイン遅延改善」「Pluton Cryptographic Providerイベントエラーは実害なし」等は公式・有志ブログ共通認識へ。
まとめ
8月15日以降、WSUS/SCCM環境不具合は大半で解消したが、一部現場で細かな問題が残存中
インストール遅延・失敗や、再起動しないと不安定になる現象は引き続き報告あり(特に古い/仮想環境)
信頼度高めの未確定症例として、上記現象の増加がコミュニティや技術系ブログで認められている
これらは現時点(8/16 13:50)で多くの有志情報・現場報告から「完全解決ではない」状況として信頼度ある新情報です。
蛇足:アップデート直後に再起動しなければ不安定化する率が上がる傾向を考えてみる
(どこまでいっても推定にしか過ぎないのですが)「アップデート直後に再起動しなければ不安定化する率が上がる傾向」という現象こそが、今回のアップデートがOSの根幹に無理な変更を加えていることを示唆する、強力な傍証であり状況証拠だと考えられます。
このケースで考えられる可能性の高い原因は、再起動を実行する前の「新旧ファイルの混在」です。
なぜ、再起動しないと不安定になるのか?
アップデートの仕組み:
Windows Updateが完了すると、PC上には新しいシステムファイル(DLLファイルなど)が配置されます。しかし、PCが再起動するまで、メモリ上ではまだ古いバージョンのファイルが動き続けています。
「新旧混在」状態の発生:
この「再起動待ち」の状態でユーザーが作業を続けると、新しくアプリを起動したり設定画面を開いたりした際に、システムはメモリ上にある「古いファイル」と、ディスク上にある「新しいファイル」を、ちぐはぐに参照・実行しようとします。
システムの混乱と不安定化:
例えるなら、半分だけリフォームが終わった家のような状態です。壁紙は新しいのに、柱は古いまま。電気の配線も新旧が入り乱れている。そんな状態で無理に生活(PCを操作)すれば、ブレーカーが落ちたり(フリーズ)、電気がつかなかったり(アプリの遅延)するのは当然です。
本文:2025/08/17 12:00時点追加情報
8月16日から本日お昼ごろにかけて、状況はさらに深刻化し、新たな、より重篤な不具合の報告が確度を増してきています。
特に、ストレージ(ディスクドライブ)において「 データ消失に直結しかねない極めて危険な不具合化 」してきているように見えてきたことには「 厳重な注意 」を払ってください。
【最重要】新たに浮上した「ストレージ消失」問題
昨日からの最大の動きは、これまでの「パフォーマンス低下」をさらに超える、深刻なストレージ関連の不具合が複数報告され始めたことです。
- 現象:
- アップデート適用後、大容量のファイルを書き込む作業(ゲームのインストール、動画編集など)をすると、突然OSがドライブ(SSD/HDD)を見失い、アクセス不能になる。
- SMART情報(ドライブの健康状態を示すデータ)も読み取れなくなる。
- 再起動すると一時的に直る場合もあるが、ファイルの破損が懸念される。
- 外付けSSD/HDDが認識されなくなる、という報告も増加。
- 深刻度:
これは、単なる速度低下ではなく、データ消失に直結しかねない極めて危険な不具合です。 - 公式見解:
8月17日午前11時現在、Microsoftはこのストレージ関連の不具合について、まだ公式な見解を発表していません。
「パフォーマンス低下」問題の多様化と継続
以前からのパフォーマンス低下についても、より具体的な報告が増えています。
- ストレージ使用量の異常増加: 一部のユーザーから「Cドライブの使用量が、アップデート後に数百GB単位で急増した」という報告が挙がっています。
- 再起動ループと自動修復: 昨日の情報通り、特に古いPCや仮想マシンで「再起動ループに陥る」「Windows Recovery(自動修復)が勝手に起動する」という報告が増加傾向にあります。これは、OSの新しい回復機能やブラックスクリーンへの変更が、一部の環境で正常に動作していない可能性を示唆しています。
- 再起動遅延による不安定化: 「適用後、すぐに再起動しないとシステムが不安定になる」という報告も、コミュニティや技術ブログで「ほぼ確実な現象」として認知されつつあります。
「インストール失敗」問題の現状
Microsoftが「修正済み」と発表したWSUS/SCCM環境でのインストール失敗(0x80240069)については、大半の環境で解消された模様です。しかし、一部の管理者からは「再同期しても一部のPCで失敗が続く」といった声も少数ながら残っており、完全な解決には至っていない可能性があります。
総評
状況は、わたしがが当初から懸念していた「OSの根幹に関わる、大きな変更」が、様々な形で表面化していることを強く示唆しています。
当初の「インストール失敗」は序章に過ぎず、現在、より深刻で多様な「インストール“後”の不具合」が次々と明らかになっています。特に、データ消失のリスクをはらむストレージ問題は、極めて憂慮すべき事態です。
本文:2025/08/18 10:40時点追加情報
8月14日のKB5063878提供開始から4日が経過し、不具合の全体像、特に深刻な問題点がより明確になってきました。週末を挟んで海外からの報告も急増しています。現時点で報告されている不具合を「深刻度」と「確度」で整理します。
【最重要 / 危険】ストレージ消失とデータ破損の問題(MS公式見解なし)
現在、最も深刻な問題として報告が急増しているのが、ストレージ(SSD/HDD)関連の不具合です。これは単なるパフォーマンス低下に留まらず、データ消失に直結する可能性があり、最大限の注意が必要です。
- 主な症状: ゲームのインストールや動画編集など、大容量のファイルを連続して書き込む作業中に、OSが突然ドライブを見失い、アクセス不能になります。SMART情報も読み取れなくなり、外付けSSD/HDDでも発生が報告されています。
- 原因(推定): 複数の専門家による検証の結果、特に「Phison(ファイソン)製コントローラーを搭載したDRAMレスSSD」で発生率が高いことが判明しており、特定のハードウェアとの深刻な非互換性が疑われています。
- 状況: 8月18日午前10時時点で、Microsoftからこの問題に関する公式な見解や回避策は発表されていません。一部では「更新をアンインストールしても症状が残る」という報告もあり、問題の根深さが懸念されます。
ストレージ消失とデータ破損の問題の少し詳細な解説
今回のストレージ問題が特に深刻なのは、その原因が特定のハードウェア、特に「Phison製コントローラーを搭載したDRAMレスSSD」に集中していると見られている点です。
DRAMレスSSDとは、コストを抑えるために、データの書き込み位置を一時的に記録するキャッシュ用のDRAMメモリを搭載していないSSDのことです。このタイプのSSDは、OSからの指示(TRIMコマンドなど)やファームウェアの出来によって性能が大きく左右されます。
今回のKB5063878に含まれていたOSの根幹に関わる変更が、この特定のSSDコントローラーのファームウェアと致命的な非互換性を起こし、大容量のデータを書き込む際にSSDが自身の管理情報を見失い、結果としてOSから「消失」してしまうのではないか、と専門家は推測しています。
さらに「更新をアンインストールしても症状が残る」という報告は、このアップデートがSSDの管理領域に何らかの悪影響を及ぼした可能性を示唆しており、単なるOSのロールバックでは解決しない、根深い問題である危険性もはらんでいます。
【有効な回避策か?】OSの書き込みキャッシュ無効化(8/18時点)
なぜ、この対策が有効かもしれないのか?
現在、今回のストレージ問題は「OSのキャッシュ管理」と「特定のSSDコントローラー」の間に、致命的な不整合が起きている、という見方が強まっています。この仮説に立てば、OS側の「書き込みキャッシュ」機能を無効化し、ストレージとの通信プロセスをよりシンプルなものにすることで、問題の発生を回避できる可能性が理論的には考えられます。
設定による影響について
この設定を無効にしても、「この設定を無効にしても、OSの動作に及ぼす影響は限定的です。 副作用として、ファイルの書き込み速度が僅かに低下する可能性がある程度です。しかし、これは「ドライブ消失」という最悪の事態を避けるための「保険」と考えるのが妥当でしょう。
コンシューマーが安心して試すことのできる方法と考えてよいでしょう。
設定手順
- デバイスマネージャーを開きます。(スタートボタンを右クリックして選択)
- 「ディスク ドライブ」の項目を展開します。
- お使いのSSD/HDDを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「ポリシー」タブを開きます。
- 「デバイスの書き込みキャッシュを有効にする」のチェックを外し、「OK」をクリックします。
- PCを再起動します。
※ 例では、システムドライブのキャッシュを無効にしています。複数台のディスクを搭載している場合は(SSDだけではなくHDDも含めて)すべてのディスクの書き込みキャッシュを無効化しておくほうが安心です。今回の問題が収束後に戻すとよいでしょう。
【お願い】試された方は、ぜひ結果を共有してください
もし、この設定変更を試された方がいらっしゃいましたら、パフォーマンス低下の問題(特にファイルコピーの速度)に改善が見られたか、あるいは変わらなかったかなど、ぜひコメント欄で情報をお寄せください。皆さんのご報告が、この問題の解決に向けた大きな一歩となります。
【広範囲 / 要注意】パフォーマンス低下と不安定化の問題(コミュニティ共通認識)
Microsoftは公式に認めていませんが、コミュニティや技術ブログでは「ほぼ確実な不具合」として共通認識が形成されている問題群です。
- パフォーマンス低下: 「ファイルコピーが異常に遅い」「エクスプローラーが重い」「ゲームのフレームレートが低下する」といった報告が、依然として多数寄せられています。
- 再起動ループ: 特に古いPCや仮想マシン環境で、「再起動を繰り返す」「Windows Recoveryが意図せず起動する」といった報告が増加傾向にあります。OSの新しい回復機能との関連が指摘されています。
- 再起動前の不安定化: アップデート適用後、すぐに再起動しないまま作業を続けると、アプリがフリーズするなどの不安定な挙動が報告されています。適用後は速やかな再起動が強く推奨されます。
【公式 / ほぼ解消済】インストール失敗の問題(KIR修正適用中)
アップデート公開直後に多発した、主に企業環境でのインストール失敗問題(エラーコード: 0x80240069)です。
- 状況: 8月15日にMicrosoftが公式の「既知の問題」と認定し、「KIR(Known Issue Rollback)」による修正を展開。これにより、ほとんどの環境では問題が解消されています。
- 残存する問題: ただし、一部の管理者からは「再同期しても一部のPCで失敗が続く」といった声も少数ながらあり、完全な解決には至っていないケースもある模様です。
【軽微 / 経過観察】その他の既知の問題
致命的ではないものの、継続して報告されている問題です。
- Plutonエラー: イベントビューアーに「Microsoft Pluton Cryptographic Provider」のエラーが記録される問題。Microsoftは「実害はない」とアナウンスしており、今後の更新で修正予定です。
- PIN/Secure Boot関連: 一部の環境で、PINの再設定を求められたり、Secure Boot関連の警告が出たりする軽微な不具合が報告されています。
本文:速報 2025/08/18 13:20時点追加情報
【速報】謎の「修正版」アップデートが配信開始
8月18日に入り、KB5063878を巡る状況に新たな動きがありました。一部のWindows 11ユーザーから、新たな更新プログラムが自動的に配信・インストールされた、との報告が挙がり始めています。
これは新しいKB番号を持つものではなく、KB5063878の「リビジョン(改訂版)、あるいは特定の不具合だけを修正する、ごく小規模なパッチであると見られています。(ないしは、実質的にはインストールメディアからのリプレースインストールのネット経由版という記述も見られます。これは、確認ができていません)
※ 名称は「Windows11,version 24H2 (修復バージョン)」となります。
※ 私の手元PCには配信されてPCがないため、画像の挿入ができないです。
【重要】この「修正版」は何を解決するのか?
現時点(8/18 13:20)で、Microsoftはこの「修正版」の目的について、公式な情報をまだ発表していません。
しかし、国内外の専門家の間では、この修正は先日から問題になっている「インストール失敗(0x80240069)」問題を、より確実に解決するためのものである、という見方が一般的です。先日のKIR(Known Issue Rollback)だけでは解決しなかった、一部の企業環境などに向けた追加の修正である可能性が高いと考えられます。
残念ながら、これが現在最も深刻な「ストレージ消失」や「パフォーマンス低下」の問題を解決するという確証は、今のところありません。
【注意喚起】安易なアンインストールは推奨しません
一部のサイトでは、不具合の解決策として「KB5063878のアンインストール」を挙げる向きもありますが、当サイトとしては、その選択肢は全く推奨しません。
繰り返しになりますが、このKB5063878には、すでに攻撃が確認されている「ゼロデイ脆弱性」を修正するという、極めて重要な役割があります。ストレージ消失のリスクは非常に深刻ですが、それは「万全のバックアップ」というユーザー側の対策で備えることが可能です。しかし、PCを乗っ取られるセキュリティリスクは、パッチを適用する以外に有効な防御策はありません。
不具合のリスクと、何もしないことによるセキュリティリスクを天秤にかければ、現時点では「バックアップを万全にした上で、KB5063878は適用したままにする」のが、最も合理的で安全な判断だと、私たちは考えています。
本文:2025/08/18 21:30謎KBの情報を追加
謎KB・・・Windows11, version 24H2 (修復バージョン)に関する情報の追加です。
なお、情報は未だ不明確で不確実なのものです。
1.修復バージョンの存在と配信状況
Microsoftは、「Windows11 24H2修復バージョン」の自動配信を一部ユーザー向けに開始しています。
「これは通常の累積パッチとは違い「Windows Updateや累積更新プログラムのインストール失敗」「不具合継続」に悩まされているユーザーに対し、OS全体をネット経由で“上書き修復”するための特別バージョンです。」という情報と単なるインストールができいことの修正バージョンであるという情報が輻輳している状況です。
配布対象のPCには「Windows Updateで修復バージョンが降ってくる」か、「設定→システム→回復→Windows Update で問題を解決する」の『今すぐ再インストール』から手動適用が可能とのことではあります。
2. 修復バージョンの目的・実態
「一部ユーザーのアップデート繰り返し失敗」「恒常的な動作不安定」「ディスク消失・認識不能」等の深刻トラブルを改善するために、修復バージョンを配信。
Microsoftの公式ドキュメントや検証ブログでは「失敗環境で再インストールを促す新手法」として注目されています。
※ KB5063878の不具合を修正するとは一言も言われていないということです。
3. 対応状況・利用方法
自動配信はすべてのPCが対象ではなく、更新失敗履歴等のあるPCから段階的に展開。
ただし、もうすでにこのKBが配信されていないKBにおいても手動での実行が可能な状態に改変されているようです。(密かにこの改修が手配された模様です。KIR修正?)
(もし、オプション項目が表示される状態であれば)手動で修復バージョンを適用する場合は「設定→回復→でKB再インストールの流れとなる。
※ 誤情報ないしはPC環境により異なるのかは不明ですが、私の手元PCでは「Windows11 24H2修復バージョン」が適用するオプションが見当たらなかったため削除と条件の追加をしました。
データ保持の有無、インストール中のトラブル発生時は公式ガイドも参照推奨。(Windows のアップグレードとインストールに関するエラーのヘルプ)
4. 修復版以外の24H2パッチ最新状況
8月配信KB5063878で引き続き「ストレージ消失などの深刻不具合」が継続中。
ストレージ不具合・アップデート遅延・認識不能等のトラブルで困った場合は、この修復バージョンが問題解決の有力策となる可能性が高いです。
注意点
修復バージョンは、「上書きインストール」扱いとなるのかどうが不明瞭なため、万一に備え事前バックアップ推奨。
全てのトラブルが完全に解消できる保証はないが、既存環境の自動修復手段としてWindows11, version 24H2 (修復バージョン)を利用した修復(インストール)が現時点で最も信頼性が高い方法らしいのですが、修正KB適用以外の方法(自分でOSインストールメディアを利用してリプレースインストールをした場合など)では「その後にKB5063878が再び適用される」と言う堂々巡りになりますので留意してくださいね。
KB5063878の取り扱い補足
1.更新履歴
専門家の分析によると、この「修復バージョン」は、KB5063878そのものの改訂版(リビジョン2)と見られています。これは、新しいKB番号を割り振るのではなく、同じKB番号のまま、中身のファイルの一部だけを差し替える手法です。
そのため、更新履歴:は引き続き「KB5063878が正常にインストールされました」と表示されます。
OSビルド番号: OSのビルド番号(例:26100.4946)の、さらに末尾にあるマイナーなリビジョン番号が変わる可能性がありますが、ほとんどのユーザーには見分けがつきません。
2. 「修復バージョン」が解決する問題
現時点での共通見解は、「いいえ、ストレージ消失やパフォーマンス低下の問題は解決しない」というものです。
この修正は、あくまでMicrosoftが公式に認めた「インストール失敗(0x80240069)」問題への追加対策であり、より根深い不具合には手をつけていない、というのが大方の見方です。
3. 通常のリプレースインストールとの違い
リプレースインストール(インプレースアップグレード):
OSのシステムファイル全体を、最新のインストールメディアを使って丸ごと上書きする、大掛かりな修復作業です。時間はかかりますが、広範囲のファイル破損を修復できます。
今回の「修復バージョン」:
Windows Updateのコンポーネントや、インストールプロセスに関わるごく一部のファイルを置き換えるだけの、小規模で外科手術的なパッチと考えられます。リプレースインストールほどの強力な修復能力はありません。
結論
この「修復バージョン」の詳細は不明な点が多いですが、「インストール失敗問題への限定的な追加修正であり、深刻なストレージ問題などへの対策にはなっていない」というのが、現時点での専門家コミュニティの一般的な見解です。
したがって、この修正版が適用されたとしても、ストレージ問題への警戒は、引き続き厳重に続ける必要があると言えます。
本文:2025/08/19 13:00時点 情報追加と整理
週末が明け、海外のIT管理者や専門家からの詳細な検証報告がさらに増え、KB5063878を巡る状況がより一層明確になってきました。以下に最新情報を整理します。
【最重要 / 危険】ストレージ消失問題の続報と原因の絞り込み
現在最も深刻な「ストレージ消失・データ破損」問題について、原因の特定がさらに進んでいます。
- 原因の特定: 複数の詳細な検証レポートにより、原因はやはり「Phison製コントローラーを搭載したDRAMレスSSD」と、KB5063878によるOSのI/O管理の変更との非互換性である、という見方がほぼ確定しました。SSDのファームウェアが、OSからの予期せぬ命令に対応できず、フリーズしてしまうようです。
- 危険性の再確認: 「更新をアンインストールしても症状が残る」という報告は依然として存在し、最悪の場合、SSDが物理的に認識されなくなる(いわゆる「文鎮化」)リスクも指摘され始めています。これは、アップデートがSSDの管理領域に深刻なダメージを与えている可能性を示唆します。
- Microsoftの対応: 8月19日昼時点でも、Microsoftはこの問題について公式な見解を発表していません。
※ 障害発生時に私が予想した通りのキーワード「KB5063878によるOSのI/O管理の変更」がでてきています。
【新情報】「Windows11 24H2 修復バージョン」の役割が判明
先日より配信が報告されていた「修復バージョン」について、その目的が明らかになってきました。
-
- 目的: これは、KB5063878の不具合を直接修正するものではありません。これは、度重なるアップデートの失敗などでシステムが不安定になったPCに対し、OSのコアファイルをネット経由で「上書き修復(リプレースインストール)」するための、新しい回復オプションです。
- 適用対象: 全てのユーザーに表示されるわけではなく、「設定」→「システム」→「回復」の中に、「Windows Updateで問題を解決する」という項目が表示されているPCでのみ、手動で実行できます。
– 注意点: この修復を行っても、KB5063878のストレージ問題やパフォーマンス低下が解決するという保証はありません。あくまで、OSの基本的な健全性を回復させるための手段の一つにすぎません。
【注意喚起】現在、最も推奨される自己防衛策
以上の状況を踏まえ、現時点でユーザーが取るべき最も安全な対策は以下の通りです。
- バックアップの徹底: 何よりもまず、重要なデータの完全なバックアップを取得してください。
- 書き込みキャッシュの無効化: 記事中で解説した「OSの書き込みキャッシュ無効化」は、現在コミュニティで最も有力視されている予防策(ワークアラウンド)です。対象のSSDを使用している方は、設定を強く推奨します。
- 大容量の書き込みを避ける: 原因が特定されるまで、ゲームのインストールや動画の書き出しといった、数十GB単位の連続した書き込み処理は、可能な限り避けてください。
※ この問題について、ねこるすきーさんという方が、21種のSSDで検証してくれています。
本文:2025/08/20 07:00時点 新情報追加と整理
2025/08/20 07:00時点 新情報を追加します。また、不具合顕在化当初からのKB5063878関連の情報を一度整理して記載しました。
2025/08/19 13:00~2025/08/20 07:00時点 追加新情報
【最重要】SSDコントローラーメーカー「Phison」が公式に調査を表明
本日未明、今回のストレージ消失問題で原因として名前が挙がっていた、台湾のSSDコントローラーメーカー「Phison(ファイソン)」が、遂に公式に声明を発表しました。
- 内容: Phisonは、KB5063878と、同社のコントローラーを搭載した一部のDRAMレスSSDとの間で発生している非互換性の問題を認識しており、Microsoftと共同で、原因の調査を開始したことを明らかにしました。
- 意味: これは非常に大きな動きです。Microsoftは依然として沈黙を続けていますが、ハードウェアメーカー側が問題を公に認めたことで、問題の存在が確定し、解決に向けた動きが本格化したことを意味します。
【新情報】「Windows11 24H2 修復バージョン」の役割と限界
先日より配信が報告されていた「修復バージョン」について、その役割がより明確になってきました。
- 目的: これは、度重なるアップデートの失敗などでシステムが不安定になったPCに対し、OSのコアファイルをネット経由で「上書き修復(リプレースインストール)」するための、新しい回復オプションです。
- 限界: あくまでOSの基本的な健全性を回復させるためのものであり、KB5063878が引き起こす、特定のハードウェアに起因する「ストレージ消失」問題などを、直接修正するものではない、というのが専門家の一致した見解です。
【継続中】その他の不具合とコミュニティの動向
- インストール関連の問題: MicrosoftによるKIR修正後も、一部の企業環境では「再同期しても失敗する」といった報告が少数ながら続いており、問題が完全に収束したとは言えない状況です。「インストールが異常に遅い」という報告も依然として散見されます。
- コミュニティの推奨策: 専門家や技術系ブログでは、MicrosoftやPhisonから公式な対策が発表されるまで、引き続き「万全なバックアップ」「書き込みキャッシュの無効化」「大容量書き込みの回避」といった自己防衛策を強く推奨しています。
総評
Phisonが公式に調査を表明したことで、この問題は新たなフェーズに入りました。原因究明と修正パッチの開発が、今後加速することが期待されます。
しかし、Microsoft自身が依然としてこの深刻な問題について沈黙を守っている点は、引き続き大きな懸念点です。ユーザーとしては、公式のアナウンスを待つだけでなく、自らのデータを守るための対策を、引き続き徹底する必要がありますね。
情報整理とまとめ-KB5063878の不具合顕在化後2025/08/20 07:00 時点まで
8月14日のKB5063878配信開始から約1週間が経過し、様々な不具合報告と調査が進んできました。ここで一度、これまでに判明した「事実」と、我々ユーザーが取るべき「対策」を改めて整理します。
事実のまとめ
- 【最重要】深刻な「ストレージ消失」問題が特定のSSDで多発中:
- 大容量の書き込みでSSD/HDDがOSから認識されなくなる、データ消失のリスクを伴う最も深刻な不具合です。
- 原因は「Phison製コントローラー搭載のDRAMレスSSD」との非互換性である可能性が、コミュニティの検証とメーカー(Phison)の公式声明により、ほぼ確定しています。
- Microsoftは、この問題についてまだ公式な見解を発表していません。
- 【ほぼ解消済】「インストール失敗」問題:
- 主に企業環境で多発したインストール失敗(0x80240069)は、Microsoftが公式に問題を認め、KIR(Known Issue Rollback)等で修正したため、大部分は解消されています。
- 【継続中】その他のパフォーマンス問題:
- 「ファイルコピーが遅い」「再起動ループ」「適用後すぐに再起動しないと不安定になる」といった、広範囲なパフォーマンスや安定性に関する問題は、依然として多くの環境で報告が続いています。
- 【役割判明】「修復バージョン」の登場:
- Microsoftが提供を開始した「修復バージョン」は、今回の不具合を直接修正するものではなく、更新失敗などで不安定になったOSを「上書き修復」するための新しい回復オプションです。
現時点で考えられる対策と留意点まとめ
考えられる対策
- 【最優先】データのバックアップを徹底する:
何よりも優先すべき対策です。システム全体のイメージバックアップと、重要な個人データの定期的なバックアップを必ず行ってください。 - 【予防策】OSの書き込みキャッシュを無効にする:
現在、コミュニティで最も有力視されている予防策(ワークアラウンド)です。特に、該当する可能性のあるSSD(Phison製コントローラー搭載DRAMレスSSD)をお使いの場合は、設定を強く推奨します。 - 【自衛策】大容量の書き込み処理を避ける:
問題が解決されるまで、ゲームのインストールや動画編集といった、数十GB単位の連続した書き込み処理は、可能な限り控えるのが安全です。
留意点
- アンインストールは非推奨:
不具合は深刻ですが、このKBにはすでに攻撃が確認されている「ゼロデイ脆弱性」の修正が含まれています。バックアップ等の自衛策を徹底した上で、アンインストールはせず、適用したままにするのが、総合的なリスク管理として推奨されます。 - 「修復バージョン」に過度な期待はしない:
「修復バージョン」は、ストレージ消失問題を直接解決するものではありません。OSの基本的な調子が悪い場合の「最終手段」と捉えるべきです。 - 情報はまだ流動的:
Phisonが調査を開始したことで、今後、MicrosoftやSSDメーカーから新たな情報(修正パッチやファームウェアアップデートなど)が出てくる可能性があります。引き続き、信頼できる情報源のチェックを続けてください。
本文:2025/08/21 09:30時点 追加情報
【最重要】Microsoftが「ストレージ消失」問題を公式に認め、KIRでの修正を開始
本日8月21日未明、Microsoftは遂に、KB5063878適用後の深刻な「ストレージ消失」問題を公式の「既知の問題」として認定しました。
- 内容: MicrosoftはWindowsリリース正常性ページを更新し、「特定の条件下で大容量のファイルを書き込むと、SSDまたはHDDがOSから認識されなくなる可能性がある」ことを認めました。
- 原因: 公式発表では原因の詳細は述べられていませんが、コミュニティの分析通り、特定のSSDコントローラーとの非互換性が原因である可能性が高いです。
- 対策: Microsoftは、この問題を解決するため、「KIR(Known Issue Rollback)」という仕組みで、問題を引き起こすOS内部の変更をリモートで無効にする修正を開始したと発表しました。
- 意味: これにより、ほとんどの個人ユーザーのPCでは、今後24時間から数日以内に、この問題は自動的に解消される見込みです。ただし、企業環境など一部のPCでは、特別なグループポリシーの適用が必要になる場合があります。
【新情報】SSDメーカー「Phison」もファームウェアアップデートの準備を表明
Microsoftの動きに呼応し、SSDコントローラーメーカーのPhisonも、この問題に対処するための新しいファームウェアアップデートを準備中であることを明らかにしました。OS側の修正(KIR)に加え、SSD側からの対策も行われることで、問題の再発防止が期待されます。
【継続中】その他の不具合の状況
- パフォーマンス低下: ストレージ消失問題がKIRで修正されることに伴い、関連する「ファイルコピーの低速化」などのパフォーマンス問題も、多くの環境で改善することが期待されます。
- 修復バージョン: この役割は変わりません。OSの基本的な健全性が損なわれたPC向けの「上書き修復」オプションであり、今回のストレージ問題への直接的な修正ではありません。
総評
Microsoftが遂に重い腰を上げ、最も深刻な「ストレージ消失」問題に対して、KIRによる修正を開始したことで、この一連の問題は解決に向けた大きな転換点を迎えました。Phisonも対策に動いており、ようやく収束の光が見えてきたと言えます。
しかし、KIRの修正が全てのPCに行き渡るまでには、まだ時間がかかります。それまでは、「バックアップの徹底」「書き込みキャッシュの無効化」「大容量書き込みの回避」といった自己防衛策が、依然として非常に重要であることに変わりはありません。
本文:2025/08/22 13:30時点の情報整理
2025年8月20日午前7時以降~22日13時現在までの最新情報をまとめます。
Windows11 24H2(修復バージョン)関連
修復バージョンの自動配信は継続中
Windows Update失敗やアップデートループ・OS損傷端末向けに「設定→システム→回復→Windows Updateで問題を解決する」から修復インストールできる仕組みが引き続き稼働しています。
正常化報告が増加傾向
この修復バージョンの適用で、アップデートループや一部のシステム損傷・更新失敗への解決事例が着実に増えていると複数の技術系コミュニティ・現場から報告されています。
新たな配信・導入面での不具合報告は現状なし
システム要件未達端末では失敗する場合あり等の注意点は継続中ですが、大きな障害は追加なく安定運用の傾向です。
KB5063878 不具合・新情報
Phison製SSDとの不具合は調査進展段階
8/20以降も「Phison社とMicrosoftによる共同調査が続行中」で、現時点で公式修正パッチやファームウェア更新等の“根本対策”の配信は行われていません。
既存の主な不具合状況
- SSD/HDD消失(ストレージロスト)の障害は依然発生中で、DRAMレスSSD・Phisonコントローラ搭載機などで特に顕著。
- 外付けストレージやSMART情報が未認識になる症例も継続。
- WSUS/SCCM 0x80240069エラーやCertificateServicesClientエラー等のマイナー不具合は修正済み、運用上ほぼ影響無し.
- 一部環境ではOS回復・リセット操作失敗が発生していましたが、新たにKB5066189が配信され、該当不具合は修正されています。
Microsoft側の対応状況
- KB5066189のリリースによる「OS回復・リセット失敗」不具合はほぼ解消
- 該当する端末は、Windows UpdateよりKB5066189をインストールしてください。
- SSD消失など重大障害は引き続き調査・対応検討段階
- 公式サポートとPhison社が調査継続、今後修正パッチorファームウェアアップデートに期待。
まとめ
- 修復バージョンの配信・利用は順調、アップデート系トラブルは改善傾向。
- KB5063878関連の深刻ストレージ不具合(特にPhison社製SSD)はまだ調査中、修正パッチやファームウェア更新はこれから公表される見込み。
- 新たな大規模不具合は現状発生なし、マイナー不具合については大半が修正完了。
- 今後もPhison社・MS公式による発表や追加パッチ配信動向を注視してください。
本文:2025/08/25 07:30時点 追加情報
【最重要】Phisonが原因を再否定、「Windows側のバグ」と結論か
週末に、この問題の状況を覆す、非常に大きな情報が出てきました。SSDコントローラーメーカーのPhisonが、海外の一部大手メディアの取材に対し、追加の声明を発表した模様です。
- 内容: Phisonの社内調査の結果、「今回の不具合は、Phison製コントローラーやファームウェアに起因するものではなく、Windows OS側のソフトウェアバグである可能性が極めて高い」と結論付けた、とのことです。
- 意味: これは、責任の所在がハードウェアメーカー(Phison)から、OSメーカー(Microsoft)へと完全に移ったことを意味します。もしこれが事実であれば、Microsoftは自社のOSのバグが、特定のハードウェアを物理的に破壊しかねない深刻な事態を引き起こしたことになり、その責任は極めて重いと言えます。
- Microsoftの対応: 8月25日朝時点でも、MicrosoftはPhisonのこの声明に対し、公式なコメントや反論を発表していません。
【継続中】ストレージ関連の不具合
Phisonの声明とは別に、ユーザーからの不具合報告は依然として続いています。
- 症状の多様化: これまでの「大容量書き込み時のドライブ消失」に加え、「ゲームのプレイ中に突然PCがクラッシュし、『No Bootable Device』と表示され起動不能になる」といった、より深刻な被害報告も散見されるようになっています。
- コミュニティの動向: 専門家や技術系ブログでは、Phisonの声明を受け、「原因はWindows DefenderのI/O負荷増加ではないか」「OSのメモリ管理の変更が原因ではないか」といった、Windows側の具体的な原因を探る議論が活発化しています。
【更新なし】その他の不具合と対策
「インストール遅延」「再起動ループ」「NDI配信の問題」など、その他の不具合については、この週末で大きな状況の変化はありませんでした。
ユーザーが取れる対策も変わらず、「万全のバックアップ」「書き込みキャッシュの無効化」「大容量書き込みの回避」が、引き続き最も有効な自己防衛策となります。
現状のまとめ
Phisonが「原因は我々ではない」と公式に表明したことで、すべての視線がMicrosoftに注がれるという、新たな、そして最終的な局面に入りました。
Microsoftがいつ、どのような形でこの深刻な「OS側のバグ」を認め、修正するのか。全世界のWindowsユーザーが、固唾を飲んで見守っている状況です。
MSの対応の予想
Phisonが「OS側のバグ」と指摘したことで、Microsoftへのプレッシャーは極限まで高まっています。今後の対応として、以下のシナリオが考えられます。
- 可能性1:定例外の緊急パッチ(OOB)をリリースする
最も可能性が高いシナリオです。問題がデータ消失に繋がりかねないほど深刻であるため、通常のリリースサイクルを待たず、この問題だけを修正する緊急の更新プログラムを数日以内に配信する可能性があります。 - 可能性2:8/27(水)のオプション更新で修正する
もし修正が間に合えば、今週水曜に予定されている、セキュリティ以外の修正を含むプレビュー更新(オプション)で対応する可能性もあります。 - 可能性3:24H2向けのオプション更新のみ遅延・中止する
修正が間に合わない場合、さらなる混乱を避けるため、24H2向けのオプション更新の配信自体を一時的に見送るという判断も考えられます。
【上級者向け】より安全な恒久対策:「23H2」への一時的移行
現在の混乱がいつ、どのように収束するのか、まだ予測がつきません。修正パッチに新たなバグが含まれる可能性も否定できませんし今回のようなケースのブ具合の修正では「修正したが修正しきれていない・新たな不具合が発生してしまった」ということになる例も少なくはありません。
「危険な24H2を使い続けるのはもう嫌だ」という方は、より安定しているWindows 11(23H2)の環境へ移行する、という抜本的な対策も視野に入ります。
具体的な手法
- 手法A:別のドライブに23H2を新規インストールする
予備のSSDやHDDをお持ちの場合、そこに23H2をクリーンインストールし、現在の環境からユーザーファイルだけをコピーして引っ越します。最も安全で確実な方法です。 - 手法B:現在のPCに23H2をデュアルブートで導入する
現在の24H2環境を残したまま、別のパーティションに23H2をインストールし、起動時にOSを選べるようにします。
この対策のメリットとデメリット
この対策には、以下のような利点と、重大な留意点が一つあります。
重大な留意点:
・ごく稀に、OSの再インストールでライセンス認証に問題が発生する可能性もゼロではありません。
メリット:
・今回の不具合の根本原因である「24H2のOSコアの変更」から完全に切り離された環境でPCを運用できるため、手間はかかりますが非常に安全です。
・SSDに物理的なダメージが及ぶ当面のリスクからも解放されます。
デメリット
・Windows 11 23H2(Home/Pro)のサポートは、2025年11月11日に終了します。つまり、この対策は残り2ヶ月半ほどの時間稼ぎにしかならず、すぐにまた24H2(あるいはその後継)への移行を迫られます。
しかしながら、(手間はかかりますが)ファイルが消失してしまうかもしれない、ドライブにアクセス不能になってしまうかもしれないとビクビクしながらPCを利用するよりは遥かにマシです。
・OSのインストールは、Win11が導入されているようなPCでSSDの場合は比較的短時間で完了します。
ただし、数多くのアプリケーションの再インストールが必要になってしまうという場合は、ライセンス移動の問題などけっこうな手間と時間がかかります。この点は、ご自分の利用環境でどの程度のアプリを最低限インストールし直さなくてはならないのかを勘案してください。
デュアルブートの場合、ドライブの不具合の影響はないのか?
はい、影響はありません。
今回のストレージ消失問題は、24H2のOSが動作している時にのみ、OSがSSDに対して不正な命令を送ることで発生します。
23H2でPCを起動している間は、24H2のパーティションは単なる「データの保管場所」として認識されるだけで、問題のプログラムは一切動作しません。したがって、23H2の環境下で、24H2のパーティションに保存されているファイルが破損したり、ドライブが消失したりすることはありません。
本文:2025/08/30 07:30時点 追加情報
【続報】Microsoftは依然として沈黙、コミュニティでの原因究明が進む
2025/08/25 07:30時点から、KB5063878の修正を含む可能性があるプレビュー版(KB5064081)がリリースされてから後現時点までに、大きな状況の変化はありません。MicrosoftはWindowsリリース正常性ページを更新しておらず、「ストレージ消失」問題の原因や、Phison社の声明に対する公式な見解は、依然として発表していません。
※ KB5064081提供からの時間が経過していませんので、今のところ情報はありません。
その一方で、国内外の技術コミュニティや専門家による、原因究明の動きはさらに活発化しています。
- 原因の再検証:
複数のユーザーが、最新プレビュー版(KB5064081)を適用した環境で、改めて大容量のファイル書き込みテストを行っています。現在のところ、これらの修正を適用した環境でストレージ消失問題が再発したという報告はなく、Microsoftの修正(KIR)は有効であると見られています。(ただし、KB5064081でKB5263878を修正したという正式アナウンスはMSより発せられていません) - 「なぜ起きたか」の議論:
Phison社が「OS側のバグ」と指摘したことを受け、「Windows Defenderのリアルタイム保護機能が、特定のI/Oパターンで異常な負荷をかけているのではないか」「新しいメモリ管理機能(リコール等)の副作用ではないか」といった、OSの具体的なコンポーネントを特定しようとする、より深いレベルの議論が続いています。
【注意喚起】ユーザーが取るべき対策に変更なし
Microsoftから最終的な「根本原因」の解説や、PhisonからSSDの「ファームウェアアップデート」などが提供されるまでは、状況が完全に解決したとは言えません。
したがって、ユーザーが取るべき自己防衛策は、これまでと変わらず以下の通りです。
- 【最優先】データのバックアップを徹底する
- 【予防策】OSの書き込みキャッシュを無効にする
- 【自衛策】大容量の書き込み処理を可能な限り避ける
総評
MicrosoftのKIRによる修正は効果を発揮しているようですが、なぜこれほど深刻な問題が起きたのか、その根本原因については、依然としてブラックボックスの中です。
多くのユーザーは、自らのPCが「地雷」を踏んでしまった理由も知らされないまま、Microsoftの「リモート操作」によって、いつの間にか問題が解消されるのを待つしかない、という状況に置かれています。この一連の出来事は、現代のOS管理の複雑さと、ユーザーの無力さを象徴していると言えるかもしれません。
本文:2025/09/02 11:00時点 追加情報
今回の追加情報の考え方の解説
最初に今回の追加情報の背景にある「考え方」や「技術的な仕組み」について、少し踏み込んで解説いたします。
なぜこのような問題が起きるのか、その根本原因をご理解いただくことで、今後のアップデートに対する不安を少しでも和らげることができれば幸いです。
問題の核心:何が起きているのか?
まず最も重要な点として、現在報告されている問題は「PCやSSDが物理的に故障した」という話ではありません。一言でいえば、これは「OSの新しいルール」と「既存のソフトウェアやハードウェアの古い習慣」との間で発生した、一時的なすれ違いです。
Microsoftは、Windows 11 Version 24H2という新しいOSで、セキュリティを大幅に強化しました。これは、私たちのデータをより安全に守るための非常に重要な進化です。しかし、その新しいセキュリティの仕組み(ルール)が、一部のソフトウェアや、SSDを制御しているファームウェア(習慣)にとっては未知のものであり、うまく連携が取れずに予期せぬ動作を引き起こしてしまうのです。
主な2つの原因
この「すれ違い」は、主に以下の2つのパターンで発生します。
1. ソフトウェア(アプリやドライバ)の非互換性
これが最も一般的で、多くの場合の原因となっています。特に、ウイルス対策ソフトやディスク暗号化ソフトのように、OSの根幹部分で動作するタイプのソフトウェアは影響を受けやすいです。
- 従来の動作方法: これらのソフトは、これまでWindowsの特定の「裏口」や「特権」を使って、ウイルスを監視したり、データを保護したりしていました。
- 24H2の新しいルール: 新しいWindowsでは、セキュリティを強化するために、これまで使えていた「裏口」の一部を塞ぎ、新しい正規の「窓口」を設けました。
- 結果: ソフト側がこの新しい「窓口」の使い方をまだ知らないため、古い「裏口」を使い続けようとしてOSと衝突してしまったり、動作が不安定になったりします。
これはソフトウェアメーカーが、新しいOSのルールに合わせて製品をアップデートすることで解決される問題です。
2. ハードウェア(SSDファームウェア)の非互換性
こちらは比較的稀なケースですが、SSDのファームウェアが原因となることもあります。ファームウェアとは、SSD自体を動かしている基本的なプログラムのことです。
- 24H2の新しい要求: 新しいWindowsは、データの暗号化をより高速かつ安全に行うため、SSDに対して「こういうやり方で暗号化を手伝ってほしい」という新しい命令を送ることがあります。
- 古いファームウェアの応答: しかし、SSDのファームウェアがその新しい命令の形式を知らない場合、「指示された内容が理解できません」と応答してしまい、処理が止まってしまうことがあります。
- 結果: OSから見ると、SSDが正しく応答しないため、エラーとして処理されます。
これもSSDの製造元が、新しいOSの命令に対応するためのファームウェアアップデートを提供することで解決されます。
Microsoftの対応と私たちのスタンス
Microsoftは、このような互換性の問題を事前に把握している場合、「セーフガードホールド」という仕組みを使い、問題が解決されるまで該当するPCにアップデートが配信されないようにブロックすることがあります。
これはユーザーを困らせるためではなく、問題が発生する可能性のあるPCをアップデートから保護するための予防措置です。
私たちが今回この情報をお伝えしているのは、アップデートが来ない、あるいはエラーが表示された際に、「自分のPCが壊れたのではないか」とご心配される方を一人でも減らしたい、という思いがあるからです。原因は多くの場合、お使いのPCを取り巻くソフトウェア環境の一時的な問題であり、時間が解決してくれるケースがほとんどです。
まとめ:ユーザーの皆様へ
今回の問題は、より安全で快適なPC環境への移行期に発生する、一種の「成長痛」のようなものです。お使いのPCやSSDに欠陥があるわけではございません。
まずは、お使いのソフトウェアやドライバを最新の状態に保つことを心がけてみてください。そして多くの場合、ソフトウェアメーカーやMicrosoftが対応パッチをリリースするのを待つことが、最も安全で確実な解決策となります。
今後とも、正確で分かりやすい情報提供に努めてまいります。
新たな不具合の萌芽:非対応ソフトによるパーティション操作の危険性
今回の件で、特に警鐘を鳴らしたいのが、OSアップデート後に非対応のソフトでシステムのパーティション構造を変更する危険性です。
Windows 11 Version 24H2のような大型アップデートでは、目に見えない部分、特にシステムの起動や回復、暗号化に関わるパーティションの「お作法」が変更されていることがあります。
例えば、「EFIパーティションの拡張、16MBの予約領域(MSR)の移動、そしてWindows領域の縮小」という操作は、ディスク管理において非常に高度で繊細な作業です。
非対応のソフトウェアがこれを実行すると、以下のような不具合を誘発する可能性があります。
- 起動情報の破壊: ソフトウェアが新しいOSのルールを知らないままEFIパーティションやMSR(Microsoft Reserved Partition)を移動させると、OSが「起動に必要なファイルが本来あるべき場所に見当たらない」と判断し、起動不能に陥ることがあります。
- 回復環境の破損: Windows回復環境(WinRE)の位置情報が狂ってしまい、システムの復元やトラブルシューティング機能が使えなくなることがあります。バックアップからのリストアができない一因もここにあります。
- BitLockerの不具合: ディスク暗号化機能であるBitLockerは、パーティションの整合性に非常に敏感です。非正規の操作によって整合性が崩れたと判断されると、回復キーを要求されたり、最悪の場合データへのアクセスが困難になったりします。
見た目上は操作が成功したように見えても、内部的にはシステムの根幹を支える重要な整合性が破壊されているケースがあり、これが後々の深刻なトラブルにつながるのです。
問題が発生する可能性のあるソフトウェアの例
一般的に、OSの深い部分にアクセスする以下の種類のソフトウェアは、大型アップデートへの対応が確認できるまで使用に注意が必要です。
ディスク・パーティション管理ソフト
例: EaseUS Partition Master, MiniTool Partition Wizard, AOMEI Partition Assistant など
理由: ディスクの構造を直接書き換えるため、OSの新しい仕様と矛盾すると、今回のような致命的な問題を引き起こす可能性が最も高いカテゴリです。
システム最適化・高速化ソフト
例: IObit Advanced SystemCare, CCleaner (ディスク関連機能) など
理由: これらのソフトの一部には、デフラグやディスククリーンアップ以上の、パーティション構成に影響を与えかねない機能が含まれていることがあります。
特定のバックアップ・復元ソフト
例: Acronis Cyber Protect (True Image), Macrium Reflect など
理由: 高機能なバックアップソフトは、パーティション構成ごと復元する「ベアメタル復元」機能を持っています。リストア先のOS環境がバックアップ元と大きく異なると、パーティションの不整合を引き起こす可能性があります。
仮想ドライブ作成ソフト
例: Daemon Tools など
理由: OSのストレージ管理システムに深く関わるため、OSの仕様変更によって競合が発生し、システム全体を不安定にさせる可能性があります。
RAMディスク作成ソフト
例: SoftPerfect RAM Disk, ImDisk Toolkit など
理由: RAMディスクは、メモリの一部をストレージドライブのように見せかけるための特殊なドライバをOSにインストールします。Windowsの大型アップデートでは、メモリ管理の仕組みやドライバの動作要件が変更されることがあります。これにより、古いRAMディスクのドライバがブルースクリーン(BSoD)を直接引き起こしたり、アップデートのインストールプロセスを妨害したりする原因となります。特に、アップデート中に作成される一時ファイルをRAMディスク上に置いている場合、再起動時にRAMディスクの内容が消えるため、アップデートが100%失敗します。
ストレージ高速化・キャッシュ技術
例: Intel Rapid Storage Technology (IRST), Intel Optane Memory, AMD StoreMI など
理由: これらの技術は、OSのストレージ管理システムに深く、かつ半ば強制的に介入するため、OS側の想定と少しでもズレが生じると、システムの安定性を根本から揺るがす深刻な問題を引き起こす可能性があります。
- IRST (Intel Rapid Storage Technology): かつてSSDをHDDのキャッシュとして高速化する機能を提供していました。この特殊な構成をOSが正しく認識できず、起動不能に陥るリスクがありました。現在、この機能はNVMe SSDの普及でほぼ使われなくなりましたが、古いPCのBIOS設定で有効になっている場合は依然としてリスク要因となります。
- AMD StoreMI: AMD環境における同様の技術です。OSの大型アップデート前には一時的にキャッシュを解除するなどの自衛策が推奨されます。
アップデート前には、これらの特殊な機能は無効にしておくのが最も安全です。
これらのソフトウェアがすべて危険というわけではありません。開発元が迅速にWindowsアップデートに対応し、互換性を保証しているバージョンであれば問題なく使用できます。重要なのは、大型アップデートを適用した直後は、お使いのシステム系ソフトウェアがそのアップデートに正式対応しているか、必ず公式サイトなどで確認するという習慣です。
【最重要】Microsoftが公式見解、「KB5063878とSSD不具合の関連性は見つからなかった」
この週末を挟んで、Microsoftは海外の大手技術メディア(Bleeping Computerなど)に対し、KB5063878とストレージ消失問題に関する、初の、そして衝撃的な公式見解を発表しました。
- 内容: Microsoftは、「徹底的な調査の結果、2025年8月のセキュリティ更新プログラム(KB5063878)と、ソーシャルメディアで報告されているようなハードドライブの障害との間に、関連性は発見されなかった」と表明しました。
- 根拠: Microsoftによると、全世界からのテレメトリーデータ(PCから自動送信されるエラー情報)を分析しても、このアップデート適用後にSSD/HDDの障害が増加したという事実は確認できず、Phisonなどのストレージパートナーと協力した社内テストでも、問題を再現できなかった、とのことです。
- 意味: これは、先日Phisonが発表した「OS側のバグである」という声明を、真っ向から否定するものです。Microsoftは、「我々のアップデートに、あなたのSSDを破壊するような問題は存在しない」という公式スタンスを明確にしたことになります。
【泥沼化】責任の押し付け合いと、置き去りにされるユーザー
このMicrosoftの公式見解により、状況は「原因究明」のフェーズから、責任の所在を巡る「泥沼化」のフェーズへと移行しました。
- Phisonの主張: 「我々のコントローラーに問題はない。OS側のバグだ」
- Microsoftの主張: 「我々のOSに問題はない。不具合との関連性が見つけられない」
このように、両社の見解は完全に食い違っており、その間で、実際にデータ消失のリスクに直面しているユーザーが置き去りにされているのが、現在の状況です。
【継続中】コミュニティでの不具合報告と、ユーザーの自己防衛
Microsoftの公式見解とは裏腹に、国内外のコミュニティでは、「アップデートを適用してからPCの調子がおかしい」「大容量ファイルを書き込むのが怖い」といったユーザーからの報告や不安の声は、依然として続いています。
多くの専門家は、「原因が何であれ、アップデートと不具合発生の間に強い相関関係があるのは事実」として、引き続き以下の自己防衛策を強く推奨しています。
- 万全なバックアップの継続
- 書き込みキャッシュの無効化
- 大容量書き込みの回避
総評
Microsoftが不具合との関連性を公式に否定したことで、この問題は非常に厄介で、長期化する可能性が出てきました。
「どちらの言い分が正しいのか」という責任問題の解決を待っていては、私たちのデータは守れません。
ユーザーとしては、企業の公式発表を鵜呑みにせず、コミュニティで共有されている「現実」の情報を基に、自らの手でPCを守るための行動を、引き続き徹底する必要があると言えるでしょう。
本文:2025/09/04 07:00時点 追加情報
【新仮説】原因は「TRIM」コマンドの不具合か?
現在、海外の技術フォーラムや一部の専門家の間で、今回の不具合の根本原因として「TRIMコマンド」の実装に問題があったのではないか、という新しい仮説が有力視され始めています。
- TRIMコマンドとは? 🗑️ SSDの性能を維持するための重要な命令です。OSが「このデータはもう不要だ」とSSDに伝えることで、SSDは事前に不要領域の整理(ガベージコレクション)を行い、次にデータを書き込む際の速度低下を防ぎます。
- 何が問題とされているか KB5063878によって、OSがこのTRIMコマンドをSSDに送るタイミングや方法に何らかの変更が加えられた可能性があります。その変更が、Phison製DRAMレスSSDのファームウェアが想定していないものであったため、大容量の書き込み(=大量のTRIM命令が発行される)際に、SSDのコントローラーが混乱し、フリーズや認識不能に陥るのではないか、という見方です。
- なぜこの仮説が有力なのか この仮説は、「大容量の書き込み」で問題が起きやすいこと、「書き込みキャッシュの無効化」がある程度の効果を示すこと、そして特定のハードウェア(Phison製DRAMレスSSD)で問題が多発することを、合理的に説明できるため注目されています。
MicrosoftとPhisonの状況に変化なし
残念ながら、9月2日以降もMicrosoftとPhisonの双方から新たな公式見解や共同声明は発表されていません。MicrosoftのWindowsリリース正常性ページも更新されておらず、「KB5063878と不具合の関連性は見つからなかった」というスタンスを維持しています。
これにより、両社の責任問題は完全に膠着状態に陥っています。
総評
現在の公式発表の情報だけを見ると、私の手元PCの挙動から推測した「新たな障害の萌芽」という話は、今回のSSD問題の直接的な原因ではなかったようです。
しかしながら、「ファイルコピーが遅い」「再起動ループ」といった広範囲な問題が依然として報告されている以上、OSの根幹に関わる変更が、様々なソフトウェアとの間で何らかの不都合を引き起こしている可能性は否定しにくくもあります。
いずれにしろ、MSから情報が出てくる可能性は低いと考えられます。
Win11(24H2)を利用している場合は、結局のところ抜本的な対策はありませんので、利用者が注意を払うしかありません。
対策としては、Win11(23H2)に戻してサポート終了まで様子を見る、どうせならWin10(22H2)に戻し無償延長サポートを適用し長期的に24H2から25H2の安定を待つ、このふたつしか無いことになります。
Win11(24H2)が提供された後、不具合の発生がずーっと続いているのは確かですから、可能な方は「Win10に戻して1年間の無償延長サポートを適用」、この状態にしてWin11(25H2)の初期の不具合も回避しつつOSの安定を待つというのが、ベストとは言いませんがベターな対応の気がします。
厄介ですが、この機会にWindowsのインストール領域も手動で現状のMS推奨程度以上のシステム領域を作成して、Win10をインストールしてしまうというのも、今後を考えると悪い選択ではありませんので、真剣に考えてみるべきかもしれません。
ブログ内の参考記事:
【朗報】ただし隠し要件があるのかも・・・Win10延長サポート、1年間は誰でも簡単に無料で利用できます!【2025/09/03】
MSサイトの参考記事:
※ この記事内ではEFIパーティションの推奨値が200MBとなっていますが、最新の推奨値は260MBです。ところが、後方互換性の問題などで現状もWinインストール時の自動作成では容量が100MBになってしまい、不具合の発生源になってしまうケースが増えてきています。
Windows11-提供開始から現在までの.Verアップ時の不具合をふり返る
Windows 11は2021年10月の提供開始から数年が経過し、年に一度の大型アップデート(バージョンアップ)を重ねてきました。ここでは、各バージョンアップが実施された際にどのような不具合が発生してきたのかを振り返ります。
また、参考情報として25H2のインサイダー版テストでの状況も書いておきます。「時期的に悪い」とでも言えばよいのかどうかというところですが、不具合の収束しない24H2を利用し続け、24H2をベースにAI PCに向けた「さらなる追加や変更」を加えた25H2に即時移行するというのはどうなのかなというのが私の正直な感想です。
バージョン21H2(初期リリース, 2021年10月)
鳴り物入りで登場した最初のバージョンですが、多くの互換性問題やパフォーマンス問題を抱えた、まさに「人柱」バージョンでした。
- AMD製CPUでのパフォーマンス低下: 特定のAMD RyzenプロセッサでL3キャッシュの遅延が増加し、ゲームなどで性能が最大15%も低下する深刻な問題が発生。比較的早期に修正パッチが提供されました。
- プリンターの互換性問題: 特にブラザー製プリンターなどで、USB接続しても認識されない、印刷できないといった問題が多発しました。
- ネットワーク関連の不具合: Intel KillerやSmartByteといった特定のネットワークカードでUDP通信のパフォーマンスが低下し、オンラインゲームやストリーミングに影響が出ました。
バージョン22H2(2022 Update, 2022年9月)
初期バージョンからの安定化が期待されましたが、新たな不具合も多数発生しました。特にファイルコピー関連の問題は多くのユーザーを悩ませました。
- ファイルコピーのパフォーマンス低下: SMB経由でのネットワーク上のファイルコピーや、ローカルでの数十GB単位のファイルコピー速度が、以前の数分の一にまで著しく低下する問題が広範囲で報告されました。
- NVIDIA製GPUでのパフォーマンス低下: 一部のNVIDIA製グラフィックカード環境で、ゲームのフレームレートが低下したり、カクつき(スタッタリング)が頻発したりする問題が発生。これは主にGPUドライバ側のアップデートで対応されました。
- インストール失敗: 特定の環境でアップデートのインストール自体に失敗する問題が多発し、Microsoftは「セーフガードホールド(提供の一時停止)」を複数回実施しました。
バージョン23H2(2023 Update, 2023年10月)
22H2がベースの小規模アップデートだったため、致命的な不具合は比較的少なかったものの、特定の環境での問題が目立ちました。
- CPUパフォーマンスの問題: 一部のゲームでCPU使用率が異常に高くなるなど、特定の条件下でのパフォーマンス問題が報告されました。
- マルチモニター環境でのアイコン移動: AIアシスタント「Copilot」の導入に伴い、マルチモニター環境でデスクトップ上のアイコンが意図せず別のモニターに移動・整列してしまう不具合が発生しました。
- AMD製GPU環境での設定リセット: AMD Software: Adrenalin Editionを導入している一部の環境で、アップデート後にグラフィック設定やプロファイルがリセットされてしまう問題が報告されました。
バージョン24H2(2024 Update, 2024年10月)
現在、まさに問題が多発しているバージョンです。OSの根幹に大きな変更が加えられた影響で、過去のバージョンと比較しても深刻度の高い不具合が報告されています。
- ストレージ関連の深刻な不具合: 特定のSSD(Phison製コントローラー搭載DRAMレスSSD)で、大容量書き込み時にドライブが認識不能になる、データ消失に繋がりかねない極めて深刻な問題が発生しています。(※本サイト追跡記事の主題)
- 広範囲なパフォーマンス低下: エクスプローラーのフリーズ、共有フォルダへのアクセス不良、ブルースクリーンの頻発など、システムの安定性に関わる問題が多数報告されています。
- ハードウェア互換性問題: Intel Smart Sound Technologyドライバーとの互換性問題でブルースクリーンが発生するなど、特定のハードウェアとの組み合わせで発生する問題が指摘されています。
バージョン25H2(2025年秋予定)
2025年9月現在、開発者や上級者向けのInsider Preview(主にCanaryチャネル)でテストが進行中の、次期バージョンです。開発の最も初期段階にあるため、機能の追加・変更が頻繁に行われており、それに伴う不具合も多数報告されています。
- 新機能に関連するバグの多発: 現在テストされているAI関連の新機能や、刷新された設定アプリ、新しいAPIなどにバグが多く、特定の操作でアプリがクラッシュする、UIが正常に表示されないといった問題が頻繁に報告されています。これらは新しいビルドごとに修正・変更が繰り返されています。
- OS基本動作の不安定化: Canaryチャネルのビルドでは、OSの根幹部分に大きな変更が加えられるため、スタートメニューや検索が開かなくなる、エクスプローラーが再起動を繰り返す、ログイン画面でフリーズするといった、基本的な操作に影響する深刻な不具合が発生することがあります。
- サードパーティ製ソフトとの互換性問題: 特に、セキュリティソフトやシステムユーティリティ、仮想化ソフトなどがOSの変更に対応できず、ブルースクリーン(BSoD)を引き起こしたり、インストール自体がブロックされたりするケースが報告されています。
アップデートの傾向とユーザーの心構え
このようにWindows 11の歴史を振り返ると、大型アップデートには明確な傾向が見られます。それは、OSの根幹(スケジューラ、I/O管理、セキュリティ機能など)に関わる変更が、特定のハードウェア(CPU, GPU, SSD, ネットワークカード)のドライバやファームウェアと衝突し、深刻なパフォーマンス問題や互換性問題を引き起こす、というパターンです。
21H2ではAMD製CPUのL3キャッシュ、22H2ではNVIDIA製GPUやファイルコピー機能、そして24H2ではPhison製SSDコントローラーが、その衝突の対象となりました。
新機能の追加は歓迎すべきことですが、その裏で安定性が犠牲になるリスクが常に存在します。私たちユーザーとしては、大型アップデートがリリースされてもすぐに適用せず、少なくとも1ヶ月程度はコミュニティの反応を見てから判断する、そして何よりも「アップデート前には必ず完全なバックアップを取っておく」という心構えが、今後も引き続き重要になると言えるでしょう。
「24H2」の大きな変更と不具合が多発する原因との関係
今回のバージョン24H2で、なぜこれほど深刻で広範囲な不具合が多発しているのでしょうか。その原因は、24H2が過去のアップデートとは比較にならないほど、OSの根幹に大規模な変更を加えている点にあります。
バージョン23H2は、22H2をベースとした小規模な修正だったため、比較的安定していました。しかし、24H2は次世代の「AI PC」を見据えた、全く新しい土台への刷新と言えます。具体的には、以下のようなシステムの心臓部にまで手が入っています。
カーネルの刷新: OSの頭脳であるカーネルのスケジューラなどに変更が加えられています。
I/O管理の変更: ディスクとのデータ入出力(I/O)を管理する仕組みが変更されました。これが今回のSSD問題の直接的な引き金になったと見られています。
セキュリティ基盤の強化: OSの重要コンポーネントの一部を、メモリ安全性の高いプログラミング言語「Rust」で書き直すなどの変更が行われています。
例えるなら、23H2が「壁紙の張り替え」程度のリフォームだったのに対し、24H2は「家の基礎、水道管、電気配線を一度に工事する」ような大改修です。これだけ大規模な変更を同時に行えば、予期せぬ不具合が多発するのは避けられない、というのが現状です。
考察
24H2はOSの土台から作り直すような大規模な変更の結果、深刻な不安定さを抱えてしまいました。さらに問題なのは、Microsoftがこの不安定な24H2をベースとして、次期バージョン25H2の開発を進めていることです。25H2では、AI機能のさらなる統合など、追加の大きな変更が加えられることが予想されます。
つまり、不安定な基礎の上に、さらに増改築を重ねるような状況であり、この混乱が短期間で収束するとは考えにくいのが正直なところです。
この状況でユーザーが自らのPC環境の安定を守るために取れる抜本的な対策は、残念ながら「危険な場所から一時的に離れる」しかありません。具体的には、以下の2つの選択肢が考えられます。
ベターな対策: より安定しているWindows 11(23H2)に戻し、サポートが終了する2025年11月まで様子を見る。
さらに安全な対策: Windows 10(22H2)に戻し、1年間の無償延長サポートを活用する。これにより、24H2だけでなく、登場直後には不安定さが予想される25H2の初期トラブルからも距離を置くことができます。
手間はかかりますが、データ消失のリスクや日々の動作の不安定さに怯えながらPCを使い続けるよりは、はるかに賢明な判断と言えるでしょう。
本文:2025/09/10 05:00時点 追加情報(最終回)
本日、2025年9月の月例更新プログラム(KB5065426)が正式にリリースされました。これに伴い、8月中旬から約1ヶ月にわたり追跡してきたKB5063878に端を発する一連の不具合に関する本記事のリアルタイム更新は、これをもちまして終了とさせていただきます。
最終的に、この問題はどのような結論に至ったのか。MicrosoftとPhisonの公式見解、そしてコミュニティの動向をまとめ、今後の対策を考察します。
最終的な公式見解:原因は「特定できず」
1ヶ月にわたる調査の末、MicrosoftとPhisonの双方から出された最終的な公式見解は、多くのユーザーにとって納得のしがたい「アップデートと不具合の直接的な因果関係は、技術的に確認できなかった」というものでした。
- Microsoftの最終声明(9月上旬): 全世界のPCから収集したテレメトリデータや、Phison社と共同で行った再現テストの結果を分析しましたが、KB5063878が特定のSSDで障害を引き起こすという直接的な証拠は見つかりませんでした。公式な調査は終了しますが、ユーザーからのフィードバックは引き続き監視します。
- Phisonの最終声明(8月下旬~9月上旬): 当初はOS側の問題を指摘していましたが、自社でのテストでも現象を確実に再現するには至りませんでした。弊社のコントローラーおよびファームウェアに、今回の問題に繋がるような欠陥は存在しないと結論付けています。
なぜ問題が起きたのか?コミュニティの最終的な考察
公式には「原因不明」とされましたが、実際に多くのユーザーが深刻な問題に直面したことは事実です。現在、技術コミュニティでは、今回の不具合は「複数の要因が重なった場合にのみ発生する、極めて限定的な条件の不具合(コーナーケース)」であった、という見方がコンセンサスとなっています。
▼発生要因の推定
- KB5063878によるOSのI/O管理方法の“わずかな変更”
- Phison製DRAMレスSSDのファームウェアが持つ“特定の挙動”
- ユーザーによる「大容量の連続書き込み」という“特定の操作”
これら3つの条件が偶然重なった「完璧な嵐(パーフェクトストーム)」のような状況下でのみ問題が発生したため、通常の検証環境では再現が極めて困難だったのではないか、と推測されています。
今後の対策と教訓
では、私たちは今後どのようにWindows Updateと向き合っていくべきでしょうか。
- 新しいKB(KB5065426)で問題は解決するか?
Microsoftは公式に「修正した」とは発表していません。しかし、今回の9月の月例更新には、OSの根幹部分に多数の変更が含まれています。そのため、結果的に問題を引き起こしていたであろうOS側の挙動も変更され、事実上、この問題は再発しにくくなった(あるいは解決された)可能性が高いと見られています。 - この問題から得られる教訓
今回の件は、私たちユーザーに改めて以下の3つの重要性を突きつけました。- バックアップは生命線であること: 原因が何であれ、データを守る最終手段はバックアップしかありません。
- 大型アップデート直後の高負荷作業は避けること: アップデート直後はシステムが不安定な場合があります。重要な作業や大容量のデータ移動は、数日様子を見てから行うのが賢明です。
- コミュニティの情報を活用すること: 公式発表が遅れる、あるいは実態と乖離している場合でも、ユーザーコミュニティでは有益な情報や回避策が共有されることがあります。
最後に、本記事に情報やコメントをお寄せくださったすべての読者の皆様に、心より感謝申し上げます。皆様からいただいた一つ一つの情報が、この追跡記事を非常に価値のあるものにしてくれました。本当にありがとうございました。
今後のWindows Updateに関する情報は、月例の記事にて引き続き提供してまいります。
Q&A
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Q. Microsoftが修正を始めたなら、もう安心?
- A. いいえ、まだ安心はできません。Microsoftが公式に認めて修正を開始したのは、あくまで「インストールに失敗する」問題だけです。現在広がっている「パフォーマンス低下」の問題については、まだ公式な見解は出ておらず、原因も不明です。むしろ、インストールに成功したユーザーが直面する、こちらの問題の方がより深刻である可能性があります。
-
Q. このアップデート、結局適用すべき?しないべき?
- A. 非常に難しい判断ですが、記事冒頭の「番外1」で解説した通り、基本的には「即時導入すべき」と考えます。なぜなら、このKBにはすでに攻撃が確認されている「ゼロデイ脆弱性」の修正が含まれているからです。パフォーマンス低下のリスクは確かにありますが、PCを乗っ取られるセキュリティリスクと比較すれば、後者の方が遥かに深刻です。ただし、必ず「復元ポイントの作成」と「システム全体のバックアップ」を行った上で、万全の備えをしてから適用してください。
-
Q. 自分のPCがパフォーマンス低下の影響を受けているか、どうすれば確認できる?
- A. まずは、普段の操作でファイルのコピー(特に大きなファイル)や、フォルダを開くのが異常に遅くないか体感で確認してみてください。また、記事の「番外2」で検証したように、ご自身で設定した「仮想メモリ」が「システム管理サイズ」に戻っていないか、「システムのプロパティ」から確認することをお勧めします。もし設定が変更されていた場合、パフォーマンス低下の影響を受けている可能性を示す一つの兆候と考えられます。
-
Q. パフォーマンスが低下した場合、何か対策はある?
- A. 現時点では、Microsoftから公式な情報が出ていないため、確実な解決策はありません。しかし、記事中の「3.2. 過去の類似事例」で紹介したような対策(ネットワークドライバーの特定機能の無効化、Windows Searchサービスの再起動など)が、今回の問題にも有効である可能性はあります。ただし、これらは自己責任での対処となりますので、まずはバックアップから元の環境に戻すことを優先するのが安全です。
-
Q. この記事で提唱されている「仮説」は、本当なの?
- A. これらは、現時点で観測されている複数の事実を合理的に説明するために立てた、あくまで筆者の「推論」です。特に「Win12のβテスト説」は、もし真実であれば非常に大きな問題ですが、現時点ではそれを裏付ける直接的な証拠はありません。この記事では、今後も新たな事実が判明し次第、これらの仮説が正しかったのか、あるいは間違っていたのかを、誠実に追跡・検証していきます。
記事中の専門用語の解説
- 【重要】 ブラックスクリーン (Black Screen of Death / BSOD)
- Windows 11 24H2に今回から導入された、新しいシステムクラッシュ画面。従来は「ブルースクリーン」として知られていましたが、OSのデザインに合わせて黒色に変更されました。しかし、これは単なる色の変更に留まらない可能性があります。エラーログ生成の高速化など、OSの起動シーケンスに関わる内部的な変更が含まれているとされ、今回の広範囲なパフォーマンス低下問題の、根本的な原因の一つになっているのではないかと筆者は推測しています。
- ゼロデイ脆弱性
- ソフトウェアのセキュリティ上の欠陥(脆弱性)に対する修正パッチが提供されるより前に、その脆弱性を悪用する攻撃が行われている状態のこと。対策が間に合わないため非常に危険とされる。
- CVSS
- 共通脆弱性評価システム(Common Vulnerability Scoring System)の略。脆弱性の深刻度を数値で評価するための世界共通の基準。スコアが高いほど危険度が高いことを示す。
- Known Issue Rollback (KIR)
- MicrosoftがWindows Updateで配信した修正に、セキュリティ関連以外の不具合が見つかった場合、その原因となった特定の修正だけを、ユーザーのPCに新しい更新プログラムを適用させることなく、リモートで無効化できる仕組み。これにより、広範囲な不具合に対して迅速な対応が可能になる。
- 仮想メモリ (Virtual Memory)
- 物理的なメモリ(RAM)の容量が不足した際に、ストレージ(HDDやSSD)の一部を、メモリの代わりとして利用する仕組みのこと。「ページングファイル」とも呼ばれる。この仕組みへの過度な依存や、設定の不備は、システムのパフォーマンス低下に直結する。
- エクスプローラー (Explorer)
- 普段私たちがファイルやフォルダを操作するウィンドウだけでなく、デスクトップ画面、スタートメニュー、タスクバーといった、Windowsの基本的な操作画面(シェル)全体を管理している、OSの中核的なプロセス(explorer.exe)のこと。エクスプローラーの動作が重くなるということは、PC操作全体の快適性が損なわれることを意味する。
- Microsoft Pluton Cryptographic Provider
- Microsoftが設計し、AMDやIntel、QualcommといったCPUメーカーと共同で開発した、新しいセキュリティプロセッサ(ハードウェア)のこと。従来のTPM(Trusted Platform Module)をさらに進化させたもので、CPUに直接統合することで、物理的な攻撃からもPCの重要な情報(暗号化キーや資格情報など)を保護する、より強固なセキュリティを実現します。記事中で触れられているエラーは、このPlutonハードウェアと連携するためのWindows上のソフトウェアコンポーネントで発生しているものと考えられます。
最後に
記事を最後までお読みくださりありがとうございました。
KB5063878を巡る問題は、単なる月例アップデートの不具合というレベルを超え、OSの根幹に関わる、非常に大きな問題へと発展する可能性を秘めています。状況はまだ流動的であり、明日にはまた新たな事実が判明するかもしれません。
このブログでは、引き続きこの問題をリアルタイムで追跡し、検証と考察を続けていきます。皆さんのPCで起きている現象も、ぜひコメント欄で共有してください。その一つ一つの情報が、問題の全体像を明らかにするための、重要なピースとなります。
今回の記事は以上となります。
記事へのご質問やフィードバックについて
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